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第四十六話 十三の罪

世界の均衡は、十二の光と七つの闇、二種の怪物と十三の罪でできている。

「「はぁ〜はぁ〜」」

三人は、路地裏へと入った。必死に逃げていたためか息が上がっている。

「ちっきしょ〜バーガー食いたかったぜ。チラシに載ってたブート・ドラゴンXバーガーをよぉ〜。」

「あ〜ドラゴンバーガーの世界一辛いバーガーと噂のあれかい?」

「そうそう、俺ちゃん辛いのとかあんま食ったことねーから食ってみたかったな〜」

「しかし、ベシルくんから頼まれていたグラブジャムンバーガーを買えなかったのは痛いな。」

二人が逃げ帰って、買えなかったバーガーの話しをする頃。

「…」

一人、うずくまって落ち込むキッド。

「キッドくん…もしかしてさっきのことかい?」

「はい…」


"「「騙されるなーーー!!!あのガキは、学徒の英雄と言う肩書きを利用して、俺達一般市民を騙していた。"ペテン師"だ!」"

キッドにとって、本当に救いたいと思って国ためを思って行った行為。

"「騙すために、わざわざあんな真似をして…本当に感動したのに、俺達の気持ちを返せー!」"

だからこそ、各国の誰もがその姿に感化され、気持ちを突き動かした。そのはずだったのだ…


「ひでぇーよな、ペテン師なんてよ。キッドは本当に頑張ったのに…」

「そうだね、でもこれが現実であり世界なんだ。」

「…」

キッドは、頬には涙が…

「たとえどんな功績を上げた英雄だろうと、どんなに高潔な意志を持った勇者だろうと、一度信用を失えばその全てが無になる。信用って言うのはね、積み上げるのは時間がかかるけど、失うのは一瞬なんだよ。それを承知の上でボク達について来たはずだろ?キッドくん」

「…はい…」

キッドは再び立ち上がり

「ごめんなさい、ご心配をおかけしました。もう大丈夫です。」

涙を拭いて、立ち上がった。

(ピコン!)

「ん?」

その時、三人のMEが鳴った。

「ベシルさんから…」

「よし、二人とも準備はいいかい?」

「とっいいますと」

「これから行くのさ、ほら言ってたじゃないか。"正式メンバー入りの儀式"ってね。」

場所は再びギャングストリートへ…


ーーーーギャングストリート 路地裏ーーーーー

「また、戻って来ましたね。ここに…」

「そりゃ〜ね、元々ゾンパーの所在と例の組織との関係調べと一緒に闇市場での情報収集も、今回の目的だったんだから、ここに戻ってくるのは元々予定してた通りだよ。」

「つーかよ、ベシルの姉ちゃん…」

「ん?どうしたの」

スターは、二人の会話に割って入る様に

「その荷物どったの?」

背後に置かれた建物ほどに積み上げられたいくつもの荷物について触れた。

「あ〜これ、また買いすぎちってさ。まぁ〜大丈夫、大丈夫。アンキラ、あとよろしく。」

「ハイ、マイフレンド」

アンキラは、大量の荷物を黒と黄色のテープで包み。

「逆・召喚(リバース)

荷物を何処かへと飛ばした。

「うぉ!荷物が一気に消えた。」

「ほい、これでいいっしょ。いこいこ」

「え〜」

「あれはちなみに、召喚テープですね。通常はアイテムボックスに保管しますが、あまりにも多いと指定した転移先に入り切らない場合があるので」

「ちなみに、アイテムボックスで送ると、ベシルくんの部屋のクローゼットに直接。テープだと基地内の共有倉庫に行くね。」

いろいろありつつ、一向は奥へと進んでいった。いくつかの階段を下り、迷路の様な路地をいくつもり曲がってたどり着いた先…

「ここだよ」

「ここ…ですか…」

そこは、苦労してついたにしては、なんの変哲もない看板の付いた三階建ての小さなビル。

「よし、スター少年。」

「おう!なんだベシル姉ちゃん。」

すると、ベシルは目にも止まらぬ早技で

「てい」

「かぁ…」

スターの首筋に手刀を入れた。

「ベシルさん!」

「よいっしょ!と」

ベシルは、気にせずスターを担ぐ。

「ベシルさん!」

「キッドくん、やめたまえ。」

「でも、スターくんを…どうして!」

「知られちゃまずいからさ」

「知られちゃまずい…」

キッドの疑問の表情をよそに、ベシルはスターを階段を下った先のグラブへと運び。

「それじゃ、よろしくお願いしますね〜」

しばらくして、その扉から出てきた。

「ベシルさん?これは一体どう言う。」

「どう言うも何も、今から会う男は、あんま人に知られちゃまずいってだけの話さ。隠れ住んでるからね、一応。」

「隠れ住む?」

ベシルは、疑問が残るキッドの手を引いて、そのまま建物の二階へと上がっていった。

「おっじゃっましまー!」

ベシルが、扉を強く開けるとカランカランと扉に付けられていた鈴がなる。

「やれやれ、やっときたか。まってたぜ、クイーン。」

そこにいるのは、ハンチング帽を被った。パンクファッションに全身刺青だらけのダンディーな中年男。

「よ!タトゥー。今日はよろしくー」

「やれやれ、そこの白髪の坊主で合ってるか?」

「うん、その子だよ。名前はキッド、あとこれモンブランお姉さんと分けてね。」

ベシルは、て見上げを渡した。

「おう、サンキュー。おーいモンブラン」

「はーい」

奥から現れた、茶髪のミディアムロングと両目は黄色、長いスカートとモコモコとしたセーターをきた茶色ベースなこともあり落ち着いた雰囲気のある女性。

「あ!はじめまして、当店店主タトゥーの妻、モンブラン・ビスクドールと申します。以後お見知り起きを」

「はい、こちらこそ。」

モンブランは、キッドの前で会釈し、キッドもそれに続いて会釈をした。

「モンブランお姉さん、久しぶりー!」

「はい、お久しぶりです。ベシル様、ドクター様。」

「あ〜久しぶりだね。」

二人は、再会を喜んだ。

「ところで〜ここに来た目的を聞いて無いんですが…」

「あ〜そういや」

「それに、なぜスターくんを」

「やれやれ、坊主落ちきな。それはプライバシーの問題だ。こっからは特にな…」

「プライバシー?」

そう語りだす、タトゥーにキッドはやはりまだ疑問の表情は拭えない。

「単純だよ、単純。キッドくん、君はボクらについてくることを正式に決めた。しかし、スターくんは違う。彼はゲッコくんの許可を得て、一時的にボクらに同行してるに過ぎない。」

「はい、それは承知していますが」

「そうそう、それでね。今からの話しは、身内ごとにしかできないんよ。一応機密情報だからさ。」

「機密情報…」

キッドの顔はその言葉で少し曇った。

「まっ、そんなこと言ってもわかんないだろうからまずはお姉さん達の組織について説明するね。」

ベシルは、店内の壁際にある赤いソファーに座り込み。

「お姉さん達の所属する組織の名は、"十三騎士団"」

「十三…騎士団…」

キッドにとって、それは聞き覚えのある名前。そう、かつて五人の英雄王のうち大戦を終わらせた最強の英雄、ライト・ドラゴンヘッドが再現した国、新生ラスター王国にて治安維持とモンスター討伐の任のために作られた原点にして最古の魔法騎士団。十二騎士団、その名とよく似た文言だが、しかし、神聖とされる十二とは対象的に十三言う文字が引っかかる。

「数字には、それぞれ意味がある。1は原点、2は調和、3は完成、4は安定、5は変化、6は愛、7は神秘、8は豊かさ、9は運命、10は行動、11は刹那、12は導きを意味する。」

「それじゃ…13は…」

「"欺"…さ…」

「欺…」

古来より、12までの数字は神聖ものとされてきた。それは今からおよそ8千年前、皇樹セトの統治下で千年続いた平和な日々が終わり。ドラゴン族の国、フレイム帝国が世界にその支配を拡大させているころ、突如としてこの世界に爆誕したる新たな世界の救世主クルクス。彼は当時の王帝アナストロ・F・ストロングフレイムとの激闘をし、決着に100年を費やした。それはのちに100年戦争と呼ばれ、その戦いの結果敗北した人間族の救世主クルクス、最後は十字架にかけられて死亡したのである。クルクス亡き後その弟子達12人は、世界に師の意識を広げ、現在では世界最大の宗教となり、聖貴族と名を改め活動している。

しかし、その伝説にある逸話がついて回った。その逸話こそが…

「…"十三番目の裏切り(イスカリオテ)"」

「そう、その13だ。ボクらは…」

「世界最低最悪最凶の犯罪者集団…"十三騎士団"。俺はそこの団長だ。」

キッドはそう語る、赤い皮のソファーに腰掛けるベシルの前に9人の黒い影を見た。


"これが、僕の運命を変える出会い。"あの人達"と出会えたから…僕は強くなれたんだ。今覚えば本当に幸運だった。少し遅れてしまったけど改めて、我が師匠達に感謝を…"


「これが…十三騎士団…」

「そうさ、メンバーは全部で」

「11人…」

「ん?」

キッドは、なぜかそれを知っていた。まるで、予知者のように、いや…あれは未来の幻影だったのかもしれない。

「ふ〜ん…なるほどね。」

ベシルは、その様子を見ると、何かを察した様に含みのある笑いを浮かべていた。

「あっあれ、なんで知ってたのかな、あはは…」

「まっまあ〜いいだろう。うっうん、ベシルくんは言わずもがなだが、十三騎士団の他九名のメンバーに比べればボクは最弱だ。実力だけは保証できる組織さ」

「あれだけ繊細な魔力コントロールと魔力量を持つドクターさんが最弱!」

「あ〜、あまり豪語したくはないがね。ちなみにボクは、No.2だよ。」

「No.2ってことは、副団長ですか?」

「いや、副団長は別にいる。この数字はメンバー入り順だからね。だから、君は12番目ってことになるね。」

「12番目…」

それは、騎士を志す者なら誰もが憧れる数字。かの大英雄が、気づいた最強の砦、その事実がキッドの胸を高ぶらせている。

「で、どこにすんの?刻印は…」

「刻印?」

「13の刻印…まっカッコつけて言ってるだけで、ただの刺青なんだけどさ。だからここに来てるわけだし…」

キッドは、その発言を聞いてふと辺りを見回すと

「ここってもしかして、タトゥーショップですか?」

「そうだぜ、俺の自慢のな。」


ー裏路地 ビジネスビル三階

  タトゥーショップ:ビューティフル・ヘブンー


「まぁ〜ゆっくり考えたら良いぜ。参考までにドクターの嬢は胸、旦那は舌だ。あぁーあと、ここまで聞いてやめるってのは無しだぜ。聞いての通り機密情報だからな」

「そうだね、それにしても君にしては珍しく気づくのが遅いね。まぁ〜無理もないか、これだけ色々あったら」

ドクターは、少し微笑みを見せた。

「ちなみに」

ベシルは「べぇ〜」とその青い舌を見せ。

「こんな感じだよ。」

そこにはローマ数字でXIIIと書かれていた。

「ボクのも」

ドクターが包帯を緩めて見せた谷間にも同じものがあった。

「へぇ〜じゃぁ、僕は…」

キッドは少し考え込んだのち、頭に電球の光がさすように閃き決意する。

「それじゃ、額で」

「「…」」

その瞬間、全員の顔が固まった。

「あら」

「にーしっしっしっし!マジで最高だぜキッド様。」

「無知というのは怖いね」

「やれやれ、すごい坊主だぜ。まったく、旦那のつれはこんなんばっかだね〜」

「え?」

周囲のあまりにもオーバーな反応に、キッドは動揺していた。

「しっしっし、あー面白い。あのね、キッド様。数字っては刻む場所によって意味が違うんだよ。」

「意味?」

「例えば、ドクターちゃんの胸。胸は、生の象徴。心臓があるからね、だからドクターちゃんなら欺生(ギセイ)。命を欺くって意味。」

「じゃあ〜額は…」

「ふふ、キッドくん。覚えておくと良い、額ってのはね…」

ドクターが次の瞬間言った言葉、この世界に置いて最大の禁句(タブー)と言っていい発言だった。

「"天"って意味があるのさ。」

「天ってことは、つまり…」

「額に13を刻みしものは、"天を欺く"神々の敵対者なり。まさか知らなかったのかな?キッド様。」

「え〜」

キッドは、予想外の展開に動揺する。

「どうする?変えるなら今のうちだよ。」

ベシルは、腹を抱えて笑って出たその涙を指で拭いつつ聞いた。

「いえ、大丈夫です。」

それは、かつて騎士だった者から出るにしてはあり得ない一言だが、そこにはこんな真意があった。

(神様を欺くってのは、良くないいし。そんな気も無いけど。これから僕が進む世界は嘘や偽りにまみれた世界。神様に胸張って生きれるような世界じゃないのは、今までの戦いで実感してる。)

「タトゥーさん、よろしくお願いします。」

「はいよ。」

(ただの正義じゃだめなんだ。)


"「それでは、再び問おか…お前の正義とはなんだ!」"


キッドは、ヒュースのあの言葉を頭に浮かべつつ、その刻印を額に刻んだ。


「うへぇ〜」

その頃、スターは地下にあるクラブの更衣室のソファーで寝そべっていた。

「うっん〜…はぁ!」

突然飛び起きるスター。

「ここどこだ!」

それは当然の疑問だ。

「ん〜と確か〜ベシルの姉ちゃんに連れられて良くわかんねぇ鉄の家見てぇーなもんに連れてかれて、それで〜」

スターがソファーの上で考えたら事をしていると、更衣室のドアが開く。

「なぁなぁ、そうだろそうだろ。あのねぇちゃんマジキャワイーよな。」

(フルフル)

そこに現れたのは、耳に響くほど大声で喋る目に痛い蛍光イエローの上着を着たショッキングピンクの髪色の男。それとは対処的に、全く喋らず、スケボーを片手に持ちヘルメットを被り、厚めのパーカーを着て半ズボンを履いた髪の長いストレートの男。

「ん…」

黒い方の男はスターに向けて指をさす。

「おう!あんさん起きたんかい」

「誰だお前ら?」

「おー!そうだったな。自己紹介、自己紹介。わいの名はダンサー。こいつはメットよろしくな。」

「おう!よろしく」

スターは出された手に握って握手する。

「だーはっはっはっはー!」

二人は、大きな声で笑い合った。

「おー!そうだ。あんさんもクラブこいよ。案内するぜ。」

「おう!」

(クラブってなんだ?)

わからないまま取り敢えずついて行くスター。その先に待っていたのは

「お〜なんだこりゃー!!!」

そこは、ディスコボールの光が照らす人の海。各々が激しく揺れる波の如く、踊りに踊りまくっている。カウンターで酒を酌み交わす者、女と駄弁る者、そして…

「みんなー!乗ってるかい!?」

「「YES!!!」」

そう叫ぶのは、奥の大きなステージの上で、円盤状の何かをキュッキュッキュと動かす。キャップ帽を反対に被る赤毛混じりの茶髪の女の子。

「ん?あの姉ちゃんどこかで〜…」

スターが、そんな疑問を抱くのも束の間。

「イェー」

「おい!」

鳴り響く、割れる様なマイクの音に続いて聞き覚えのある声。

「え〜と〜どうされました。姉さん。」

「ラップ、いつまで遊んでんだい。さっさと行くよ。」

「へぇ〜い。」

そこにいたのは…

「あーーー!!!お前、店にいた白髪の女!。」

「あ"?」

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