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第四十七話 苦味合う者

「あーーー!!!お前、店にいた白髪の女!。」

「あ"?」

そこにいたのは、店内でキッドが拳を止めた。あの時の女だった。

「誰だいあんた。」

「俺はなぁー!スター、テメェーの拳を止めたキッドの仲間だ!。」

「拳を止めた…」

その時、女の脳裏をよぎった


"「暴力は…良くないです。」"


赤眼の少年の姿。

「あ〜赤眼の坊やの知り合いかい…」

「そうだ!お前のせいでキッドは…」

「やめろ!」

先程まで友好的だった二人がスターにそう言って、抑える。

「なんだよ!離せよ」

「やめとけ、あんさんのためだ。」

(フルフル)

「俺ちゃんのため?」

スターにとって疑問だった、なぜ彼らが自分を抑え、押し戻そうとしているのか。

「じゃまだ、どきな」

その瞬間、冷たい声と共放たれたのはあの時と同じ白い拳の一撃。

(ドサ!)

それが、スターを抑えていた二人の頭部に直撃し、倒れる。

「あ"…」

「さっ、殺し合いと行こうか、坊や。」

「テメェ…」

これは、つい数分前に知り合った者達に対して本来抱かないはずの感情。肉親を殺されたわけでも、友達を殺された訳でもない。そんは状況に見合わぬその感情を…スターは抱いた。

「何やってんだ…」

「何って、邪魔だったから(ダン!)」

その黒き一撃は、かの白い彼女の頬を捉えた。

「くはぁ…」

「殺すぞ…」

その感情の名は殺意。

「殺すぞーーー!!!」

周囲に広がる有り得ない量の黒い砂。

「きゃーーー!」

「なんだこりゃ」

それらは、踊り狂った全ての薬中、アル中、ニコチン中、ハメ中共の目を覚まし。全員を飲み込んで行った。しかし、その砂は誰も殺さなかった。ただ一人の女を除いて…

「天使の(エンジェルウィング)

凄まじい衝撃と共に、黒い砂を蹴散らす様に爆誕したのは白い翼。

「うーわ、マジきしょいだけど〜この砂。」

その白く輝く天使の如き翼は、衝撃と共に彼女を宙へと浮かせ。

「死ねーーー!!!」

「それしか言えねーのか!ゴミカス国語力くんさーーー!!!」

それからいくつもの白い羽を弾丸の様に向かって来る黒い砂へと飛ばした。

「「おらぁーーー!!!」」

暴走したる黒い衝動と藪から棒に振りかざされる白き両翼。


二つが…打つかる…


回転飛美(アクセルジャンプ)氷河(コールド)

それを止めたるは、円を描くよに聳え立つ氷の氷河。

「ちょいちょい、待ってくれじゃね、奴さん方」

「なんだ!ハットテメェーまたじゃましようってか」

「邪魔も何も無いでしょーよ。」

「そうだぞ、そんなタンクトップ一枚で寒くねーのか帽子やろー!」

「あ〜そっち、大丈夫大丈夫。氷魔法の使い手は寒さに強いから。てか君意外と優しいねぇ。」

いがみ合う両者の仲裁をするのは、ハット帽を被ったピンクタンクトップの彼。

「とにかく、お二人共落ち着いて、周りのお客さんの迷惑じゃね。これ…」

「あ!そうか」

「やめやめ、気が覚めちまった。」

帰ろうとする白翼の女。

「おい!まて、あいつらは」

「わいらなら大丈夫だぜ。心配してくれてあんがとなスター。」

(フルフル)

気づかぬ内に二人は目覚めていた。

「おー!おめぇら!」

スターは嬉しさのあまり、二人に抱きついた。

(ムニ)

「ん?」

(なんだこの柔らかい質感)

それは、ダンサーの横にいたメットの胸元から感じた違和感。

(ダン!)

「うほぉ!」

スターは、メットの腹パン一撃で倒れた。

「おい、メット。本気でやってねーだろうな。お前が本気でやると洒落にならんぞ。」

(フルフル)

「本当か?まぁ〜それなら良いけど」

「あっ…あぁ〜」

スターは撃沈した。


「終わったぜ、坊主。」

こちらは儀式を終えていた。

「お〜結構様になってんじゃん。」

「よく似合っているよ。」

「そうですか」

「どうだ、鏡。そこにあるぜ。」

キッドは、全身を映し出す大きな鏡の前に立ち。

「これで…」

タトゥーから借りたピンを使用して前髪を半分上げた。

「僕も、ベシルさんの」

そこに記されるXIIIの刺青が意味するのは

「仲間、だぜ。」

の証であった。

「正式メンバー加入おめでとう。キッドくん。」

皆が拍手で迎えてくれた。

「てーことで、今日からは十三騎士団No.12。キッドとして頑張ってくれたまえよ。」

ベシルがそう言ってキッドの肩にぽんと手を置くと

「はい!」

キッドは、嬉しそうに笑った。


一向は、儀式を終え。いよいよ闇市場と気がまえたその時

(ぐぅ〜)

「てか、ハンバーガーは」

「「あ」」

ベシルのお腹が鳴り、キッドとドクターは買い出しに失敗したことを思い出した。

「あのだね、ベシルくん。」

(じぃ〜)

ベシルがドクターはじっと見つめる。

「だからね」

(じぃ〜)

ベシルは段々とドクターに近づいて、その眼差しをさらに感じやすいものにさせる。

「あーーー!わかったよ、わかった。失敗しました、失敗ぃーーー!!!。どうせボクは買い出しもまともにできないようなプー太郎ですよ。はいはい」

いつも冷静なドクターが、あまりのベシルの疑いの眼差しに心が折れ。まるで言い訳をする子供の様な喋り方になってしまった。

「いや、そこまでは言ってなけども。でもな〜お腹すいちゃったな〜」

その眼差しはモンブランへ向いた。

「え〜と、ではお食事お作りいたしましょうか?」

「えー!いいのーマジ感激なんだど〜」

ベシルは、超わざとらしく喜んだ。

「やれやれ、手土産渡しといてこれかよ。」

「はぁ〜彼女は昔からこういう人だろ。」

「まぁ〜な。」

タトゥーとドクターは、少し呆れつつベシルと共に、食事を待った。

「僕手伝いますよ。」

「あっ、それじゃ〜」

「キッドくん!」

「はい?」

ドクターは何かの危機を察知したのか、何かを頼もうとしていたモンブランを遮り。

「君、確かベシルくんの無実を晴らしたいだったよね。」

「はっはい!」

「それなら、彼につてがある。」

「つて?」

ドクターからの突然の提案。

「やれやれ、つてってなんのことですかい?…まさか!」

「どうせ情報を集めるなら、回りくどいやり方より。国長殿に聞いた方が早いだろう。仮にも全ての物と情報が集まると歌ってる訳だしね。」

「やれやれ、これだからこの人らは…」

「タトゥーさん、国長様と繋がりが」

「まぁ〜繋がりってほどでもねーけどよ。昔色々あってな。どうする、行くか。絶対って保証はねーがよ。」

「はい!ぜひ。」

そう言って二人は店を出た。

「ありがとうございます、まさかタトゥーさんがこんなにすごいお人だったとは」

「いやいや、そんな大層なもんじゃねーよ。昔のつれが国の関係者だったってだけだ。」

「ご謙遜をそんな方と知り合えるなんて本当に…」

(ブワン!)

和気藹々とした話しの中、感じた違和感。

(これは、凄まじい量の魔力!)

「やれやれ…」

キッドが感知したその先には

「テメェーーー!!!今日こそ決着付けっからな」

「上等だこら、かかってきやがれドグサレ女!」

そこは、裏路地にある。建物と建物の間の二つのバスケコートがある少し大きめの空き地。


そこに蠢くは、青き魔力を纏った青いモヒカン男と白き魔力を纏った白の長髪の女。

(あの白い魔力どこかで…)

「助けてくれよ〜キッド。」

「え!スターくん。なんでここに…」

そこには、魔力の紐でくくりつけられたスターの姿。

「わいらが連れてきたんだぜ。」

(フルフル)

そこに現れるは、ダンサーとメット。

「あなた達は…」

「お!誰かと思えばあの赤眼の坊やじゃね」

そう言って現れるのは3m近くあるハット帽を被った大柄の男。

「あなたは、お店の…」

「そうすよ、忘れちゃったすか。うちらもいたのに」

そこにはキャップ帽を被った小柄な女。

「そう言えば、自己紹介がまだったじゃね。俺の名前はハット、後ろの二人がメットとダンサー。そして俺の後ろにいるのがラップ。よろしくじゃね。」

「よろしくお願いします…ってあれは何をされて!」

「あ〜いつものことじゃね。ほっとくと良いんじゃね。」

「えっえ〜」

「「はぁーーー!!!」」

そんな会話の最中も、力を溜め、姿勢を構えて舞い上がった一枚の葉が地面につく刹那の一瞬を待つ青と白の怪物(ケモノ)達。

(フ〜)

そして…その葉が落ちる刹那の一瞬は…

(パタ…)

(ダン!)

二人の拳が凄まじい爆音と共にぶつかる。

(シュー!!!)

両者はぶつかり合いの末、大きく後ろに後退し

「青の弾丸(BLUE・ミディアムバレット)」

放たれる凄まじい威力の光弾。

「翼の(ウィングシールド)

それを、展開した白い翼で防御する女。

「ちっ!無駄に硬てーな相変わらず。」

「るっせー!テメェの股間のブツの千倍かてーよ。バーカー!!!」

「あー言えばこう言うなテメェーわ」

男はそこから何百発、いや何千発もその拳を振るい。そのたびに拳に込めた魔力から巨大な光弾が放たれ続ける。

(ガン!)

それは、周囲の建物を破壊し

「翼の超速移動(ウィングスピード)

その白翼はの風圧は凄まじい速度と共に、半径数百メートルを切り裂いて、地面に大きなクレーターを開けた。

「食らいやがれー!天使の鉄拳(エンジェル・ブロー)

その一撃は、青のモリカンの頬へと直撃。そのまま地面に押しつける。

「ぐぉーーー!!!」

男も負けじと青い魔力で

「青い衝撃(BLUE・インパクト)」

周囲に衝撃を与え、女を吹き飛ばす。

「この程度でどうにかなるとでも思ったか、ドグサレ女。」

「いやいや、あんまりにも弱いからついね」

「「あ"?」」

距離が離れ、ボロボロの二人だが、再びぶつかり合おうとしたその時

「やれやれ、やめねーかお二人さん。」

その間に割って入ったのはタトゥー。

「邪魔すんな兄貴!」

「「兄貴!」」

キッドとスターは衝撃の事実に驚愕する。

「そうですよ、お兄さん。今いいとこなんで…」

「なにがいいとこだ。周りの迷惑も考えろバカタレ。」

「「いった!」」

文句を言う二人の頭にチョップをするタトゥー。

「やれやれ、お前らは昔っからどうしてこうも馬が合わんのかね〜」

「それはこいつが!」

「なんであたいなのよーそっちでしょいつものつかっかってくんのは!」

「あ"!なに捏造してんだ。そっちだろうがよ!」

「ほらほら、どっちでもいいから。ちょっと落ち着け。」

「「わーきゃーわーきゃー!」」

「はぁ〜やれやれ…」

仲裁をするタトゥーを無視して、言い合いを続ける二人に呆れるタトゥー。

「はぁ〜、まっそう言うわけじゃね。メット、スターの縄解いてやって」

(?)

「いいよ、姉さんには俺から言っとくから。」

(フルフル)

「おいおい!勝手に邪魔されちゃ困るぜハットさんよ〜」

「あ"?」

ゾロゾロいかついホースに乗ってやってくる、モヒカンの男達。

(パラリラパラリラ)

吹かせたラッパが絶妙なダサさをかもちだす。その集団の名は…

「なんだオメェーら。」

「ん?まさかまさか、俺達をしらねぇーた〜世間知らずで困るね〜ガキは。」

「あ"」

目の前のデブなフラミンゴみてーなモヒカンを睨みつるスター。

「ふふう、そんなに言うなら教えてやろー!俺達の名は…燃卑鑑(モヒカン)だ!」

「はぁ?」

スターは、思った以上にダサいネーミングと意味わからん当て字に

「カッコ悪りぃ〜」

と声が漏れてしまった。

「んだとガキ!」

「まぁ〜まぁ〜そう言うわけで、馬も合わんことだし、今回の事はなかったってことで〜」

その瞬間、放たれる炎の拳。

「おっと、今どき流行らないすよ。炎の拳しなんて、ね〜ファウドさん。」

「汚物は焼却…」

火炎放射器を背中に背負った真っ白な清掃服を着た男性。

「おー!ファウド。ちょっどよかった、二人がかりなら兄貴にも…」

「やめとけ…」

その一声を打ち消すかの如く放たれた殺気。

「はっはぁ〜い。」

なんとか落ち着いた一同であった。

「ねぇ〜ねぇ〜スターのガキンチョ。あたいの団入りなよぉ〜」

「何言っいちょる!スターはうちん団くるに決まっちょろーが!なぁ〜スター。」

「いや、どっちの団も入らねぇーから!」

臨戦体制がとけ、なまりになまった喋り方の青いモヒカンこと。ブルーノ・ナックルジャブ 165歳。

「あ"!何言ってだいおのれ」

それに対抗するように言い返す白の長髪の女。リップ 年齢未公開。

「あ〜そう言うわけだったんですね。」

「あ〜なんつうか、あのスターの坊主の能力を買ったリップの嬢ちゃんが団に入れようと誘ったんだが、そのクラブに運悪くうちの弟が居合わせたらしくてな。そんで、どっちがスターの坊主を仲間にするかで揉めてたらしい。やれやれ、人騒がせな連中だ。」

なんとかこの場は、タトゥーの必死の説得と、モンブランさんの気の利いた酒の持ち込みによりなんとか治まった。


ちなみに、モンブランさんが酒を持ってっている間は

(ジュウ〜)

「このぐらいでいいかな。」

「よ!専業主婦ドクターちゃん。エプロン姿も似やってる〜」

「そうだね、どこかの誰かさんが全く料理を手伝ってくれないし、部屋の片付けもろくにしないからね!慣れたもんさ」

「あ!…その説は〜すみません」

「はぁ〜」

ドクターが代わりに引き受けていた。

「やれやれ、なんやかんやでもう3時じゃねーか。飲み会してる場合じゃねーな。おいオメェーら、スターの坊主は好きにすりゃーいいが、俺達は先には行くぜ。じゃーな。」

「おっす、兄貴。」

「いってらっしゃい〜タトゥーさん。」

「それじゃ、行くぞキッドの坊主。」

「はい!」

そう言って二人はその場を後にした。


それからしばらくして…

「ほら、着いたぜ。」

「ここが…」


ーーーー商都 ホワイトテラス 入口前ーーーー

「噂には聞いていましたが、こんなに立派なんですね。」

「まぁ〜な、ホワイトテラス…元名をホワイトハウスつってな。第二次魔道大戦前から戦争中にかけて、移動要塞として名高い商国の代表様がいらっしゃるお屋敷ですからねぇ〜坊主の住んでた国で言うところの、城みてぇーなもんだ。」

「移動要塞って、多脚式都市要塞ハイランダーの事ですか。」

「そうだな、てっなんだその目。好きなの?機械とか」

「いえ、機械が好きと言うより、歴史とか伝説とかが昔から好きで〜やっぱり人々の文化や価値観とかその時代の…」

キッドは目を輝かせて語り出した。それをみたタトゥーは思わず

「ぷっ、ははは、面白れーな坊主。」

「はい?」

「いやそのな、俺達がいた時代。まぁ〜俺はもぉ〜戦争末期に生まれたんだけどな。あの時代はそんな事思わなかった。俺はまだチビだったころ、戦場をかける戦車や巨大な移動要塞は…恐怖の象徴だったからな。」

その言葉に、キッドは浮かれていた自身を恥じた。

「すみません、不謹慎でした。」

「いいよいいよ、今のこんな平和な時代に生まれたんだ。無理もないさ、それによぉ〜坊主。今いるここも、そして俺達が使ってるいろんな便利なもんもよぉ〜戦争がなかったら生まれるてなかった。そう考えりゃ、悪いことばかりじゃねーさ。ただこれだけは忘れないで欲しい…」

タトゥーは、少し魔を置いてキッドの方を向き。

「俺達の生活は、多くの命の上に成り立っている。だから、そいつらへの"感謝"だけは忘れないでくれよな。坊主いやキッドの旦那。」

「はっはい」

その言葉には一切の曇りも、憎しみも怒りもこもってはいなかった。晴れやかな青い空のように爽やかな…でもどこか晴れない雨の様な悲しみがこもっていた。

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