第三十六話 兄弟(ライバル)
一方その頃ベシルは…
「「うわぁー!」」
「キャンキャン!」
チャットともに全長3mのカーバンクルの群れに追われていた。
「ねぇねぇ、お兄さん。なんか身体に力が入らないんだけどどう言うこと?」
「さ〜せん、ヤングの幻想魔法はゲームシステムを強制する能力だからすね、身体能力もゲームに合わせて正確に調整されるんすよ。」
「ん?」
ベシルは一瞬放心状態になり…
「なんじゃそりゃー!」
と、カーバンクルに追われつつ叫んだ。
そしてドクターは…
「バトルマース!」
「バトル?」
そう言うと、ルーレットがくるくると回転して
(テンテレテンテンテン!)
「ゲーム・イズ!トレイディングカードゲーム」
「カードゲーム?」
(フワァン!)
ルーレットがそう言うと、地面が開き。
(やっぱりか…)
ドクターは今まで通りの落下と言う手段での移動であったため。冷静に対処しつつ、ふりふりのスカートを抑えて落下した。
「いてて…」
(ボクももう少し運動をしないとな。)
ドクターが尻もちをついて痛がっている前に…
「ようこそでやんす、ドクター様。」
「ん?その声は…」
目の前に現れ手を差し伸べてくるは…
「ブッカーくんかい?なぜこんなところに」
「話は後でやんすよ、取り敢えず立てるでやんすか。」
ブッカーは手を差し伸べて来た。
「おっとすまない」
ドクターはその手を掴んで立ち上がる。
「で、この奇怪な空間は?」
そこは、宇宙の様な星々の空間。
「ここは、バトルエリアでやんす。」
「ここで何を?」
「そんなの決まっているでやんすか…」
そう言って、二人の足元の地面が動き。
「お〜」
(キュィーンー…ガシャン!)
リングの両端に分かれる。
「この平らな地面の様なものは…」
「トレイディングカードゲームの…ステージでやんすよ。」
ブッカーは聞きなれない言葉を言った。
「トレーディングカードゲームとは何かな?」
「ほほぉ〜ドクターの姉ヤンはしりやせんでしたか。大人気コミック、"ヒーローズ"を原作としたトレーディングカードゲーム。ヒーローズ・バトルタワー。最近流行ってるんですぜ」
そう言って、ブッカーは仮面ごしに不適な笑いを浮かべた。
「すまないねボクは流行り物には疎くてね。」
「そうでやんすか、それでは早速ルール説明を…」
ブッカーは、ルール説明を始めた…
そんな頃、ボード上を最速で駆け回るこの…
「おいおい、さっきまでの幸運はどうした?調子悪い見てーだぞ。」
「痴れこそ、良くそんなにペナルティーマスばかりに止まるな…」
「「はぁ…はぁ…」」
現在、トップを走る彼らはゴール手前までやってきていた。
「ここで…逆転勝利と行こう…ぜ!」
ルチルは、ルーレットを回した。
(クルクルクルクル)
(こいこいこい、頼む頼む頼むー!)
ルチルは内心めちゃくちゃ焦って祈った。
「ONE!」
「な…」
ゴールまであと5マス。出た目は1だった。
「ぷっ!つくづく運がないな、痴れは」
「うるせぇーよ。さっさと回せ。」
「わかっている。」
その瞬間、二人はかつてのライバルだったころの様な親しさをもって会話していた。
「6が出たら戻ってくるんだぞ。」
「それも分かっている。1やろーはカッコつけんな。」
「ちっ!」
そう言って、ドン・スモークはルーレットを回した。
「SIX!」
「よし!さー戻っておいでスモーキーちゃん。」
「あ〜本当に…」
スモークは、外したにもかかわらず。顔に笑みを浮かべていた。
「運が悪い…」
(テッレテッテー!)
「ん?」
突然スモークの周囲を囲む…
(SUDDEN DEATHー!)
の文字。
「サドンデス…だと…」
「さ〜…FINALE(終曲)と行こうか!」
そして、その影響は…
「はぁ〜はぁ〜なんとか見つけたよ〜。"レッドジュエリー"。」
「へへ、さ〜せん。負けちまった…」
二人は、数億万分の一でドロップすると言われるレッドジュエリーをカーバンクルを倒してゲットしていた。
「ゲーム…セッ!」
(ドゥン!)
「「え?」」
二人はルーレットがゲームセットを言う直前で謎の空間に瞬間移動した。
「ここは…」
「よー!フェラ姉。」
「BADキュン!」
そこにいたのはBAD。
「これはどう言うことかな?」
「すまねぇ〜、俺様達はゴール手前のあと5マスの地点まで辿り着いたんだ」
「凄いじゃ!流石お兄さんだ〜」
ベシルは目を輝かせて驚き、BADを誉めた。
「だが…」
「だが?あれ」
ベシルがBADを誉めるため、頭を撫でようとすると、そこに見えない壁があることに気づく。
「能力や武器の使用は許可しましたが、壁の破壊は禁止ですよ。ベシル様…」
そう言ってベシルに忠告するスモーク。
「はいはいっと、それよりこの状況の説明がほしかな〜スモークお兄様?」
二人またも睨み合いになった。周囲が凄まじい二人の殺気に響めき、見えない壁すら振動を起こした。
「そうですねそれではルール説明を…」
「ちょいちょーいー!」
そんな膠着状態の中、透明の壁ご少し動き。中央に第三の空間を作る。その場に現れたのは…
「ルール説明はこのルーレットちゃんがしますから、スモーク様。お仕事取らないで欲しいす。」
「わかったわかった、手早く頼むよ。」
スモークはルーレットに少し押され気味になりつつ話しを続けさせた。
「ルールは簡単っす!両チームお二人づつ選手してもい、相手を倒せば勝利。多く勝ったチームの勝ちっす。負けたチームは"振り出しに戻ってもらうのでそこんところよろしくっす!。」
ルーレットは相変わらずのハイテンションで説明を終えた。
「ん?その場合どっちが勝ってどっちかが負けた場合は?」
「その場は引き分けのとなり…全員もれなく振り出しに戻ってもらいまーす!」
「「え?」」
ルーレットの発言にBADとベシル
「「えーー!」」
驚きを隠せなかった。
「BADキュン!」
「はい?」
その時、ベシルが今までに無い甘え声でBADに話しかけ。
「絶対負けんなよ…」
「はっはい」
ベシルのいつもと違うゴミを見るような冷たい表情に、BADは涙目になって返事をした。
「それでは、両者整列!」
皆は、ご丁寧に線の描かれた場所へと移動し。
「構え!」
その指示と共に…
(キュイン!)
BADは剣を出現させ。
(ジャキ!)
ハッチは両手にオートマチックタイプの魔道銃を持ち腕を交差させ。
(クルクルクルクルガシ!)
ベシルはアンキラを呼び出しクルクルと回して大剣を持つ。
(シュ〜)
そして、スモークはリボルバーを片手に持ち。口から例の煙を出していた。
「試合…」
ルーレットさんは深くためて
「開始ー!」
その言葉を言い放った。
(キラン!)
先に仕掛けたのは、BAD。
「おらぁ!」
BADの一振は、周囲に粉塵を撒き散らす。
「危ないあぶない」
「ちっ!避けられたか。」
(シュ〜)
BADがそう言っているうちに、スモークは体制を整える前に一気にかたをつけようと真っ向から攻めてきた。
「煙の兄弟」
(ギョロギョロ)
BADは周囲を見渡し、真上からもう一人の刺客がくることに気づき。
「斬撃!」
を前後、左右に放ち。二つの対象を切り裂いた。
(フワン)
だが、二人のスモークは双方共に煙となって消えた。
「おいおい、いきなり分身てのは卑怯だろ。」
「光の魔術を行使する奴が何言ってやがる。」
そう言って、背後から現れたのはスモーク。
「お前は分身じゃ無いよな。」
「さ〜それは兄弟達の機嫌しだいだな。」
そう言って、周囲から放たれるは無数の拳。
「煙の拳」
(キラキラキラキラ)
BADは、光速で攻撃を避ける。
「ふぅ〜いきなり飛ばしてくんじゃねーか。今日はどうした?彼女でもできてやっと長年の童貞人生卒業したか?」
「無駄口を叩いてるようだが理解してるか?この状況を…」
光速で上空に跳ね上がったBADは、外から見ていて気づいた。
(既に周囲に煙が充満してる…このままだと…)
「"一酸化炭素中毒"、煙には他の毒性も含まれているがな。」
そう、このままこの密閉されたフィールド内で煙を使い続ければ一酸化炭素中毒で死亡するのは時間の問題。
「そりゃご丁寧どうも!」
(カキン!)
BADはそれでも、煙の中に突っ込みその大剣をスモーク突きつける。
「馬鹿め、策士が聞いて呆れる。」
「そうか?」
スモークは、片手に持ったリボルバーでBADの攻撃を止めていた。
その時
「ラブ・シャワー(愛の弾雨)」
(キュィーン)
「なに!」
BADの剣の宝石が突然分解され、小さな宝石となってスモークを襲う。
「くっ!」
BADはスモークから突然離れて後ろに飛び着地。スモークもすかさず距離をとった。
(バンバンバンバン)
スモークの予想通り、宝石は爆発。
(宝石を細かく分解し弾丸のように放って、お得意の罠をあらかじめ宝石に付与してインパクトで爆発、そう言うことか。)
「こんなこともできるんだぜ。」
「小賢しい真似を」
するとスモークはリボルバーを構えて、BADに向かって
(バンバンバン!)
打った。
「おうおう〜、いきなり飛ばすね〜。」
(恐らくあいつはここで光術を使って急接近するのを狙ってんだろうが…)
(キン!)
BADは弾丸を一撃弾いたあと光術を使用せず弾丸の方向へと
(ここはあえて受ける。)
突っ走った。
(キンキンキン!)
BADは、銃弾を剣で捌きつつ
(バンバンバン)
「ひっ」
接近する。
(リボルバーの弾倉数は六発、馬鹿みたいにエネルギーさえありゃ〜連発できる魔導銃と違って!)
BADは最後の弾丸を切ると同時に…
「どうした…弾切れか?」
大剣を真っ直ぐ刺すようにして、スモークの首元を狙った。
「いや、まだだ」
(バン!)
その瞬間、確かに六発打ち終わったはずのリボルバーから七発目の弾丸が飛び出た。
「痛って!」
BADは七発目の弾丸で剣を持っていた右肩に負傷を負った。
「確かに六発打ったはず…か?」
そう言って、スモークは見下すよ顎を上げてBADを見つめた。




