第二十七話 裏カジノ
「ここで何されてたんですか?」
「うっせー!お前には関係ないだろ…」
「え…」
キッドは、少年に問うが「うっせー!」と言われてしまう。
「ごら!人様になんて口の聞き方してんじゃい!。…ごめんなさいね、キッドちゃん。あの子昔からいじめられっ子でね。少し心が…」
「いいんです。理解してますから…」
キッドは、少し俯いた。
「ん?その言い草、もしかしてカポちゃんお知り合い?」
「そうよ、あっちの占い師の子が私のお友達の後輩。あのオレンジの子がお友達の息子でね。昔ちょっとやんちゃしてた時に、オレンジの子のお父さんと一つゲームをしてね…」
「ゲーム?」
ベシルはカポちゃんの言葉が引っかかったようだ。
「それで、負けちゃってね。勝利したあの子のお父さんから、「もうこんなことはやめろ」って言われて、足を洗ったわ」
「足を洗った…はは〜ん。なるほどなるほど、言及はしないで置こうかな。」
「そしてくれると助かるわ」
ベシルとカポは話しを終えた。
「あっそうだわ、二人とも。自己紹介なさい」
「「え〜」」
二人は、嫌そうにしている。
「あ"!」
「「やらせていただきます!」」
二人は起立して、敬礼した。
「え〜と、あーしの名前はベノ・ヴァイパー。よろしくだよ、お客様…」
ベノ・ヴァイパー
年齢:28歳 独身
職業:占い師
「ちっ!俺氏の名前はビリー・バッカー。勘違いすんじゃねー!俺氏はお前を認めちゃいねーからな。」
ビリー・バッカー
年齢:12歳
職業:無職
「はい、よくできました。それじゃ、皆んな席について〜。今回は特別にただでご馳走してあげるわ。」
カポちゃんは、二人の紹介が終わると同時に、ベシル達へ。席に着くよう言った。
「よっしゃー!」
「今日は上手い話が多いね。これが俗に言う、ご都合主義と言う奴かな」
「確かにな」
「ここまで来ると、怪しく見えますね」
一向は各々の反応を見せた。
数時間後…
「うへぇ〜い」
「ベシルくん〜…」
ベシルさんは酔い潰れた。
「ベシルさん、結構飲んでましたね。お酒好きなんですか?」
「あ〜、見ての通りさ」
「ベシルの姉ちゃんってスゲ〜…」
ちなみに、ベシルが飲んだ酒は、アルコール度数96のカトラズ・2(セカンド)。大樽三樽飲み干した。
「酒飲みでギャンブラー…まるであの男のようね」
「ん?すまない、あの男とは?」
ドクターは酔い潰れたベシルを横目に、質問した。
「あ〜ら、ごめんなさい。そう言えば言って無かったわね。実はね…」
「その話はやめろー!」
オレンジ髪の少年は話を遮るように叫んだ。
「…ごめんね。この話しはまた今度…」
「あ〜少し興味が湧いただけだ。別に構わないよ」
ドクターは、また言いづらい事を聞いてしまったことに少し反省しつつ、謝るカポちゃんにそう言った。
「あら、そう言えば。ベノちゃんとは、どこで知り合ったの?」
「通りで占いをやっていてね。そこでこのベシルくんやってもらったんだ。」
「え?でも、アナタ達。一問無しでしょ、お金は?」
「カポくんと同じように、ただで」
「え?でも…」
カポちゃんは何かが気になるようだ。
「そろそろいいだよ…」
ベノが、自身のMEの前で誰かにそう言った。
(バン!)
((!))
ベシル以外の全員が振り向く。
「なんじゃ我」
そこに現れたのは、黒いタキシードを着た集団。
「お〜これは、カポネ様。推しさしぶりですます。今回は、借金の取り立てに参りましたですます。」
そう語る黒いリーゼント男。
「借金?ビリーちゃんのなら、この前払ったろーがい。」
「ん?なんのことを言ってらっしゃるですます。我々が言っているのは…」
「ん?」
黒いリーゼントは、そう言って指を指す。
「そちらにいる…"ピンクの髪の女"の借金を取り立てに」
「ベシルちゃん!」
「ふへ?」
黒いリーゼント男の指し示す先にいるのは、飲んだ暮れているベシル。
「ちっょとまってくれ。ボク達は確かに一文無しだが。借金など」
「ここに!…証拠がある。」
「それは…」
そこに提示されたのは、MEのウィンドウ。そこには、借金している額とその理由。本人のサインに利子を合わせた。返済額が記載されていた。
(そんなはずは無い、ベシルくん含め。ボク達の金の管理は全てボクが引き受けている。しかもあんな額…身に覚えの無い事象が、こんなに正確な証拠を持って提示されるなんて…)
「さー!借金の返済を…てきないと言うのなら、それ相応の代価を支払っていただきますです。」
動揺するドクターをよそに、残酷に告げる黒髪リーゼント。
「いいぜ、ただし…もう少し金貸せや。カジノで全額返金してやるからよ。」
その時、さっきまで酔い潰れていたはずのベシルが立ち上がり。リーゼント男に人差し指を突き指してキメ顔でそう言った。
「ベシルくん…」
「いいでしょお!その賭け…乗って差し上げますです!。」
こうしてベシル達一向は、街の中心部カジノへ。
「さっすが〜デカイカジノだこと。」
「60階まであるらしからね。と言うか…どうするだい?この状況」
ドクターは、この状況に少し焦りを覚えていた。
「ん?どうするって何が?」
「お金の件だよ。まさか君本当にカジノなんかで借金を返さると思っているのかい?」
「大丈夫、大丈夫。なんとかなるって!」
「はぁ〜全く。君の計画性の無さは、折り紙付きかい?」
「まぁ〜まぁ〜」
ベシルはドクターに怒られつつ誤魔化し、中に入る。
「それにしても凄いですね〜」
「だな!」
キッドが驚くのも無理は無い。このカジノのは、五大国有数の大カジノ。床には、王室で引かれるような上等な赤いカーペット。窓は無く、黒い壁で覆われたその空間に無数のシャンデリア。ジャクポッドにビリーヤード、ポーカー、ルーレットダーツ。ゲームの横には、高価な物が並ぶショップも存在していた。
「すみませんがお客様。魔道具とうの持ち物は禁止ですので…」
「は〜い。」
ベシル達は、身につけている。MEも含めた魔道具を専用のケースに入れ。魔道具感知機を通って中へ。
「すみませんがお客様…魔道具は"全て"ですので」
「はいはい。ジルヴァークロス(銀十字)」
ベシルの付けていた大きな首輪は、大剣へと変わった。
「ありがとうございます…」
「いえいえ。」
黒い前髪を上げた長髪男はそれを受け取った。
「やれやれー!」
「ぶちかませー!」
見覚えのある闘技場と共に、ゴーレムファイトが行われている。
「あれ違法なんだろ。なんで街の中心で堂々と?」
「あれは、ゴーレムファイトではありません。ゴーレムレース(競馬)。通常のレースと異なって、ホース(車)では無く。アンヴァル(馬形怪物)の姿を模したゴーレム達が競争し合うんですよ。」
「へ〜、ゴーレムファイトとは違うんだな。」
「あれは本来自動運搬用のゴーレムですから、禁止されてるのは戦闘用の物だけです。」
「へ〜」
二人は、ガラス越しに外のグラウドで行われている競馬を見ていた。
「うっしゃー!」
「「ん?」」
キッドとスターが振り返る。その先には…
「嘘…だろ…」
ベシルがルーレットで、一攫千金する姿。
「おっしゃー!次行くぞー!」
「はいはい」
キッドとスターは、呆然とその光景は見ていた。
その後も
「ジャクポッドでスリーセブン!スリーセブンが出ましたー!」
「やほー!」
「ポーカー、ロイヤルストレートフラッシュ!」
「いえーい。」
などなど、カジノを楽しみつつちゃんと稼いだ。
「すげ〜」
「ベシルさんって本当になんでもできますね。」
「あ〜ベシルくんは、人間として生きる上で必要な物。身体能力、知力、経験、豪運、その全てが完璧に備わっている。長年彼女と一緒にいるが、弱点と言えばあの甘さぐらいだ。直ぐに誰かを助けようとする。今回だって、本来身赤の他人である"彼女の運命"まで背負う必要はなかったのに…まっ止められないボクもボクだけどね。」
「彼女の運命?」
ドクターの発言に、ニヒツは少し疑問が残った。
「おい、あいつら…」
「そうですねはい。」
ベシルが稼ぎまくってるのを見てか、前髪の上がった長髪の黒いタキシードの男がベシルに近寄る。
「次は〜ど・れ・に・し・よ・う・か…」
そう言いながら次のゲームを選んでいたら。
「すみませんが、お客様。」
「なに?」
「随分勝たれているご様子ですはい。」
「そうそう、ずこいしょ!」
ベシルは、前髪上げた長髪と話している。
「とても凄いですはい。それでは次はVIPエリアに行きませんか?はい」
「VIPエリア?」
「はい、そうですはい。連勝を重ねているお客様だけの。スペシャルなサービスでございますはい。」
「ふ〜んなもん聞いたことないけど」
「それは、表には出せないんですはい。あまりに稼げ過ぎてしまうので…」
男は雄弁に語る。
「へ〜」
「ちょっとまってくれ!…ボクら借金の返済額を稼ぎにきただけだ。そんなに稼ぐ必要は…」
ドクターがあまりに怪しい男の発言に止めに入る。
「OK〜良いよ。」
ベシルはその話しにら乗った。
「ベシルくん!」
「いいの、いいの。それに、元々の目的は…」
「は!」
ドクターは何かに気づいたようだ。
「「え?」」
四人はVIPエリアへ…
「ここは…」
「カジノタワー60階。VIPエリアでございます。はい。」
その先に存在するのは、赤い壁で囲われ黄金のカーペットを引き、高価な花瓶や絵画が飾られ、黒いソファーがいくつも置かれた空間。
「ようこそおいでくださいました。身共の名は、"ドン・スモーク"。ここのオーナーやっとるもんです。」
ベシル達の目の前、黒いソファーに大きく腕を広げ、足を組んで座る。灰色のV字の短髪に、目つきの悪い黄金グラサン。
「彼らは…」
その背後に並ぶ人影。
「彼らは…"遊戯の担い手"VIPエリアでは、彼らとゲームをしていただきます。」
灰髪男の左横にいるのは、黒い迷彩バンダナをした。前髪が突き出た黒髪男。
「貴官の名はダートであーる!」
灰髪の右横にいるのは、豹柄ワイシャツとニッコリ仮面をした。青い髪に緑メッシュの女。
「わしゃの名はブッカー、よろしく頼みやす」
灰髪の左後ろにいるタキシードの下に青いパーカーを着る。水色の髪をした若い男。
「ヤングつーんだ。よろしくな、お客さん」
そして灰髪の左後ろに…
「わー!」
「おっと、紹介の途中にすみません、はい。彼らもゲームに参加しますので悪しからず」
そう言って連れてこられた。占い師の女とオレンジの髪の少年。
「ヴァイパーちゃん?」
「ビリーくん。」
「おーお、久しぶりじゃねーか!ガキ…」
そうやって近づいてきた。小人族とは思えないほど大柄なムキムキ金髪モヒカンの、大きな両手とひたいに円形の刺青が彫られた男。
「こらこら、ダメですよはい。お客様ですから…」
「わーてる、すまねぇな〜おりゃ〜育ちが悪いもんでな。本当に申し訳ありません…お客様」
そう言ってにやけズラでオレンジ髪の少年に手を差し伸べる男。
「…久しぶりだな…スロット」
オレンジ髪はその手を叩く、自分で起き上がった。
「大きくなったな〜、何年ぶりだ?確か〜八年前、親父さんが死んで以来か…」
(!)
「じゃ〜行ってくるよ」
「いってらっしゃい」
それは、アパートの扉の前での会話。
「パパー!」
奥から走ってくるオレンジ髪の少年。
「ん?どうした。ビリー」
腰を曲げて、少年の頭を優しく撫でる赤髪の男。
「パパ!約束、忘れてないよね。」
「あー、このゲームに勝ったら、遊園地に行こう。ママも一緒に…」
赤髪の男は、上をみやげ。お母さんを見つめた。
「うん!約束だよ。」
「約束だ。」
そう言って男は、扉の向こうの光の中へと…消えていった。
少年は、その姿を見送った。それが最後の別れだとも知らずに…
「あの後…噂で聞いたんだよ…。父さんが出かけたあの日。カジノで勝った父さんを、VIPエリア…別名裏カジノ。そのゲームで命を落としたって…そして、その相手がお前だってこともなー!」
「命を?」
ドクターは少し疑問が残り
「すまない、命を落としたとは…」
(ガチャ)
「え?」
その時、ドクター含め全員の首に黒い首輪が…
「今から皆様に賭けていただくのは…」
(ピ!)
首輪が赤く光る。
「お金でなく…」
(!)
皆は突然どこからともなく現れた首輪に驚き。
「命です。」
灰髪は、笑顔でそう言った。




