第十五話 絶望の0(シード)
「う〜ん!は〜目覚めの良い朝だな〜。」
ベットから目覚める、黒星服姿のべシル。そのままの足でベットを降りる。そうして横を見るとニヒツの姿がないことに気づき、べシルはニヒツが外のにある飯盒炊爨に来た小学生が使う様な厨房でエプロン姿で朝食を作る姿を想像しながらゲルの様な形でをした大きなテントの中から出た。
「おはようございま〜す。べシルさん」
背のない横に長い木のベンチと、ニスのせいか無駄にツルツルした木の机。
「べシルさん、今朝ごはん作っているのでそこでお待ちください。」
黒と白のエプロン姿で、朝食を作るニヒツ
「うん、あまりにも予測通り過ぎる。て言うか、ここまでされると小学生の頃の林間合宿思い出すレベルだよ。」
「はい?」
べシルは一人思い出に吹けていた。
「「おはようー!」」
「おはようございます。皆さん。」
村の人々も続々と自身のテントから出て、活動を始めた。
「あれ?ドクターさんはまだですか。」
ハスキーはべシルに問いかけた。
「あ〜あの子は〜朝弱いかね〜」
「あたし、起こしてきますね。」
「いってら〜」
こんな目覚めの良い日差しの差す朝に、目覚めの悪い女が一人。
「ドクターさ〜ん。起きてください、朝ですよ。」
「うっうん〜朝か…陽が強いな。…寝よ。」
「ドクターさんー!起きてくださいー!。」
ハスキーの声かけも虚しく、再度寝てしまう。
「そうだよ、ドクターちゃん。潜入任務まであと二日なんだから。」
「あ〜そうか…うぅ〜(バサ!)やっぱり眠い。寝たい〜…」
「ダ〜メ!」
「はい…了解した。」
ドクターはべシルの声かけで眠そうな目をしながらも起き上がりめを擦りながら席に着いた。
「皆さん遅かったですね。もうご飯できてますよ。」
「お〜マ…ジ…」
そこに広がるは朝食の優雅なひと時とは、真逆の地獄絵図。
「「うっう〜」」
「姉様〜…」
「ニ…ヒ…ツ〜」
机に顔をつけ、倒れる村人達の目の前に並べられたほかほかのスクランブルペッグ。
「ニヒツくん…これは?」
「はい!昨日、僕達のために皆さんが宴を開いて下さったじゃないですか。皆さんの気遣いもあって結局何もお手伝いできなかったので、今日は僕が皆さんに朝食を振る舞おうと思って…」
「で…これはどう言うことかな?…」
「はい、皆さん口に入れた途端この調子で…何が悪かったのか?」
「そっそうなんだ〜なんでだろ〜ね〜。」
((ニヒツ君の料理は危ない!))
ドクターとハスキーは、命に関わる大事な事を覚えた。
「う〜ん、ニヒツくん多分ここが悪いだと…」
「はいはいあ〜確かにそうですねありがとうございます。」
そんな状況の中べシルはニヒツの隣でアドバイスをしていた。
「え!べシルさん食べたんですか!」
「ん?あ〜そうだよ。だってせっかくニヒツ様が用意してくれた初めてのご飯だよ。ショタ系イケメンエプロンも見せてもらったしね。」
「大丈夫…なんですか?」
「え?何が」
べシルはニヒツの朝食を食べてもなぜか平気だった。
「あ〜べシルくんは、昔ここではない彼女の故郷で大きな戦争があったらしく。その時の訓練である程度の毒なら大丈夫だそうだよ。」
「へ〜凄いな〜。」
べシルの衝撃的な事実発覚の後ドクターの美しき花達の魔法で、原因を取り除き治療した。その後ニヒツ達はハスキーとシロムを連れて修行を始めた。
「さっ今日はニヒツくん、君の魔法を見せてくれ。」
「はい!」
「まずは君の得意とするパワーからね。」
こうして、ニヒツはパワー(増強)、アウト(外界)、アイテム(形状)、ユニオン(複合)、全ての使用変化を見せた。
「凄いー!あたし達と使う魔法とはなんかこう…」
「カッコよさ違うな!」
「ありがとうございます。」
ニヒツは、見ていたシロムやハスキーに褒められ満更でも無い気持ちだった。
「なるほど、強力な技ばかりだね。平均的な魔法騎士や魔法使いよりは遥かに威力は高い。…しかし、雑だ。」
「雑?」
"魔力コントロール苦手っしょ、無理してブースト使わない。"
(べシルさんにも言われたな〜)
「君の使っているそれは、魔法で出した威力じゃない。君は自身の身体能力を底上げする形で魔法を使っている。それ自体は悪い事では無い…しかし、それでは魔法を使う者としては三流だ。」
「三流…」
「君の精神は、騎士としては素晴らしいものだ。しかし、魔法使いとしては…向いていないの言わざるを得ない。」
「何故ですか!」
その言葉はニヒツの生き方を否定する様な言葉だった。それにニヒツは衝撃を受けた。
「君の、学校で歴史の授業はやったよね〜?」
「はい…」
「そうか、それでは魔法騎士団の原型"聖騎士"は知ってるよね。」
「はい、戦後第五平和協定とともに、作られた魔法騎士団の原型であり。現在する"聖貴族"の原型である旧十器教団内で起きたの戦争。十器戦争にてのさい、別れた三つの派閥のうちの一つであり、のちに滅んだ。"聖書派十器教"の中にある一家、"シルヴァ家"の者達だけでできた軍事組織ですよね。」
「そうだ、それが騎士の原型。そして、彼らは聖職者。"聖"と名のつく者達は、魔法嫌っていた歴史がある。その理由が、魔法の"本質"にある。」
「本質…」
ドクターは魔法の"本質"について語った。
「魔法とは、その名の通り"魔の力"決して、聖なるものにはなり得ない汚れた力なのさ。その証拠に魔法の本質として、"自身と向き合い心の真を見抜き表す"と言うものがある。そう言えば聞こえはいいがね。この心の真と言うのは、本当自分と読み替える事が出来る。」
「本当の自分…」
「そして、本当の自分="本能"とも考える事が出来るだろう。つまりは、魔法の本質とは、決して誰にも縛られず本能のままに、自身の我儘を突き通すための力。つまりは、誰かに気を遣ったり、誰と繋がり合う事なく、自身を深く見つめる"孤独の力"。これこそが魔法の本質。」
「孤独…我儘…」
「だが、君達騎士の言う"騎士道"はそれとは真逆。誠実で忠実、信念と信仰、寛大さと博愛、その全てが魔法使いの本質とミスマッチなのさ。だから、原型である聖騎士は魔法を頑なに禁止し、その代わりに武器を持って戦った。だから未だに君たちは魔法使いでありながら剣や槍を握る…それが、現実。魔法騎士そもそも根底から矛盾しているのさ。」
「…それでも」
「それでも強者はいる。騎士団にも強者はいるよ。だけど、それら強者は皆自信家だったり、マイペースだったり…どこか無地気な傲慢さや我儘なところがあるとは思わないかい?」
その時ニヒツは、今まで出会った強者達を思い返す。ルチルやウルシーはその最たる例であり、魔法が使えないべシルさんさへも、それらを持ち合わせていた。一人…一人を除いて…
「…」
ニヒツはただ拳を握ることしか出来なかった。
「な〜ニヒツくん、君の憧れる英雄も…君の思うような騎士道的な精神の者達ばかりじゃなかったはずだ。…なにもボクは君の生き方を否定するつもりはないしかし、君の瞳は光を見過ぎている。英雄と言う…光を…この世界は光よりもずっと闇の方が多いことを知らず、心の底にある自身の闇とも向き合得ていない。今のままの君では、いつまでたっても…三流のままだ。」
それはドクターから出た厳しい言葉だった。
ドクターは回れ右をして、森の外へ歩いて行く。
「ヒュ〜随分厳しいね。」
そこには、木にもたれかかるべシル。
「仕方がないだろう。彼は強い、ハスキーくんやシロムくんの様な初心者を育てるのとは訳が違う。優秀だからこそ、厳しく当たらなければ。」
「さっすが元教え子を持つ先生ですこと」
「からかわんでくれ、それに…教え子を闇の世界に落とした。"愚かな"師である私には…彼の様な光を目指す若者を育てる資格など、本来持ち合わせていないのだから…」
「はっ、よしそいじゃー!うぅ〜うん。やりますか」
べシルは上方向に腕を伸ばし、腰に手を当てそう言った。そうして、森に入りシロムやハスキーが見ている前でニヒツの修行を続けた。
「カッコよかったな〜べシルの姉御のあの高速の動き。凄すぎてマジで震えたぜ。」
「うん!凄かった凄かった。ニヒツくんもあんな早いのに対応出来ちゃうなんてやっぱり魔法騎士団だけあってあたし達とは違うね。」
「…」
ニヒツは俯いていた。
「どうしたー!ニヒツ!」
「いっいえなんでも…」
「もしかして…今朝の…」
ハスキーはニヒツの異変に気づきもしかしたらと問いかけてみた。
「はっはい…少し…悩んでいて…」
「…ニヒツくん」
「なんで悩む必要があるだ?」
「え?」
その時ニヒツのテントで修行あとに、皆で食べてと渡されたポテチを食べていたシロムに言われた一言。
「シロム!」
「だってよ〜、魔法つーのは"我儘を突き通す"力なだろ。だったら、ニヒツの生きたい様に生きれば、それって我儘って〜やつじゃねーの。知らねーけど。」
シロムが、さらっと言ったその言葉は、ニヒツの悩みを吹き飛ばす様な強い言葉だった。
「そんな適当なことな訳ないでしょ。」
「いえ、いいんですハスキーさん。シロムくん…ありがとう。」
「ん?(ボリボリ)おう!俺ちゃんに出来ることならどんなことでも手伝うぜ。それが"家族"ってもんだ。」
「家族…」
「ん?町だとダチって言うのか?まっどっちも大切なことに変わりはねーし、仲良くなっら皆家族だ。」
「…うん、そうだね。」
ニヒツはシロムの明るさに押される形で悩みを断ち。明日の任務のためにシロムとハスキーを早めに帰らせ、寝床についた。
「うぅ〜ん、あれ?べシルさんまだ帰ってきてない、も〜こんな時間なのに…」
いつもなら"寝不足はお肌に悪いから"と言って10時までには必ず寝ているべシルが、12時にらなっても帰ってこないことに疑問を抱いたニヒツはテントから出て外を見渡すと皆が静まり返るなか、一つだけ明かりのついたテントが。
「よし、これで明日の潜入作戦の件は話がついたね。」
「よっしゃー!やっと終わった〜。」
べシルの喜びの声が、響きわたる。
(ん?べシルさんの声だ。)
「べシルさ」
「俺を使うのはいいが、べシルの姉御、ニヒツちゃんあの話しすんの?」
(おの話…)
「ん?なんのこと〜。」
「惚けんなよ。正体隠してるだろ…"ベスル・ラブ・アンベシル"殿。」
(!)
「ルチルくん!」
「いいじゃないすか、ニヒツちゃんはいないんだ」
「どう言う…ことですか…」
「し…」
「はぁ〜。」
まずいところを見られたため、皆部が悪そうな顔をして突如現れたニヒツを見つめた。
「…」
そんななか一人、下を向きブルーハワイを飲むべシル。
「何か言ってくださいよ。べシルさん…」
「…」
「どう言うことか説明してください!」
「…」
(あっやべ完全な修羅場だ。)
「"ベスル・ラブ・アンベシル"…世界最大の大犯罪者…。失望しましたよ、べシル…いや"ベスル・ラブ・アンベシル"、人々の命を奪ったあなたを…ボクは決してあなたを許さない(ダッ!)」
「ニヒツくん!」
ニヒツはその言葉残して、ニヒツは真夜中の暗闇へと走り出していった。
「もしかしなくて〜」
「完全にやらかしたよ…君は…」
ルチルは、自身がやらかしたことに動揺しつつべシルの方を向いた。
「いや、ルチルお兄さんは悪くないよ。いつかはバレる事だった。それが今だったて〜だけさ。」
「べシルくん…」
その後ニヒツは暗闇の中、村を一人で出て行き。帝都へ潜入することを決めたのであった。
「…よし!」
「まちなされニヒツ少年」
そこに現れるはゲッコと黒金の仮面の皆さん。
「なにか?」
(ブウォン!)
凄まじい殺気が村の全域をら包む。
「気持ちはお察ししますぞ。ですが、こんな夜中に出ていかなくともぞ。明日、日が明けた後でもいいのでは?」
「いえ…もう決めましたから。」
ニヒツは頑なに意識を変えようとはしなかった。
「そうですか…では、黒金の仮面からこのウディーが出口まで案内いたしますぞ。この夜ですし、ここは迷いの森…良いですかな。」
「ありがとうございます。」
「それじゃウディー頼むよ。」
(フルフル(首を振る))
こうして、ニヒツは暗闇のなか帝都を目指し、走り出した。
(よかった、あの殺気は黒金の仮面の幹部クラスで無いと耐えきれんかったな。皆が混乱するかも知れん、後で訳を話そう。)
「でも珍しいなウディーこともあるものでありますな。あのサボり屋ウディーが、素直に指示に従うとは、本館関心であります。」
「そうだな、あの釣り以外に興味を示さないあの馬鹿が…」
(タッタッタ)
「悪ルィ悪ルィ、こんな深夜に呼び出すから眠くてよ〜。」
「え?」
「ウディー?なぜいるさ〜。」
(タッタッタ)
「司教様ー!若がテントにいやせん。」
「あの〜…馬鹿孫がー!」
その頃ニヒツは…森の出口に差し掛かっていた。
「ここまでで大丈夫です。ウディーさんこんな遅くにありがとうございました。」
「何にいってんだよニヒツ。俺ちゃんのこと忘れたのか?」
「俺ちゃん?…は!まさか…」
「そうそうまさかまさかの…(バ!)シロム様参上だぜー!」
黒星教団の金の黒星が描かれた黒いローブを脱ぎ捨て、その素顔をニヒツに見せた。
「にヒャヒャ!」
「で…ついてくる気…ですよね。」
「おう!」
シロムはニヒツについて行ことになった。
(タッタッタ)
「ニヒツ、こっからどうすんだよ?」
「帝都に行くために最短のルートを進みます。ただ…」
「ただ?」
(ジ!)
「ここで止まってください!」
「おっと、どうした。」
「ここからは、一波ありますから」
ニヒツはシロムに一連の説明を始めた。
「暴風雨!」
「そうです、この先には見ての通り大きな谷が多くあります。落ちたら死は確定ですし、その上…」
(バン!…ゴロゴロ…)
ニヒツはいきなり、バレットを放った。
「なんでいきなり魔法を(バチンー!)え!なんでいきなり雷が…」
「この先の、フライシュと呼ばれる区域は、魔法などの自然界に存在するエーテル以外の力を検出すと、空か落雷が落ちてきます。魔法はもちろ…さっきウディーさんとの身長さをごまかすために黒星砂を足にまとったりしてましたけど、黒星砂の操作もやめてくださいね。」
「へ〜い…でもよ〜だったらこの谷どうやって降りるんだ。」
「シロムくん少し離れててください。危ないですから」
「おっおう、だけどどうす」
(バ!)
「え?…飛び降りたー!」
ニヒツは高い谷からいきなり飛び降りた。
「フュー!」
ニヒツは落下中に口笛を吹く。
「何をしようてんだ。」
(パカラパカラパカラパカラ!)
ニヒツが落下する直前!
(フワン…ポン!ゴロゴロ…スッ…)
「ニヒ!」
(バチン!)
「うわ!」
落雷が、ニヒツの落下地点に落ちる。
「ニヒツ?」
ニヒツは落雷と共に姿を消した。
「シロームくーん!降りてきてくださ〜い。」
谷の下からニヒツの声。
「ニヒツ!生きてんのかー!」
「はい!降りてきてくださーい!」
「おっおう…男シロム!いっきま〜す。」
(バ!)
シロムはニヒツを信じて迷わず飛び降りた。
(シューン!)
「うわぁー!落ちる落ちるー!」
(ポヨン!)
「え!?」
シロムは謎のクッションに受け止められ無事だった。
(コロコロ…ダン!)
シロムはクッションから転がり落ちた。
「痛てて〜。ん?でもちょと痛いだけで思ったより〜つか…生きてるー!なんでなんで…」
「はは!シロムくん始めましてですね。オークさんです。」
「オーク?…」
シロムが振り向くと、そこには大きな緑の化け物が…
「オクオク」
「…うぁー!でーたー!(ガシ!)」
シロムは驚きのあまり、尻餅をついたままニヒツの方へよってきて、ニヒツの足を掴んだ。
「大丈夫ですよ。シロムくんオークさんは僕の友達です。」
「オクオク!」
「え!?」
「あれは、五年前。村にいた頃のこと、不当税金回収にきた騎士団が村の人々に危害を加えるのを止めるため取引として、オークさん討伐の依頼を受けた時のこと…」
時は五年前のニヒツが迷宮でオークと対峙した後のこと…
「オーク!(ブルン!)」
オークの一撃が、ニヒツに襲いかかる。
「ブウァー!」
(ブォンー!フー!)
オークの巨腕が、止まった。
「ん…ケルピー!」
(パカパカ…)
「ブウァブウァ…ブウァー!」
「オクオクオク!」
「ブウァブウァブウァブウァ!」
怪物達は何かを話し合っている様だ。
「オクオーク…」
(ドン!)
話は切りがついたのかオークはその場に座る。
(「…少年!」)
「え!何この声…誰!」
(「わたしです、ケルピーです。」)
その話の主はケルピー
「え!でも…どうやって…」
(「魔法であなたの心に直接話しかけています。」)
「魔法で…」
(「はい…"ハート(心通)"と言う魔法で、自身の心を直接相手の心に影響を与えることで、言語の違う相手や遠く離れた相手とも、無く声を出すことなく会話できます。」)
ケルピーはそう語たった。
「え!そんな力が…」
(「そして、あなたがさっきからケルピーと呼んでいたので、ケルピーと名乗りましたが、わたしはケルピーではなくケルピマです。」)
「ケルピマ…」
説明しよう、ケルピマとは、魔法が使えるように、特殊な進化を遂げたケルピーである。違いは、額に魔鉱石があるぞ。
「あ!ケルピマさん!その方法が有ればオークさんと話すことは可能ですか?」
(「はい!」)
「やったー!ぜひやり方を教えてください。」
ニヒツはケルピマに教えをこう。
(「わかりました。ではまず目をつぶって」)
「はい!」
(「そして、力を胸に集中させるイメージで…」)
「力を…胸に…」
(「は!聴こえますかー!ケルピマさーん」)
(「はい…聴こえていますよ。では、次は目を開けて」)
(「はい!」)
(「オーク坊ちゃまの方を向いて、同じことをしてみてください。」)
(「はい!…オークさんに…」)
ニヒツはオークとハート(心通)を使い精神会話を試みる。
(「オーク…さん?」)
(「ん?吾様はオークだ。お前は誰だ。」)
(「やった!繋がった。いけないいけない、僕はニヒツ、ニヒツ・トリビライザ。今あなたの前にいる小さな人間です。」)
(「人の子か、しかも最弱の人間。其方、ここになんの様だ。あんなに暴れよって、何が目的だー!」)
(「はっはい!非常に言いにくいのですが、実は僕の村が襲われてしまい、オークさんを討伐に…」)
(「なに!」)
(「すっすみません!」)
ニヒツは本人の前で討伐しに来たことを伝えて、とても恐縮した。
(「いや…そうではない。其方、村が襲われたのか?」)
(「はっはい!」)
(「誰に?」)
(「帝国の騎士団にです。」)
(「其方もか…まさか、同類である人にまで、危害を加えようとわ。…人の子よ。其方の言葉信じようぞ。」)
(「ほっ本当ですか!」)
ニヒツはオークの和解の言葉に感動した。
(「あ〜ケルピマが信頼した男だからな、それに襲われる者の気持ちは、吾様が一番理解している。」)
(「襲われる者の気持ち?何かあったんですか?」)
ニヒツはオークに問う。
(「…20年まえまだ吾様が小さき頃。この洞穴で、母と共に暮らしていたのだが、ある日。不思議な格好をした騎士と名乗る人が、現れた。その者達は、吾母の持つ"斧"を狙っていたらしい。」)
(「"斧"を…」)
(「母は必死に戦い、騎士団を圧倒して、ほとんどの者たちを殺していった。…そして、五年前…今までの者とは比べものにならない強さの騎士が現れた。その男は母の剛腕にも、"斧"でも対応できず。とうとう力尽きてしまった。しかし、母はこの森の守り神の様な存在だったため、母が死に吾の洞穴やその外にあるこの森をどこか来たかも分からん連中に奪われ森や迷宮の元いた怪物達は、襲われ根絶やしされた。」)
(「…」)
(「だが、体は成長したとはいえ今だ戦いなど無縁であった吾様にはどうすることも出来ず。その時、母と仲の良かったこのケルピマが、不思議な力で、仲間を連れて連中を倒し、この場所を守ってくれたのだ。それから、吾様はケルピーに戦いを習い、母までとは行かぬものの、強くなりこうして、其方のような侵入者を迷宮から追い出しておるのだ。」)
オークは語り終えた。
(「そんなことがあったんですね。でもそれならなぜ僕のような者を許すのですか?」)
(「人の子よ。其方の言う通り、本来其方を信じるつもりは毛頭無かった。其方が、こうやって話してきても其方一人なら許しはしない。しかし…恩人であるケルピマの認めた者だ…疑う予知無い。)
(はい!ありがとうございます。」)
ニヒツはそう言うと、オークからケルピマにハートを切り替えた。
(「ケルピマさん、なぜオークさんのお母さんの"斧"を狙ったんでしょうか?オークが斧や棍棒を持つのは当然のはず…」)
(「それは、恐らく"四宝"が関係しているんだと思います。」)
(「四宝?」)
(「天人族・ガーディアン家の秘宝。"四宝"か。」)
(「え!誰!」)
そこに現れたのは、フード付きで首から足先まで覆うほどある黒の皮ジャケットに、肌が黒、目が紫色の蝿が描かれた仮面をした男と、銀色のRDと書かれた囚人服の様なものにみを包む、少年。
「オルー!」
「ブウァー!」
(「どうしたんですか?ケルピマさん。」)
(「ニヒツこいつはヤバイ!」)
(ブウォン!)
そこで放たれたの殺気。今のニヒツだからわかる。今の殺気は、ハート(心通)の魔法による者だと、確信した。
(バタバタバタバタ…)
蝿頭の殺気にやられケルピマ以外の全てのモンスターと
(あれ…意識が…)
ニヒツも倒れた。
「うっうん〜」
「ケルピマ、貴公の持つその底なしの海を生み出す力も"四宝"だろう。」
ニヒツは意識が途切れる間際に男の発言を少し効いた。
(「起きてくださ〜い。ニヒツさん?」)
「あれ、ケルピマさん。」
(「はい、ケルピマです。」)
ケルピマは少し微笑みつつニヒツを起こした。
「さっきの男は…」
(「なんのことですか?男とは」)
「えっだってさっき…気のせい…ですかね。」
(「そうでしょうねきっと」)
ニヒツはさっきの不思議な出来事に疑問を覚つつ一旦納得した。
(「そう言えば、ニヒツさん。ハート(心通)解けてますよ。」)
「あっ本当だ。うっうん」
(「気を取り直して…ところで、ケルピマさん。なぜ僕を信じたんですか?」)
(「それは…あなたが、わたし達を殺さなかったからです。」)
(「殺さなかった?」)
(「はい…あなたは私達を殺さず倒した。それどころか、わたし達オーク様を庇うのをみて討ち取るはずのオーク様すら助けようとした。そこに、共感しただけのことです。」)
(「そうですか…ありがとうございます。」)
(「どういたしまして…それで、村の件はどうされるです?」)
「私がなんとかしよう」
「はい?あなたは」
そこに現れた口まで覆うほどのフード付きの黒の軍服と黒の大剣を持つ男。
「私の名はヒュース・コール。通りすがりの騎士さ。」




