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第十四話 過去

これは、五年前ニヒツがまだ騎士団に入る前、まだキント村にいた時の事。

「いや、だから言ってるじゃ無いですか!税金ならこの前確かにあなた方に支払ったと」

「あ"んだと爺さん?この魔法騎士団様に逆らうのか?」

「おい爺い!答えろ!」

村の現村長のお爺さんを脅す顔中に28個のピヤスをした黄金の光花団の黄色い服装の男と同じく黄金の光花団の服装をした。全身に刺青だらけの、腕まくり着崩し男の二名。

「やめてください。」

「「あ"」」

そこに現れる白髪天パの短髪にゴツい眼帯。青い浴衣の少年…ニヒツだった。

「税金ならこの前払ったのを僕も見ていました。それにお爺さんは心臓が悪いんです。あまり乱暴は…」

「なにごちゃごちゃ言ってんだ!クソガキ。騎士団様が払ってねーて言ってだから…払ってねーんだよ!」

ピヤス男が、ニヒツの脇腹に向かって高速の足蹴りを繰り出す。

(ガシ!)

「払いましたと言ったんです。」

ニヒツはピヤス男の蹴りを止めた。

(なに!鍛え抜いたこの俺の蹴りを…)

「な〜ガキ、テメェ様結構出来そうじゃん。そこでさ〜取引しないか?」

「取引…」

刺青男がニヒツに取引を持ちかけてきた。

「こいつ(バ!)この依頼書のモンスター。オークってんだけどさ、倒してこいよ。そしたら今回の取り立てもテメェ様のその行動も無かったことにしてやる。ちなみにこいつの依頼レベルはディザスター(災害)この意味わかるか?」

依頼レベルとは、今から60年前まで栄えていた傭兵ギルドが定め現在は魔法騎士団も使っている一つの依頼に対する難易度を定めた表である。難易度は全部で五段階

日常(レギュラー):戦闘のリスクが少ない依頼

危険(ハザード):戦闘及び死のリスクあり

災害(ディザスター):複数の人命および近隣の

         人々に被害あり

崩壊(コラプス):国一つの崩壊および甚大

       な影響あり

滅亡(ルイン):メディウス・ロクス(この世界)

      滅亡の危機。

これら五段階の依頼レベルの内の一つであり、残りの二つはほとんど訪れてる事は無いため。実質的な魔法騎士団最高難易度の依頼である。

「ふざけないでください!村長は、確かに税金をあなた方に渡しました。それに…先月も税金で同じようなことがあってその時は村長のミスだと思い支払いましたが、そんなことがこんな短期間で何回も起きるわけがありません!まさかとは思いますが、払った税金を私欲に使ってるじゃ…」

「んな証拠がどこにある?な〜答えろよ雌豚ー!」

「きゃー!」

心臓の悪い村長を庇った看護師の女性に足蹴りを…

「受けます!」

(ブウォーンフュ〜)

ピヤス男の足が澄んでのところで止まる。

「なんつった…ガキ?」

「だから…依頼を受けさせていただきますと言いました。」

「ヒュ〜カッコイイ〜。」

ニヒツは二人の予想を裏切る答えを出した。

「そのかわり二人は解放してください。」

「よ〜し、じゃ取引だ。流石に時間制限なしじゃ〜あっしらも待ちきれないんでね〜。それで、今から日が暮れるまでにオークを倒してここに首を持ってこい。そうすりゃ今回のことは無かったことにして帰ってやるよ。」

「村の人々は…」

「手ださねぇ〜それが契約だ。」

「…」

不敵に笑う刺青にそれを睨みつけるニヒツ。

「ニヒツバカな真似はよせ!お前の命は確実に無い!ディザスター(災害)はその名の通り災害級のモンスター。実質的な最高難易度の依頼。それに、この依頼書…出されたのは二十年も前じゃ。これがどう言う意味かわかるかニヒツー!これは二十年間一度も倒せなかった大物じゃー!確実に死ぬ!」

「村長さん…」

「頼むニヒツ!この通りじゃお前は…お前は儂らの希望なんじゃ…若く、そして強い。お前にはまだ未来がある。お前も言とったじゃないか"騎士団に入って…英雄になると!"」

村長は頭を地面に擦り付けニヒツせがんだ。

「英雄ね〜」

「ガッガッガー!こいつマジかよー!英雄だってよ〜ありぇねぇ〜だろー!」

「そうか?これが達成出来りゃ〜騎士団加入は絶対になるんだぜガキいや…英雄…くん」

ニヒツは村長を見つめながらその心を確かめそして前を向いた。

「その取引受けさせていただきます。」

「ニヒツ!」

「村長さん、僕の事をそんなに思っていただいて本当にありがとうございます。でも僕はこの村のみんなを守りたいんです。」

「ニヒツ…」

「それに…僕の目指す英雄は、"世界の全ての人を守れる大英雄になる事ですから"。英雄になるためにこの村を見捨ててしまったら一生夢の英雄にはなれませんから。」

「契約成立だな!」

「はい!」

そう言ってニヒツは、あゆみを進めた。

ニヒツは、依頼用紙にあったドンナスターク区霧の森。その奥にある地下迷宮、オルクス(撲殺の番)。古びたトンネルのようなその場所は、その雰囲気を強烈異臭と共に恐ろしげに見せつけて来た。

(ポタポタ)

(この匂い、滴る汚れた緑の水…いやこの匂いは…死体か…)

ニヒツはその奇妙な雰囲気のする死体がゾロゾロ倒れているその場所へ…足を踏み入れた。

その頃一方村では…

「きゃー!」

「るっせぇぞ田舎の下民どもー!ここは帝都中央から離れた人間どもの住むゴミ溜め。そんな辺境の地わざわざ来てやってしかも、日が暮れるまで待ってやるつってんだよ〜。女の一人くらい〜(ダン!)」

(棒!)

「ヒュ〜おっかねぇ〜人間つーのは最弱種族じゃなかったのかい」

「だっだれだテメェ!」

「(ゴクゴク)はぁ〜ヒック、はじめましてじゃ〜けーの〜。わいの名はシーラ。この村でちょとした剣術道場しとるもんどす〜以後よろしゅうな〜。」

そこに現れたのは青い着物姿に身を包みカランコロンと下駄の音を鳴らしながら近寄ってくる白髪のアンバンヘアーの爺さんが酒のひょうたんを片手に歩いてきた。

「どちら様かな?」

「わいか?わいはただの爺いじゃけ〜の〜。ところでそこのピヤスの兄ちゃん〜あんさんはあの"白髪坊主"と契約しとってはったよな〜。」

「あ"!だがらなんだよクソ爺い」

「つまりやな〜黙って見とれーちゅことや(ブウォーン)」

(この殺気!)

「フュ〜まっ爺様があのガキとどんな関係かはしらねぇ〜が、あのガキは死ぬ確実にな」

「なんでそない思うんや」

「ガキに教えたのは、迷宮の最深部におるオークの事だけだからな、あの依頼書の中には…迷宮(ダンジョン)の情報はいっさい入ってねー!それじゃ確実に奴らの餌になってしめぇ〜よ。」

その頃ニヒツはダンジョンの分かれ道に立っていた。

「分かれ道…ですね。三つあるけどどれに…」

(ガシ!)

「え!」

(バシャン!)

「うぉ!」

(水が…深い、でもさっきまで…あんなに浅かったのになぜ…)

ニヒツが立っていた緑の水が滴るその空間から謎の手が出現し、その手がニヒツを掴み下に引っ張るとその瞬間!周囲が深み海へと変わった。

「ブウァ〜」

(この響くような低音…そして水の中に人を引き摺り込むこの性質は…"ケルピー")

ニヒツが考えを巡らす間にもどんどんとニヒツを奥へ奥へと連れて行くケルピーと呼ばれるモンスター(怪物)

(このままじゃ…息が…)

「キンキンキンキンキンキン」

(水中で金属音…まさか!)

その飛び魚とピラニヤが合体したような姿のモンスターは"ウォーター・リーパー"。それらはニヒツを取り囲むようにニヒツを狙う。

再び視点は村へ

「ガキに教えたのは、迷宮(ダンジョン)の最深部にいるオークの情報だけ、だがあの迷宮(ダンジョン)には、他にも厄介なモンスターがいる。それだけじゃない、あの迷宮(ダンジョン)そのものに厄介な仕掛けがあるあそこを攻略するのは、そこの村長様が言ってた通り20年間騎士団の誰も倒せていない。奴は"想定外"の出来事に対応できず死ぬって寸法よ」

「そうかい?兄ちゃん。その仕掛けがなんかわ知らんけんどよ〜。一つわかってはる事は…"おまんらが素人やっちゅーことやな"。」

シーラは騎士団の連中を小馬鹿する発言を放った。

「は?…テメェ…今何つったー!」

「素人ちゅーたんや、兄ちゃん耳悪りぃか?」

「あ"ー!」

「やめねーか、"ズィーベン"」

「兄者…なぜ…」

「"ズィーベン"〜まだわかんねーのか?目の前の男の…ヤバさが…」

「兄ちゃん人格はともかく、目はいいよ〜じゃな。」

「はっ!そもそも"人"じゃねーし(小声)…それよりさっきの言葉の意味、こいつのためにも聴かせてくんねーか?」

「なーに、そなけったいなことじゃありゃせんよ。ただ…戦場で想定外など…"当たり前"の事だと思いはっただけですわ〜」

そして再び視点はニヒツへ

「ガシガシガシガシガシガシガシガシ」

(キリ)

「ブウァ〜!」

下からは巨大な化け物に捕まれ、周囲には尖った牙を持つ化けが、そんな絶望的な状況で少年は…刃を握った。

(青月(ブルームーン)…抜刀!)

棒の様に細いその鞘から、細くしかし鋭い光り輝く刃が

(丸餅(ラウンド))

(ジャキン!)

周囲のモンスター(怪物)の牙を…切り裂いた。

「ガシ!?」

(チャキ)

刃を鞘に戻した。

「ブウァ!?」

(跳び(ジャンプ))

(ダン!)

ニヒツは下にいたケルピーを迷宮(ダンジョン)まで吹き飛ばした。

(グルグルグルグルグル!ジャパン!)

ニヒツはジャンプ(跳び餅)で、深い水の空間を抜け出し迷宮(ダンジョン)に戻った

(タ!)

「はぁ〜水が浅くなっている。あれはあなたの能力ですか!」

「ブウァー!」

「落ち着いて…話し合う気はない様ですね。」

全長6m近くある巨大な馬の上半身と魚の下半身を持つモンスター(怪物)ケルピーがニヒツに襲いかかる。

「ブウァ!(ダン!)」

(シュシュシュシュシュシュシュシュ)

ニヒツは後ろに縦回転しながら攻撃を避ける。

「ブウァー!(ダン!ダン!ダン!ダン!…)」

大きな音を立てニヒツの方向へと走って近づく

一刀流(ファーストブレイド)卯月流(ラビットザムーン)…」

「ブウァー!」

ケルピーが攻撃がニヒツの頭部に当たる直前

餅月(ドロップ)!(ダン!)

「ブウァ?」

ニヒツの攻撃はケルピーの巨腕を弾き

「そして…丸餅(ラウンド)

(シャキンー!)

「ブウァ…」

「安心してください…ウォーター・リーパーも…そしてあなたも…全て峰打ちです。」

(バンー!)

ケルピーが倒れた。

(フォ!)

ケルピーが気絶し倒れると同時に三本の道は一つへ戻った。

「別れた道はケルピーの使う霧魔法で作り出した蜃気楼のだったのか…とりあえず先に進もう。」

(タッタッタ…)

ニヒツが奥へと歩みを進めるなか、村ではシーラと刺青との話しが続いていた。

「おい!爺さん。」

「どないしはったん?」

「この棒切れ…なんだ?」

ピヤスが、シーラに質問した。

「あ〜それは刀ちゅーねん。」

「刀?聞いたこともね〜。この細い棒切れで何ができるつーだ。」

「ま〜それは木刀やねんけど…ニヒツの奴…まちごーてわいの刀持って行きよったな。自分の木刀置いて〜」

「な〜爺様、俺にもその"刀"ての一本くれよ。」

刺青男はシーラに刀の作成をお願いする

「すまんな〜わいは鍛冶屋の〜て剣士…わいの国では"侍"言いはってんねんけど。だから刀なは作られへんどす。かんにんな〜。」

「そりゃ残念。」

その頃ニヒツは…

「オル〜」

迷宮(ダンジョン)最深部へと辿り着いていた。

「これが…オーク」

(デカイな…ケルピーの比じゃない…)

その全長15m。その巨体ためか、その場所は今までニヒツがモンスターを退けながら歩いてきた。迷宮(ダンジョン)の全てが穴の様に繋がった筒状の空間であり、そんな巨体ですら小さく見えるほど地中奥深くだった。

「オール!(ダーン!)」

(シュシュタタタタタ!)

餅月(ドロップ)!(ポヨン!)」

(なに!)

「オルッ(ダン!ダン!ダン!ダン!)」

(見た目通り攻撃範囲、威力共にデカイ。一発一発が、まるで爆撃の如き威力。それになにより)

(シュシュタタタタッジャキン!ポヨン!))

(やっぱり…あの皮膚の弾力。あれのせいで弾き返す事はできても…攻撃がダメージまでに至っていない。ケルピーとはかってが違うか…しかも相手の身体を軟化させ相手の防御を貫通して身体を断たず神経に直接ダメージを与え気絶させる。卯月流とは相性が悪いな…それじゃ…これで!)

「オー…ルー!(フー!)」

振り下ろされたオークの一撃…初めて対峙する相性の悪い相手。"想定外"の出来事。だが、それで諦めるニヒツでは無かった。

「…兎餅(ラビット)

(クルクルクルクルクルクルクルクル)

ニヒツは跳び(ジャンプ)と同じ縦回転で腕を弾き飛ばし、そのまま縦回転のまま周囲を予測不能の不規則的な動きで動き回りオークを翻弄される。

「オオル?…オォ〜オルオルオル(ダンダンダン!)」

ニヒツの動きに対応できなかったのか、デタラメに拳を地面に叩きつける。

(よし聞いてる動きは読まれなくなったとは言え肝心の肉体へのダメージは…この技、まだ練習中だけど…一か八か)

(ダンダンダンダンダンダン)

(ミラー・ザ)

「オーーーーール!(ダン!)」

ニヒツは周囲を取り囲んだその場所からクルクルと円を描く様に回っただが、それだけでは丸餅(ラウンド)と同じ動きだ。だが、この攻撃は丸餅(ラウンド)とは少し違った。その違いは明確にその回転力と攻撃範囲、威力それらに現れていた。その回転はまるで竜巻のら様に襲いかかる。

(ポヨン〜)

「オルッルル(無駄無駄)」

そしてその竜巻は、そのブヨブヨの皮膚を凄まじい回転力で巻き込み。

(ポヨポヨポヨポヨポヨポヨ)

「オル!?」

(ポヨポヨポヨポヨポヨポヨブニ…)

まるで搾りあげられた雑巾の如くその皮膚を…巻き込んだ。

「開き(オープン)」

(パチン!)

「オル?!オルオル!」

(クルクルクルクルクルクル)

その巨体の回転は超巨大な竜巻の如き風を生み出し周囲の連なる筒内の開いた穴の部分にいるモンスター(怪物)達をニヒツとと共に高き上空に吹き飛ばし、数百メートル近くあった筒を乗り越え地上に天高く飛ばさた。

「ガシー!」

「ブウァー!」

「これはまずいな、どうするか〜…シーラさんに怒られるだろな〜。でもモンスター(怪物)とは言え、命には変えられない…」

ニヒツはそう言うと、刀に手を置き構えた。自信含めモンスター達が地面に激突するギリギリを…そしてそれは今!

「抜刀!鏡開き(ミラー・ザ・オープン)」

そこには再び凄まじい回転による竜巻が起きモンスター(怪物)達は再び上空かと思ったが、

「ガシ!ガシガシ!?(ダン)」

「ブウァ!ブウァブウァ!?(ダン)」

一瞬つくられた回転での風は、激突の衝撃を吸収し、モンスター達は安全な状態で落下した。

「ふ〜これで良いかな。」

そしてニヒツの前には、彼らを吹き飛ばした超巨大竜巻の本体である。オークが座っていた。恐らく竜巻となってここまで上がってきたんだろ〜その証拠に目を回していた。

「オル〜オ〜ル〜」

「ん!」

そこでニヒツは初めて違和感に気づいた。

「ブウァ!」

「ガシガシ!」

モンスター達が目を回し弱ったオークを取り囲み守っている姿を見たからだ。

「そうか、僕を襲ってきたのはオークを守るため…」

「オオ?(ギロ)オーーー!」

弱っていながらもオークは皆を守るため敵であるニヒツに周囲の霧が消え、森がざわめくほどの咆哮をニヒツに浴びせた。

「オークさん、今回あなた方に危害を加えてしまい申し訳ない。ケルピーやウォーター・リーパーも、君達の事をよく知らなったからなんだ。」

「ガシー!」

「直ぐに許して貰うなんて思わない。でも何か僕にできる事で、返せるものがあるなら教えて欲しいんだ。」

「オーク」

ニヒツの言葉はオーク達には届くはずも無かった。

そして村では…

「そろそろ日が暮れぞー!さぁ〜あの坊主は帰ってこれるかな?5.4.3.2.1…シー…」

「ただいま戻りました。」

その声がしたのは"ズィーベン"と言う男が、住民を蹴り込む手前だった。

「は!マジかよ。このガキ」

「いや…何も持ってねーみたいだぞ。"ズィーベン"」

そうニヒツは手ぶらだった。

「お〜本当じゃねーか驚ろかせやがって…なんだー!のこのこ逃げ帰ってきたのかガキ〜。」

「いえ、約束通りオークは倒しました。」

「は!そんな証拠どこにあんだよ。首はどうした首は!」

「そうだぜテメェ様。首がなきゃ依頼達成にはならね〜。」

騎士団の二人の言うことは正しかった。確かにモンスター(怪物)の首が無ければ意味が無いそれは確かだ。

「そうですね。証拠がありません…ですから僕の負けです。」

「いさぎが良いなガキ!んじゃ、村長!金を…」

「いえ、その必要はない!」

「あ"んだよ…」

「貴様らにその資格はないからな。」

そこに現れたのは口から足先まで覆うほど丈の長い黒の軍服に身を包む、黒髪に紫メッシュ、背中に暗黒のベルトの巻かれたつかの長い大剣を持つその男は…

「ヒュース団長…」

「どうされました、こんな辺境の地まで足を運ばれて、散歩ですか?」

「いや、少し小耳に挟んだ"噂"があってね。帝国の騎士が税金を私欲に利用し、不当な税金請求をしていると…ね。」

「あ…ヤバ…」

「何がヤバいのかな?"ホープ・パール"…くん。」

刺青男の名はホープ。希望と言う名とパールの石言葉である幸運などと言うその言葉は今の彼には不相応な言葉であった。

「何をおっしゃっているのやら、あっし達はただ滞納している税金を集めに来ただけのことで…」

「滞納?そうか…ではこれは何かな?」

"「おい!村の者共ー!税金回収に来たぞー!」

「はいはい、騎士団様税金ならここに…」"

団長が出した紫の笑わないMEが映し出したその影像は、村長が税金を払う瞬間が納められた映像だった。

「いつ…」

「言ったろ"噂"を聞きつけたと…」

(ブゥ〜ン)

「ゴーレム…」

「そう…君達の噂を聞きいて、事実か確認するために、上空に待機させておいた。蝿型の監視用ゴーレムだ。」

上空から手乗りフクロウと同じサイズの蝿のゴーレムが現れた。

「嘘…だろ…」

「これでもまだ…何かあるなら聞こうか?」

「「ん〜んん!〜…すまんせんした!」

二人は団長に頭を下げた。

「それは…罪業を認めるととってよろしいかな?」

「はい…」

「はぁ〜…貴様ら…騎士として…いや…人として恥を知れ…」

(ブウァン!)

騎士団達は団長の放った殺気にやられ、倒れた。

「此度の一連の事件…(バ!)誠に申し訳ございませんでした。…」

騎士団長自ら自身が持つ団とは異なる彼らのために頭を下げお詫びの言葉を言った。

「やめてください騎士団長様。我々村の者達は、腹は立てとるが恨んじゃいない。その言葉さえ聞ければ結構です。騎士団最強のあなた様に頭を下げていただくほどの事では…」

「いえ、これは自軍で起きた問題。同じ団では無いとは言え、この様な真似をする者が騎士団内にいたのなら、我々騎士団全団の責任。あなた方の様な一般の大衆から金を巻き上げその上…暴行まで行った…犯罪を取り締まる側の人間であり、国の人々を守る我ら騎士にはあってはならぬこと…この度はこの様な失態を犯してしまい申し訳ありませんでした。」

ヒュースは頭を上げなかった。

「…」

「此度に置いて負傷者がいたのなら、医療費は帝国が負担させていただきます。勿論税金の件につきまして私めが帝都に掛け合い、できる限りの間免除させていただくことをここに約束いたします。此度の事で精神的ショクを受けられた方々も多いとお察ししますのでその点についても…何かお詫びさせていただきたく思う所存であります。」

ヒュースは以前頭を下げたまま、村長らに誤り続けていた。その時だった、ふと村長は口を開けてヒュースにこう言った。

「騎士団長…いやヒュース様。今回の事であなた様の言う通り精神的ショクを受けたのは確かでしょ〜。税金のことも…ですがね一つだけ…一つだけ避けることができた被害があったんです。」

「…」

「この村から一人たりとも負傷者は出ていません。それもこれもあなた様の後ろにいるニヒツが、この村の者達を全力で守って下れたからなんです。」

ヒュースは重い頭を上げ、後ろにいるニヒツを見つめた。

「君が…やってくれたのか…」

「はい…」

「…そうか…ありがとう」

ヒュースはニヒツの赤眼の目をじっと見そして、ニヒツに例を言った。

「もし、あなた様が我々に何かお詫びを、したと言うのなら…そこにいるニヒツの夢の打一歩を…踏ませて貰えないでしょうか。」

「村長さん!」

ニヒツは村長がヒュースに言った言葉の意味を察し、驚きと、畏まった感情でとっさに言葉をこぼした。

ヒュースは回れ右をして、ニヒツの肩に手を置き。

「君の夢とは?」

「…騎士団に入って人々の笑顔と命を守り救う大英雄になることです。」

「君歳は?」

「十です!」

「…そうだね…いいでしょう。騎士団に私から君の推薦状を書こう。」

「え…」

その言葉はニヒツにとってこの上なく嬉しい一言だった。

「「やったな、ニヒツ!」」

村の全員がそれを如く服してくれた。

「でっでも僕はまだ修行の身で…」

「いーや旅立ちはわしが許す!」

「師匠!」

そこに現れたのはシーラ

「うちの弟子をよろしくお願いします!」

シーラはニヒツの横に達。ヒュースの前で頭を下げてそう言った。

「…お弟子さんを預からさせていただきます…御賢人。」

ヒュースも遅れて頭を下げた。

「えっえー!」

「何がえー!やねん。おまんの夢だったろうが。」

「でっでも、村の皆んなが…それにこの刀」

「祝いの日ねんから、やるよもうおまんのもんやけー。大事に使えよ青月(ブルームーン)。」

「え!本当にいいんですか」

「あ〜勿論や。そのかし…(グ!)抜刀は、もう使うなよ。」

「すっすみませーん!」

ニヒツは勝手に禁止されていた抜刀を使った事で師匠に頭を捕まれ怒られた。

「儂らも、大丈夫じゃ。行っておいで。」

「村長さん…」

「「おー!頑張ってこいよー!」」

「「応援してるわよ」」

「皆さん…(グゥ)行ってきます。」

ニヒツは目から出た涙を袖で拭き、村の皆に押される形で旅立ちを決意した。

時は現在に戻る。

「は!」

そこはテント内のベット上。

「どうした〜ニヒツ様。」

「いえ、なんでも…」

周囲はまだ暗かった。

(なんだか…懐かしい夢を見たな〜。)

"黒の鎧を全身に纏ったその男"

"帝国…黒い鎧の騎士"

「…」

(ヒュースさん…なんで…)

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