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第八十四話 第三王女、ストライク

 ベッドで横になっていると、ぐるんぐるんとこれからのことをどうしても考えてしまう。

 ケイメルのやつ、なんであんなことを考えるんだろう……。

 しかし本当にケイメルはあんな提案を皇帝ちちにするのだろうか。

 そして、もし本当に提案したら、皇帝はケイメルになんと答えるのだろうか。

 もし、仮に私とケイメルとの婚約話が進んでしまったら、ヒューリとの関係はこれからどうなってしまうのだろうか。

 そして、そうなったら、私はいったいどうすればいいのだろうか。


 ……はぁ。色々と考えてしまう。


「籠の中の鳥だな……」


 ふと、呟いてしまう。

 自分としてはこれまで自由気ままに振る舞ってきたつもりだったのだが、やっぱり世の中というものはとても厳しく、しがらみという名の運命の糸でがんじがらめに絡め取られてしまっている。


「うーん、これから、私、どうなるんだろう」


 使い魔のスーナが答えてくれないかな等と、淡い期待を抱きながら独り言を呟いてみたが、返ってきたのは静寂だけだった。

 まったく、薄情なやつめ。


 しばらく、無言で天井を見つめていると、不意に扉がノックされた。


「ルシフ様。お客様でございます」


 私に来客が告げられた。

 はて。しかし、こんな夜更けに私に客とは、いったいどこの誰だろう。


「はいはい。今、行きますよ」


 寝巻きの上に、ガウンを引っ掛けただけの簡単な格好で、応接間に出ていく。

 こんな時間にやってくる客は、基本、知り合いのみである。


「こんな夜更けに誰かしら?」


 私は、客間まででていき、ソファに座って待っていた人物の顔を見て驚愕の声をあげてしまう。


「か、カレン!」


「ふふっ。久しぶりだね、ルシフ」


 ヘイゲナー王国のカレン王女が、背筋をピシッと伸ばし、爽やかな笑顔をこちらに向けてきた。


◆◇◆◇◆◇


「いやー。行方不明だったルシフがついに見つかったって、リーゼからこの前、手紙をもらってね。いてもたってもいられなくて、こうして来てしまったというわけよ」


 ははは、とカレンは爽やかな笑顔を浮かべ、立ち上がると、がばっと、私に抱きついてくる。

 しかし、この人は相変わらず、無駄な行動力を誇っているな。


「で、でも、カレン。本当に久しぶりね。それに、あのあと挨拶もできずに悪かったわね。落ち着いたら連絡しようと思っていたのだけど」


「まぁ、私の方も戦後復興などで色々と忙しかったので、元々、帝国(こちら)にはなかなか来られない状況だったから。だから私への連絡自体は、そこまで遅くなった感じではないから、そこは気にしなくていいよ」


「そう言ってくれるとうれしいかも」


「ふふふ。それよりも、よく無事でいてくれたわね。私としては、あなたの元気な姿が見られただけでも、もうそれだけで幸せ一杯よ」


「……ん。カレン。ありがとう」


 私もカレンを抱き締め返す。

 ……と、なぜか、カレンの指が、私のおしりの方にも回され、胸のあたりを這い回る。


「おい」


 私は凄むと同時、カレンの手首をぎゅっと掴む。


「い、いやー。ほら。これって感動の再会じゃない? そして、このまま私たちが感極まってそのまま一線を越えるのだって、それもまた運命かなー、なんて思うわけよ」


「そんなことあるわけないでしょ!」


 私は思い切りカレンの脳天に手刀を叩き込んでやった。


「むー。相変わらずルシフは、ジョークが通じないなー。と、ところで、今回、ケイメル王子、というか、もう王様になるのかな、が表敬訪問に来たんだって? 聞いたわよ」


「……そうなのよね。で、ちょっと困っているのよ」


「彼はいつもトラブルメーカーね。で、今回はどうしたのよ」


「うーん……」


 カレンに話してしまってもいいものか、少し逡巡したものの、結局、こんなことを相談できるのは、リーゼかカレン位しかいないことに気付き、洗いざらいしゃべってしまった。

 全部思いを吐き出すと、少しは気が楽になった。


「……で、私はどうすればいいかな?」


「……んー。正直、好きにしちゃいなさいよ、といったところね」


「そんな簡単に」


「だってさ。ルシフはルシフなわけよ。我慢して回りに合わせるのが良いならばそうすればいいし、自分の我が儘を突き通して、覇道を歩むのだって、それでいいと思うのよね」


「……」


 カレンのアドバイスはいつも、こうやって、私に決断を促す。

 嫌なものは嫌だと言え、やりたいことは誰がなんと言おうとやれ。


 このわがまま放題な第三王女は、そうやって生きてきたのだろう(だから今も独身なのかもしれない)。


「ん、なにか言ったかな、ルシフ?」


「い、いや、なにも言ってないよ。……でもそうね。こんな風に悩むのは私らしくないわね。私決めたわ。明日のパーティーで、みんなに宣言する」


「それがいいと思うよ。あ、私は私で、リーゼと相談しておくから。ま、当日は大船に乗った気持ちでいてね」


「私はまだ何も言ってな……」


「じゃ、また明日ね!」


 カレンは私の返事も聞かずに部屋を飛び出していってしまった。

 彼女、本当にわかっているのかなー。


次回は、5/27(日)更新の予定です。相変わらずの綱渡り更新です。でもそろそろ、エンディングに持って行きたいなーなんて思っております。

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