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DESTRUCTIVE-MONSTER  作者: REY-REY
6/12

マレビト

出会い

グレゴリオ商会のリオネルは商談を終えて、宿の食堂で一息付いていた。

明日は馬車で州都に帰るだけなのでさっさと寝てしまおうと立ち上がる。


「あの……」


部屋に向かおうとした彼に声を掛けた人物を見て、リオネルは驚く。


「リオネルさんですよね?」


「あ、あぁ……リオネルです」


「そうですか。私はサラと申します」


彼は知っていた。

史上最年少で上級神官になった人物を、この界隈で知らない人間は居ないだろう。


「それで、俺に用ですか?」


「はい。実は……馬車で州都までお帰りになるんですよね?」


「そうですね」


「その、私も乗せていただけませんか?」


「え?」


「もちろん、お礼はいたしますので……」


リオネルはそれを了承する。

元々、商人の馬車は乗り合い馬車も兼ねているのだ。


「それで、何で俺を指名してくれたんですか?」


「神託です」


「神託、ですか?」


この大陸のほとんどの人間が信仰するディアーナ教には、たびたび『神託』という言葉が登場する。

いわゆる『神のお告げ』だ。

女神ディアーナが夢枕に現れ、上級神官達にお告げをするのだ。

リオネルはそこまで熱心な教徒ではないので、あまり信じてはいない。

だが、密かに憧れを抱く女性とお近付きになれるという下心で了承したのだ。


「神託なら構いません」


「そうですか。では、また明日」


「えぇ、また明日」


そして興奮覚めやらぬ状態で宿の部屋に戻っていく。そして翌日早朝。


「おはようございます」


「おはようございます。それじゃあ行きますか」


「はい、宜しくお願いします」


現在、リオネルの馬車には5人の人物が乗っている。

商人のリオネル。

神官のサラ。

護衛として雇った冒険者3人。

冒険者達は交代で御者を務め、リオネルやサラ達ととりとめもない話をしながら1日目は終了する。


「…………」


「サラさん」


「は、はい!?」


リオネルの問いに、無言で考え事をしていたサラが顔を上げる。


「その……例の神託っていつ何が起こるんですか?」

「そうそう。俺も気になってたんだよ」


焚き火の番をしていた冒険者のジョージも話に加わる。


「えっと……」


「あぁ、言える範囲で構わないから」


サラは少し考える。


「……いえ、教えます」


「そうですか。それで、何が起こるんですか?」


「まず、州都までは馬車で3日の道程ですよね」


「そうですね」


「それで、2日目の……つまり明日、我々は魔物と遭遇します」


「魔物だと?」


「……ジョージ、どうしたの?」


サラの口から『魔物』という言葉を聞いてジョージが鋭い視線を向けると、見張りをしていたジョージの仲間2人がやって来る。


「サラさんの神託によると、俺達は明日魔物に遭遇するらしい」


「神託で魔物か……」


「そう言やぁ、リーシャは熱心なディアーナ教徒だったな」


「えぇ……」


反り返った片手剣を携えた女冒険者のリーシャが答える。


「神託に現れるくらいですから、きっとそれなりの魔物なのでしょうね」


「そうかぁ?」


「ウィル?」


弓を背負った青年ウィルが言う。


「いくら何でも考え過ぎだろ?未来なんて誰も判らないし、運命を決めるのは自分自身だろ」


「ウィル!貴方、サラさんを疑うの?」


「そういう訳じゃねぇが……まだ起こってもいねぇ事にあれこれ頭を使ってもしょうがねぇだろ?」


「確かに……その通りですね」


「サラさん!?」


「ウィルさんの仰る事も一理あります。それに、神託だって万能ではありませんし」


「それは、そうですが……」


「それに……現れる魔物の事も、予め知っておけば準備が出来ます」


「そうだな。避けて通る事だって出来る」


「ですが……」


「何だ?」


「その魔物にはなるべく避けて通りたくない、というか……」


ウィルの言葉に、サラは言いにくそうに答える。


「そりゃあ……何で?」


「もしかして……」


ジョージが言う。


「魔物の他に『出会わなければいけない誰か』も居るのか?」


「『出会わなければいけない誰か』って誰だよ?」


「それは判らん。だが、神託が伝えたいのは多分そこだろう」


「……」


冒険者達のやり取りを聞いたサラが目を見開く。


「……サラさん?」


「……あぁ、いえ。概ね皆さんの仰る通りなので」


「へ?合ってんの?」


「なら、さしずめ『神託のマレビト様』って所ですかね」


「おぉ、そりゃあ良いな!」


「確かに」


「『マレビト様』か!」


リオネルの言葉に各々が同意していく。

そして2日目の午前中まで何事も無く進行していく。


「サラさん、神託の現象って確か正午頃でしたね」


「……えぇ、もうすぐですね」


リオネルとサラの会話を聞いて3人が一層警戒を強める。

そして太陽が南中に近付いた頃……


「ウォォォォーン!!!」


「コイツ等、オレンジウルフか!」


街道の横の森から現れた群れに対し、ジョージが大剣を構える。


「ハッ!オレンジウルフ程度、冒険者なら屁でもねぇよ!」


ウィルの放った矢がオレンジウルフの眉間に突き刺さる。


「やらせない……!」


オレンジウルフ達はリーシャのスピードに付いて行けず、次々に首を切り落とされていく。


「はぁぁぁぁぁっ!!!」


「束ね射ち、っと!」


「……ふしゅっ!」


3人の活躍により、オレンジウルフ達は蹴散らされていく。

その時……


「キシャァァァァッ!!!」


「あれは……レッドマンティス!?」


オレンジウルフの背後から現れた身の丈の3倍はある巨大なカマキリの登場に、皆の緊張がピークに達する。


「まさか、こんな街道で……」


「キシャァァァァッ!!!」


誰もが神託の事を忘れていたその時だった。


「……ん?」


バチバチバチバチ!


「な、何だ?」


レッドマンティスと一行の間で謎のエネルギーの流れが発生する。

そして光が凝縮した後、一気に弾ける。


「くっ!?……あれは!」


サラが視線を向けた先には、片膝を付いて跪くような格好の1人の男の姿があった。

リオネル

→日本人基準で茶髪の20代後半から30代前半程度?


サラ

→銀髪ロングのシスターっぽい感じ?


ジョージ

→日本人基準で赤髪で短髪の30代半ばくらい?


ウィル

→日本人基準で金髪の20代半ばくらい?


リーシャ

→日本人基準で青髪の20代前半程度?

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