第23話「それ、直す前に確認しませんか?」
# 第23話「それ、直す前に確認しませんか?」
午後五時。
「ありさ、ちょっと助けてくれ」
悠斗が慌てた様子でやってきた。
「どうしました?」
「さっきから一部のお客さんだけ、画面が変なんだ」
「どんなふうに?」
「ボタンを押しても反応しないって」
ありさはすぐに確認を始める。
「こちらでは再現しません」
「やっぱり?」
「はい。どのユーザーでも起きるわけではないです」
ありさは問い合わせ内容を並べる。
「……この人たち、共通点があります」
「何?」
「全員、同じブラウザです」
「じゃあブラウザの問題?」
「まだ分かりません」
「え?」
ありさは一つずつ条件を変えて確認する。
ブラウザ。
バージョン。
端末。
設定。
「ありました」
「原因?」
「ブラウザのバージョンです」
悠斗が安心したように息を吐く。
「じゃあ、対応しよう」
「待ってください」
「ん?」
「このバージョンを使っている人、まだ結構います」
「……」
「今ここを直すだけだと、別のところで問題が出るかもしれません」
「じゃあ、どうする?」
ありさは少し考える。
「まず影響する範囲を確認してから修正したほうがいいです」
「なるほど」
その後、影響範囲を調査。
対象となる利用者を特定し、修正内容を確認する。
そして翌日。
「直りました」
悠斗が画面を見る。
「今度は大丈夫そうだな」
「はい」
「昨日、俺だったらすぐ修正してたかも」
「私も、最初は直そうと思いました」
「え?」
「でも、直したあとに別の問題が出たら嫌なので」
悠斗が笑う。
「それ、最近よく言うな」
「そうですか?」
「うん」
ありさは少し考える。
「……失敗するの、嫌なんです」
「意外と普通だな」
「普通ですよ?」
「そこだけはな」
二人が笑う。
そのとき、課長から声が飛んできた。
「ありさ!」
「はい!」
「また相談がある!」
ありさは立ち上がる。
「今度は何でしょう?」
悠斗が苦笑する。
「もう完全にトラブル担当だな」
「でも、困ってるなら行きます」
ありさは笑って、課長のところへ向かった。




