第22話「原因は、ひとつじゃない」
# 第22話「原因は、ひとつじゃない」
午後三時。
「ありさ、またトラブル」
悠斗が困った顔でやってきた。
「今度は何ですか?」
「システムが遅いって」
「全部ですか?」
「一部だけ。特定の時間になると遅くなるらしい」
ありさはすぐにログを確認する。
「……」
「分かった?」
「まだです」
「お?」
ありさは珍しく即答しなかった。
「一個ずつ確認します」
アクセス数。
データ量。
処理時間。
サーバーの状態。
「ここは問題ないです」
「うん」
「こっちも大丈夫」
「じゃあ原因は?」
「まだ分かりません」
ありさは画面を見つめる。
しばらくして、
「あ」
「何?」
「同じ時間に、別の処理が動いてます」
「別の処理?」
「はい。こっちは毎日三時に実行されています」
悠斗が確認する。
「でも、それだけでこんなに遅くなるか?」
「たぶん、それだけじゃないです」
ありさが別の画面を開く。
「こっちの処理も三時です」
「……」
さらにもう一つ。
「これも」
悠斗が苦笑する。
「三時に集中してるな」
「はい」
ありさは三つの処理を並べる。
「それぞれ単体では問題ないです」
「でも?」
「同時に動くと、同じデータを使うので時間がかかっています」
「なるほど」
「なので、どれか一つを別の時間にずらせば改善できます」
「じゃあ、それでいこう」
ありさが少し考える。
「ただ……」
「まだある?」
「はい」
「今度は何?」
「三つとも別々の人が作っているので、勝手に時間を変えると別のところに影響するかもしれません」
悠斗が黙る。
「……じゃあ、どうする?」
ありさは笑う。
「関係する人に確認してから変えます」
「それが一番だな」
その日の夕方。
関係者と確認した結果、ひとつの処理を三時から三時半に変更することになった。
翌日。
「どう?」
悠斗が聞く。
ありさが画面を確認する。
「大丈夫です」
「遅くなってない?」
「昨日よりかなり速くなっています」
「よし!」
悠斗が喜ぶ。
ありさも嬉しそうに笑う。
「原因、見つかってよかったです」
「今回は結構難しかったな」
「はい」
「なのに、なんでそんなに落ち着いてるんだ?」
ありさは少し考える。
「分からないときは、分かるまで確認するしかないので」
「……」
悠斗が笑った。
「それ、結構大事なことだぞ」
「そうなんですか?」
「うん」
ありさは頷いた。
「じゃあ、覚えておきます」
そしてその日の夕方。
課長のところに、別のトラブルの連絡が入る。
「……ありさ」
「はい?」
「ちょっといいか?」
ありさはパソコンから顔を上げた。
「今度は何ですか?」




