第20話「トラブルバスター」
# 第20話「トラブルバスター」
午後二時。
ありさのところに、課長がやってきた。
「ありさ、ちょっといいか?」
「はい」
「昨日の取引先なんだけど、また連絡が来た」
「何かありました?」
「納品した機能が動かないって」
ありさが画面を見る。
「どの機能ですか?」
「ここ」
課長がメールを見せる。
「『昨日までは動いていたのに、今日になったら使えなくなった』って」
「分かりました」
ありさはすぐに確認を始める。
ログを見る。
設定を見る。
直近の変更履歴を見る。
「……これです」
「分かった?」
「はい」
「原因は?」
「こちらのシステムではありません」
「え?」
ありさが画面を指差す。
「昨日の夜に、取引先側で設定が変更されています」
悠斗も画面を覗き込む。
「ほんとだ……」
「この設定が変わったことで、こちらに送られてくるデータの形式が変わっています」
課長が驚く。
「じゃあ、向こうの設定が原因?」
「はい。ただ……」
ありさが続ける。
「こちらでも、こういう変更があった場合にエラーとして分かるようにしたほうがいいと思います」
「そこまでやるの?」
「はい。そのほうが次に同じことが起きても、原因をすぐ確認できます」
悠斗が笑う。
「原因を見つけて終わりじゃないんだな」
「はい」
ありさは少し考えて、
「また困るの、嫌なので」
その日の夕方。
ありさは原因と対応方法をまとめた資料を作った。
さらに、再発時に確認する項目まで整理してある。
課長が資料を見る。
「……これ、そのまま先方に送れるな」
「よかったです」
悠斗がありさを見る。
「ありさ」
「はい?」
「最近、トラブル起きると最初に呼ばれるな」
「そうなんですか?」
「うん」
ありさは少し嬉しそうに笑った。
「じゃあ、トラブルがあったら呼んでください」
悠斗が苦笑する。
「いや、できればトラブル自体は呼びたくないんだけどな」
「それはそうですね」
二人で笑う。
ありさは再びパソコンに向かった。
今日も、問題はひとつ片付いた。




