第13話「それ、再現できますか?」
# 第13話「それ、再現できますか?」
午後二時。
ありさは、自分のパソコンに表示されたエラー画面を見ていた。
「……先輩」
「ん?」
悠斗が振り返る。
「この不具合、再現できますか?」
「え?」
「さっきから同じ操作をしてるんですけど、私の環境だと出ないんです」
悠斗がありさの画面を見る。
「俺がやってみようか」
「お願いします」
悠斗がマウスを操作する。
一通り同じ手順を繰り返す。
「……出ないな」
「ですよね」
「じゃあ、たまたまかな?」
ありさは首を横に振った。
「たぶん違います」
「なんで?」
「エラーが出た直前だけ、処理時間が少し長かったので」
悠斗が画面を見る。
「ほんとだ」
「もう一度、同じ条件にしてみます」
ありさは入力するデータを一つずつ確認していく。
「ここ」
「何?」
「この値だけ、さっきと違います」
「……あ」
悠斗が気づいた。
「これ、俺が適当に入れたやつだ」
「たぶん、それです」
「じゃあ同じ値を入れてみよう」
悠斗が入力する。
実行。
エラーが表示された。
「出た!」
悠斗が声を上げる。
ありさはすぐに原因を確認する。
「この条件のときだけ、ここの処理を通ります」
「なるほど」
「これなら修正できます」
「ありさ、原因特定するの早いな」
「再現できれば、分かりやすいです」
美咲が横から口を挟む。
「私、エラー出たらすぐ『なんか動かない』って言っちゃう」
「私も最初はそうでした」
「え、ありさも?」
「はい。でも『なんか』だと直せないので」
ありさは少し考える。
「いつ、何をして、どうなったかを残すようにしてます」
「それ、めっちゃ大事じゃん」
悠斗も頷いた。
「バグ修正って、原因を探す前に再現条件を作れるかが結構大事だからな」
「はい」
ありさはメモを取った。
その横から、美咲が画面を覗き込む。
「ところで、これって誰が作ったの?」
「……」
悠斗が黙る。
ありさも黙る。
「先輩?」
「……俺です」
「なるほど」
ありさは少しだけ笑った。
「じゃあ、直すところまでお願いします」
「えっ、俺?」
「はい」
「そこは手伝ってよ!」
「もちろん手伝います」
ありさは笑いながら、もう一度コードを開いた。




