↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
氷の王子は恋を知ったら止まらない  作者: S@Y@


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
62/69

第六十二話 古い紋章


 翌朝。


 私は王宮の客室で目を覚ました。


 昨夜の出来事が頭から離れない。


 王宮の中に内通者がいた。


 そして。


 その背後には、今の王家では使われていない古い紋章。


「……何なんだろう。」


 考えていると。


 コンコン。


 扉が叩かれた。


「はい。」


「フラン。」


 クリス殿下の声だった。


「どうぞ。」


 扉が開く。


「おはようございます。」


「おはようございます。」


 クリス殿下は部屋へ入ると、私の向かいに座った。


「眠れましたか?」


「少しだけ。」


「……そうですか。」


 クリス殿下が心配そうに私を見る。


「昨夜のことを考えていました。」


「古い紋章のことですか?」


「はい。」


 クリス殿下が一枚の紙を取り出した。


「調べたところ、あの紋章は王家が今の王都へ移る前に使われていたものだと分かりました。」


「そんな昔のものなんですか?」


「はい。」


「では、どうして今……。」


「それが分かっていません。」


 クリス殿下は紙を見つめる。


「ただ。」


「はい?」


「一つだけ気になることがあります。」


「何ですか?」


「その紋章が使われていた時代に、王家と対立していた一族がありました。」


「対立……?」


「はい。」


「その一族は、今も存在しているんですか?」


 クリス殿下は首を横に振った。


「表向きは、途絶えています。」


「表向き?」


「記録上は、です。」


 私は息を呑む。


「つまり……。」


「誰かが、その一族の名を使っている可能性があります。」


 ◇ ◇ ◇


 その頃。


 王宮の地下。


 誰も使っていない古い倉庫で。


 一人の男が、机の上に一枚の紙を置いていた。


 そこには。


 あの古い王家の紋章が描かれている。


「予定より早いな。」


 男が呟く。


「ですが、問題ありません。」


 背後にいた人物が答える。


「フラン嬢は、まだ王宮に?」


「はい。」


「そうか。」


 男がゆっくり振り返る。


「ならば、次の段階へ進めよう。」


「しかし、クリス第一王子が警戒しています。」


「それでいい。」


「……?」


「警戒させればいい。」


 男は笑った。


「彼は、あの娘を守ることに必死になっている。」


「はい。」


「ならば。」


 男が一枚の紙を差し出す。


「次は、彼女ではなく――。」


 一拍。


「王子自身を狙う。」


 ◇ ◇ ◇


 昼。


 私は庭園でクリス殿下を待っていた。


 今日は一緒に昼食を取る約束をしている。


「遅いな……。」


 その時。


 遠くから馬車が走ってきた。


 王宮の馬車だ。


 けれど。


 なぜか。


 胸騒ぎがした。


 馬車が止まる。


 扉が開いた。


「フラン様!」


 騎士が飛び降りる。


「どうしました?」


「殿下が――。」


 騎士の顔が青ざめている。


「クリス殿下が襲撃を受けました。」


「……え?」


 頭が真っ白になる。


「殿下は!?」


「命に別状はありません。」


「……よかった。」


 力が抜けそうになる。


 しかし。


 騎士は続けた。


「ですが。」


「はい?」


「犯人が残したものがあります。」


 差し出されたのは。


 一枚の紙。


 そこには。


 見覚えのある古い紋章が描かれていた。


 その下に。


 一言だけ。


『次は、婚約者を奪う。』


「……。」


 私は紙を見つめた。


 クリス殿下を狙ったのは。


 私を守る力を削ぐためだった。


 そして。


 次に狙われるのは。


 私。


 そういうことだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。