表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
氷の王子は恋を知ったら止まらない  作者: S@Y@


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
52/59

第五十二話 王宮の中の敵


 手紙を握ったまま。


 私はしばらく動けなかった。


『王宮にいても、逃げられません。』


 頭の中で、その言葉が何度も繰り返される。


「フラン様?」


 侍女が心配そうに声をかけた。


「この手紙……誰からですか?」


「分かりません。」


「誰かに渡されたんですか?」


「いいえ。」


 侍女は首を横に振る。


「部屋の前に置かれていました。」


「……。」


 王宮の中。


 誰でも簡単に入れる場所ではない。


 それなのに。


「殿下を呼んでください。」


「承知しました。」


 侍女が急いで部屋を出ていく。


 ◇ ◇ ◇


 数分後。


 扉が勢いよく開いた。


「フラン!」


「殿下。」


 クリス殿下が駆け寄ってくる。


「手紙は?」


「これです。」


 渡すと。


 クリス殿下は一瞬で目を通した。


「……。」


 表情が消える。


「殿下?」


「誰が持ってきたか分かりますか?」


「部屋の前に置かれていたそうです。」


「そうですか。」


 クリス殿下は侍女を見る。


「この部屋の前を通った者を全員調べてください。」


「はい。」


「それと、この部屋の周囲に騎士を配置します。」


「承知しました。」


 侍女が出ていく。


 クリス殿下は手紙を握りしめた。


「……王宮の中に、協力者がいる。」


「協力者?」


「はい。」


 その声は低かった。


「誰かが、内部の人間を使っている可能性があります。」


 私は不安になった。


「そんな……。」


「大丈夫です。」


 クリス殿下が私の前に立つ。


「必ず見つけます。」


 その時。


 廊下から騎士の声が聞こえた。


「殿下!」


「どうしました?」


「先ほどの侍女を見失いました!」


「……何?」


 クリス殿下の表情が変わる。


「どの侍女ですか?」


「フラン様の部屋から出た侍女です。」


「……。」


 クリス殿下がすぐに扉へ向かう。


「フランはここにいてください。」


「はい。」


 扉が閉まる。


 私は一人になった。


 けれど。


 ほんの数秒後。


 廊下から大きな音がした。


「何!?」


 私は思わず立ち上がる。


 扉を開けようとする。


 その瞬間。


「開けないでください!」


 外から騎士の声がした。


「フラン様!」


「はい!」


「絶対に部屋から出ないでください!」


「分かりました!」


 私は扉から離れた。


 心臓が激しく鳴っている。


 すると。


 窓の外に。


 一瞬だけ、人影が見えた。


「……え?」


 私は窓へ近づく。


 けれど。


 もう誰もいない。


 その時。


 背後から。


「動かないでください。」


 低い声がした。


「……!」


 振り返る。


 そこには。


 見知らぬ男が立っていた。


「声を出すな。」


 男がこちらへ近づいてくる。


 私は後ずさった。


「誰……?」


「クリス殿下に伝えてください。」


 男が笑う。


「あなたを狙っているのは、私たちだけではないと。」


「……!」


 次の瞬間。


 扉が開いた。


「フラン!」


 クリス殿下だった。


 男が振り返る。


「……殿下。」


「フランから離れろ。」


 クリス殿下の声が低く響く。


 男は一瞬だけ笑った。


「やはり、あなたは彼女のことになると冷静ではいられない。」


「黙れ。」


 クリス殿下が一歩前へ出る。


「その手を離せ。」


 男は私から離れた。


 そして。


 窓へ向かって走り出した。


「待て!」


 騎士たちが追いかける。


 男は窓から外へ飛び出した。


「殿下!」


 クリス殿下がすぐに私のところへ来る。


「怪我は?」


「ありません……。」


「本当に?」


「はい。」


 クリス殿下は私を強く抱きしめた。


「……良かった。」


 その声が震えていた。


 私は何も言えず。


 ただ、クリス殿下の背中に手を回した。


 けれど。


 まだ終わっていない。


 男が残した言葉が。


 私の頭から離れなかった。


『あなたを狙っているのは、私たちだけではない。』


 王宮の中には。


 まだ誰かがいる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ