表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
氷の王子は恋を知ったら止まらない  作者: S@Y@


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
50/58

第五十話 狙われた理由


 翌日。


 私はいつもより早く花屋を開けた。


 昨日の手紙のことが、頭から離れない。


 誰が書いたのか。


 どうして私を呼び出したのか。


 そして。


 クリス殿下のことを、なぜ知っているのか。


「フラン。」


「はい?」


「昨日からずっと考え込んでるね。」


 店主さんが心配そうに見る。


「……少し気になっていて。」


「殿下に任せたんだろ?」


「はい。」


「なら、大丈夫だよ。」


「そうですよね。」


 そう答えたものの。


 胸の奥の不安は消えなかった。


 ◇ ◇ ◇


 昼過ぎ。


 カラン。


 扉のベルが鳴った。


「いらっしゃいませ。」


 顔を上げる。


「こんにちは。」


「殿下。」


 クリス殿下だった。


 いつもなら、店に入るとすぐ私のところへ来る。


 けれど今日は。


 少し表情が硬い。


「どうしました?」


「少し話があります。」


「はい。」


 クリス殿下が店主さんを見る。


「少し、フランと二人で話してもいいでしょうか。」


「もちろん。」


 私は店の奥へ案内される。


「昨日の手紙についてですか?」


「はい。」


 クリス殿下が封筒を取り出した。


「調べてもらいました。」


「何か分かったんですか?」


「この手紙を書いた人物は、まだ分かっていません。」


「……。」


「ですが。」


 クリス殿下が一枚の紙を見せる。


「この封筒に使われていた紋章が、ある貴族家のものと一致しました。」


「貴族家……?」


「はい。」


 私は息を呑む。


「どこの家ですか?」


 クリス殿下は少し黙ってから答えた。


「昨日、庭園であなたに話しかけてきた令嬢の家です。」


「……。」


 背筋が冷たくなる。


「でも。」


「はい。」


「本人が書いたとは限りません。」


 クリス殿下はすぐに付け加えた。


「家の者が勝手に使った可能性もあります。」


「そうですよね。」


「だから、まだ断定はできません。」


 クリス殿下が私を見る。


「ただ。」


「はい?」


「あなたを一人にするつもりはありません。」


「……。」


「しばらく花屋へ来る時も、帰る時も、護衛をつけます。」


「そこまでしなくても……。」


「必要です。」


 いつもより強い口調だった。


「殿下。」


「あなたが思っている以上に、今回のことは危険かもしれません。」


「……分かりました。」


 私は頷く。


「お願いします。」


 クリス殿下が少しだけ表情を緩めた。


「ありがとうございます。」


 そして。


 私の手を取る。


「怖いですか?」


「少しだけ。」


「そうですか。」


 クリス殿下は私の手を包むように握った。


「大丈夫です。」


「……はい。」


「私が守ります。」


 その言葉に。


 少しだけ安心する。


 ◇ ◇ ◇


 その日の帰り。


 店の前には、いつもの馬車と。


 見慣れない騎士が二人立っていた。


「こちらの方々が?」


「今日からあなたの護衛です。」


「よろしくお願いいたします。」


 二人の騎士が頭を下げる。


「こちらこそ、よろしくお願いします。」


 馬車へ乗り込む。


 クリス殿下も隣に乗った。


「これで安心ですね。」


「はい。」


 馬車が動き出す。


 しばらくすると。


「……殿下。」


「はい?」


「どうして、私なんでしょう。」


 ずっと気になっていたことを口にする。


「婚約者になったからですか?」


「それだけではありません。」


「……。」


 クリス殿下が真剣な顔になる。


「あなたが、私の弱点になると思われている可能性があります。」


「私が……?」


「はい。」


「殿下の弱点。」


 その言葉を聞いた瞬間。


 胸がざわついた。


「でも。」


 クリス殿下が私を見る。


「私は、あなたを弱点だとは思っていません。」


「……。」


「守るべき大切な人です。」


 私は黙って頷いた。


 けれど。


 その時はまだ知らなかった。


 この事件が。


 ただの嫌がらせでは終わらないことを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ