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相談屋の日常‐家業に勤しむ家出少女ユキの話 その壱‐

 満開に咲き誇っていた桜も散り始め、地面には白い絨毯を作り上げていた。風はまだ春先ということもあり冷たいが、冬のそれとは違うどこか温かみがあるものだった。学校、道、公園、商店街など様々な所でみる花壇には色鮮やかな花々が植えられ、町を彩っていた。暖かくなってくると虫や鳥はもちろん、人々の活動も活発になっていく。道を(せわ)しなく行き交う人々。元気な子供たちの声の聞こえる公園。賑わう商店街。冬のあの凍えを忘れて、皆々陽気に日々を過ごしている。

 そんな中でも、りんはとても忘れることなどできなかった。当たり前のことではあるが。

 今月の初めに第一志望校であった高校に入学した。新しい環境にはなかなか馴染めずにいるが、中学からの友人も数名いることもあり楽しく過ごしていた。新しい友人も出来た。楽しい高校生活を過ごしていても、頭の隅には常にそれは存在している。あの時何故あそこまで堕ちてしまったのか。そんことは分かり切っているが、今思うと自分が恐ろしい。今頃パパはどうしているのだろう。―――生きてはいるのだろうか。

 クリビアの元に住むようになってまだあまり経ってはいない。けれど元々交流があったこともあり、あまり苦労せずに生活で来ている。仕事のお手伝いはもちろん、家事の分担などといったものもスムーズに行えていた。この事実にりんは多少ながら驚いていた。そして、クリビアとの温かな食事に喜びを感じていた。


 四月の中旬のあたる今日。今日も今日として、りんは学校に通っている。そして学校が終わったら、真っ直ぐにクリビアの家へと帰路についていた。(部活動はやっていない。)その道中、商店街の顔見知りに声を掛けられ微笑みながら近況を話したり、またクリビアに予め頼まれてあった物を買ったりした。そうしてクリビアの家にやっと辿り着いた。年季の入った相談屋の扉のドアノブに手を掛け、ギーと音を立てながら開けた。カランカランと来客を知らせる鈴が鳴る。“来客”ではないが勝手口の有無をりんは知らされていないので、店からいつも入っていた。店の奥の“家”の方に行くために、静かに閉めた扉から目線を店のテーブルがある方に向けると“女の子”がいた。身長は160センチのりんに比べ小柄で、おそらく150センチに満たないように感じられた。くるみ色のボブに、適当に目にかからないように作らている前髪。服装はフードつきの袖の長い上着に足にフィット短パン。靴は編上げのブーツ。靴はともかく「元気っ子」といった印象を受ける出で立ちだった。りんは見慣れないその少女を凝視し、立ち尽くしていた。そんなりんの視線を感じたのか、少女は奥に向けていた顔をりんのいる後ろへと振り返った。そして笑みを浮かべこう言った。

「こんにちは、初めまして。あたしはユキ。十二歳です。」


「貴方が、『りん』さんですか?」

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