第79話 『平等なる天秤』(前編)
前回のあらすじ
木に潰されたケフェウスだったが、アンドロメダの不意打ちによって、木から脱出してスコルピオの心臓を貫くことが出来た、
ケフェウスは、剣から箱を抜き取り捨てながら、心臓の入った箱を抱きしめるスコルピオを見下ろす。
「自分の心臓をどっちに付けていたか忘れるなんて、ドジな相手で助かったぜ。」
ケフェウスは、スコルピオの死体にそう告げると、アンドロメダの救出を始めた。
そうしているうちに、オリオン達がケフェウス達に追いつく。
ケフェウスがスコルピオの死を、彼らに告げると、オリオンは、「では皆、一度『シェダル』に戻り、準備を整えてから再度、『流星』の回収を再開する。」と決めた。
ケフェウス達が、帰ろうとすると、突然背後から男性の声が聞こえた。
「なんだ?なんだよ。俺がわざわざ、お前のあの発言の真意を聞きに来たってのに、私の質問を受けるより先に、しかも僕の手で殺す前に死んじゃうなんて。最後の最後まで、傲慢で強欲な女だったよ。」
ケフェウス達が、声のする方を振り向くと、サングラスをかけた男だった。
「誰だ、貴様は!!」
オリオンがそう叫ぶと、サングラスの男は彼を睨んだ。
「はぁ?お前さぁ、人の名前を聞く前に、名乗ろうって思わないわけ?どんだけ、強欲で傲慢なわけ?名乗れよ。お前が。」
男がそう言うと、突然、オリオンは彼に頭を下げ、丁寧にお辞儀をした。
「わ、私は、大都市『シェダル』の『ペテルギウス聖騎士団』、団長のオリオンです…。って、なんだこれは!!」
オリオンが丁寧に自己紹介した後、驚いた表情をする。
オリオンのその姿を見て、「あいつも、ヴァルガリアとかいう女みたいな、人を操る能力を使うのか?」とベラトリクスがつぶやいた。
その言葉を聞いて、ケフェウス達は、サングラスの男への警戒を強める。
「まぁ、いいや。とりあえず、挨拶されたしこっちも返さねぇとだもんなぁ。
俺は、私は、僕は、『星神教十二座集天秤の座』、『リーブラ』だ。」
不満げな表情をしつつも、お辞儀をした彼は、頭を掻きながらケフェウス達に言う。
「まぁ、なんだ。当初の予定とちげぇが。お前ら、騎士団がいるなら話がはえぇや。お前ら、『流星』を持ってるよな?それをこっちに…」
「貴様のような悪党に、『流星』なんか、渡すわけないだろう!!」
リーブラが「こっちによこせ。」と言い終わらないうちに、タビトがそう叫ぶと、彼は、物凄く嫌そうな顔でタビトを睨んだ。
「今、俺の言葉を遮ったよな?私の発言を中止しましたね?僕の話の邪魔をした!この俺の、発言する権利を奪ったよな!私の幸せになる義務を阻害しましたね!僕が喋る自由を取った!その傲慢強欲、その大罪。その身で償え!!」
リーブラが叫ぶ。
しかし、何も起こらない。
その様子を見て、タビトは言葉を発するが───
「なんだ、脅かしやが───」
───その途中で突然、彼の首が吹き飛んでしまった。
次回予告
リーブラの使う恐ろしい能力。それは、彼が狂人そのものであることを証明するものでもあった。
次回 第79話 『平等なる天秤』(後編)




