73話 サジタリウスとの決戦(上)
前回のあらすじ
サジタリウスは『さて、今からケフェウスの本当の正義を見破ってあげましょう。』といい、奪った心臓を使って、ヌンキを脅した。
『己が死んだら、誰が家族を守るのか』と脅されたヌンキは、ケフェウスに向かって、剣を向ける。
ヌンキが、ケフェウスに向かって、剣を振るう。
ケフェウスはそれを、自分の剣で受ける。
「何やってるんですか、ヌンキさん!! 奴の言葉に踊らされないでください!!」
ケフェウスのその言葉に、ヌンキは、「すまない。」と繰り返すばかりだった。
その光景を見て、サジタリウスは笑う。
「フフ。やはり、人間とは愚かなものです。当てずっぽうだとしても、自分の大切なモノを天秤にかけられると、こうもたやすく寝返ってしまう。」
「当てずっぽうだと!?」
サジタリウスの言葉に、攻撃をやめて、そう漏らすヌンキ。
サジタリウスは、そんな彼を笑うように言った。
「ええ。当てずっぽうです。貴方の年齢から家族がいると推察しただけです。しかし、まぁ、人間は何かしら大切なモノは存在しますから。軽く匂わせれば、自分から白状してしまうものです。
さて、そんなことより、コストレ村の坊や。君の正義が、私の推察通りならば、貴方は、『彼を殺そう』と考えたはず。貴方が、星神教を悪だと考える理由は1つ。『貴方の村を襲った人物だから』。そうでしょう?」
何も言わないケフェウスを見て、サジタリウスはさらに続ける。
「貴方は、私の質問に、『しっかりと答えなかった』。君の『表向き』の正義はブレまくっている。『自分勝手な理由で人を殺す悪を、殺すことが正義』と言ったかと思えば、私の『貴方も、『ポリマー』の人々を殺した。』という発言には、『理由があるから問題ない。』と返す。
おそらく、ピスケス君がするであろう。『石を手に入れれば襲わない』という話になると、貴方はピスケス君の名を避け、代わりのように、慌ててジェミニー君を非難した。
貴方は、表向きには、『自分勝手な理由で人を殺す悪を、殺すことを正義』としながら、本当のところは、ただ、『自分の仲間を攻撃した者を、悪としただけの身勝手な正義』。ただ、それを認めてしまえば、自分が非難されるかもしれないから、そんなことは言わなかった。そうでしょう?」
ケフェウスが、サジタリウスを睨みつけながら、「どういうことだ!」と言うと、サジタリウスは、その質問に答える。
「今、この心臓の持ち主、ヌンキ君でしたっけ?
彼は、貴方を襲った。ならば、彼は、貴方にとっての『悪』になったのではないですか?
貴方の正義が正しいと思うのなら、貴方、彼を殺しなさい。」
サジタリウスのその言葉に、ケフェウスは叫ぶ。
「ふざけるな!あの行動は、お前に脅されたからだろう!!」
彼の言葉に、サジタリウスはニヤリと笑う。
「なるほど。『脅された奴は対象』にならない。という訳か。なら───」
サジタリウスのその言葉を聞き、少し後ろに下がっていたスコルピオが、ケフェウスに向かって、『針』を放つ。
「───貴方はスコルピオ君を攻撃できない。」
ケフェウスは、彼女の『針』を避けると、「何を言っているんだ!」とサジタリウスに叫ぶ。
サジタリウスは答える。
「スコルピオ君が、胸の中心を撃ちぬかれて、死んでない理由。まだ、言ってませんでしたね。
今の彼女は心臓がない。私の、『心を穿つ矢』によって抜き取られている。なので、彼女は、肺に当たらず、本来心臓があった部位を撃ちぬかせることで、致命傷を免れた。という訳です。」
サジタリウスのその説明を聞いて、アンドロメダが納得した。
「(あの時、思っていたより、彼女を貫通した矢が、勢いよくこちらに来た理由が分かった。本来なら、心臓を貫くことで矢の勢いが落ちるはずだったのに、心臓がなかったから、その分あまり、勢いを殺せなかった。
彼女の傷を見てもそうだけれど、彼の言葉は本当のようね。)」
サジタリウスは、説明を続ける。
「しかし、彼女の心臓を抜き取っている理由は、彼女を致命傷から守るため、なんてものではありません。
彼女の心臓を人質に、彼女を右腕として、そばに置いているわけです。
つまりは、彼女も、『脅された奴』になるわけです。だから、貴方は、彼女を攻撃できない。貴方の中の正義じゃ、それを行うことはできない。」
ケフェウスが、スコルピオを睨みつけながら、舌打ちをする。
ケフェウスが、『針』を避ける以外何もできないでいると、アンドロメダが、スコルピオに矢を放つ。
「彼をやらせはしません!!」
そう言うと、彼女は、ケフェウスの前に立つ。
そして、矢を避けたスコルピオに向けて、矢を構える。
その光景を見て、サジタリウスは再び笑った。
次回予告
ケフェウスを助けたアンドロメダの行動に、サジタリウスは新たな質問をする。




