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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
外伝・弐・日本編
446/447

閑話・ノーブル 8 不死鳥の羽ばたき

お疲れ様です。


一体何のアレルギーなんだろ?

まだその症状が消えない緋色で御座います。


今回は悠斗の新曲『Visionary Resonance of Phoenix,ver1』

本編に入れ込みましたw


『ver1』とだけあって、勿論『ver.2』もありますので、

またそれはいずれw



それでは、閑話・ノーブル 8をお楽しみ下さい。

悠斗がマジックボックスから取り出したのは、

ベガから渡された『黒石目(くろいしめ)』の打刀だった・・・。


刀を取り出した悠斗は、石のような『ザラザラ』とした、

その鞘の感触を味わいながら『フっ』と笑った・・・。


(・・・卑弥呼のヤツ、

 ちゃんとベガに日本刀の技術を伝授してくれたんだな?

 って言うか・・・『黒石目』って、どれだけマニアックなんだよ?♪

 それにさっきの手応えからすると、切れ味は中の下・・・。

 耐久力は・・・ま、まぁ~これは俺次第って事で♪

 処女作にしては・・・悪くないね♪)


そう思いながらリヒテルと向き合った時、

悠斗の持つ武器を見ると『フンっ!』と鼻で笑ったのだった・・・。


「・・・何が可笑しい?」


そう言った悠斗にリヒテルは肩を竦めながらこう言った。


「・・・何がも何も。

 そんなか細い剣でこの俺の『聖剣・ファブール』に勝てると?」


見下す様にそう言ったリヒテルに悠斗は驚いた表情を見せた。


そんな悠斗にリヒテルは『フフフっ』と、

上機嫌になりながら口を開いた。


「・・・貴様もこの『聖剣・ファブール』の名を聞き、

 恐れを成した・・・と、言ったところか?

 だが今更、命乞いなど意味がない事だ・・・。

 何故なら貴様は今、この場で俺に殺されるのだからな?」


リヒテルがご満悦で話す中、

周りで『黒い擬人体』と戦っていたイリアは念話で声を挙げた。


{・・・リヒテルのヤツ、大層ご満悦ねっ!}


そう念話で声を挙げたイリアにセルンは、

『フフっ』と笑うとこう返した・・・。


{・・・でもさ?ユウトの顔を見てよ?}


セルンの念話に悠斗とリヒテル以外の者達が一瞬、

戦いながらも悠斗を見ると、

仲間達は『あぁ~』とセルンの言っている意味が理解出来た。


{・・・ね?

 ユウトの顔は、全く別の事を考えている顏だわ♪}


そう言ったセルンに皆は『違いないっ!』と断言した時、

首を傾げていた悠斗は、

リヒテルの持つ『聖剣・ファブール』を指差した。


悠斗を見ていたリヒテルは『聖剣』に指を差されている事に気づくと、

『ガチャっ!』と金属音を響かせながら肩に担ぎながら言った。


「・・・ユウト?

 貴様が何を言いたいのかは分かっている。

 聖剣と呼ばれる武器がよもやこんな大剣だとは思わなかったのだろう?

 フッフッフっ・・・。

 いいだろう・・・冥途の土産にこの聖剣が何故大剣なのか?

 それを貴様に教えてやろう・・・」


リヒテルはご満悦になりながら『この聖剣は・・・』と、

説明に入ろうとした時だった・・・。


悠斗は『いやいやいや、そうじゃなくてさ?』と声を挙げると、

リヒテルは『ん?』と首を傾げ、

仲間達は内心『キタァァァっ!』と楽しんでいた。


すると悠斗はリヒテルが肩に担いでいる『聖剣』を指差しながら言った。


「・・・この世界のファブリーズって聖剣だったのか?」


『・・・?』


悠斗の言ったその名称を知らない者達は、

戦いの最中にも関らず『きょとん』とした・・・。


するとリヒテルが『はぁ?』と声を挙げ、

『ファブ・・・な、何?』と訝し気な表情を見せたのだった。


悠斗は真顔で『知らないのかっ!?』と・・・。

何故か驚くとリヒテルにこう言った・・・。


「ファブリーズ・・・それは市販最強と呼び声の高いっ!

 消臭液だっ!

 まさかこっちの世界のファブリーズが・・・聖剣になっているなんて・・・」


『・・・・・』


真顔でそう言い切った悠斗に、暫く沈黙していると、

突然ジュゲムが『ぶはははははっ!』と、

『黒い擬人体』と剣を合わせながら爆笑した。


「・・・な、なぁっ!み、みんなっ!

 あ、兄貴の・・・ア、アレって・・・マジだぜっ!?

 消臭液と聖剣を間違えるだなんてよぉっ!

 ユウトの兄貴はいつでもどんな時だって変わらねーんだな~♪

 さっっすがっ!『ド天然の兄貴』だぜっ!♪」



そうジュゲムが声を挙げた途端・・・。


皆が『はははっ!』と楽しげに笑い出し、

セルンは大きく肩を揺らしながら声を挙げた。


「ちょ、ちょっと・・・フフフっ、み、みんなっ!?

 た、戦いに・・・クククっ、しゅ、集中しなさいよっ!

 ほ、本当に・・・プププっ・・・あ、あんた達は・・・フフフっ♪」


その笑い声に相応しくない『ガンっ!ギィーンっ!』と言う、

剣を打ち合う金属音が響いていた・・・。


リヒテルは顔を盛大に引き攣らせ始め、

顏を真っ赤に染めながら突然大声を張り上げた。


「きっ、貴様らぁぁぁぁっ!

 この俺の『聖剣・ファブール』を愚弄しおってぇぇぇっ!?

 何が消臭液だぁぁぁっ!

 ふざけるのも大概にしろぉぉぉっ!」


そう怒声を発したリヒテルは『ジャキンっ!』と、

聖剣を正眼に構えると悠斗に向かって声を挙げた。


「・・・ユウトっ!

 その軟弱な剣を構えろっ!

 ズタズタに斬り刻んやるっ!」


身体から勇者特有の神力を放出させ、

鋭い眼光を向けるリヒテルに悠斗は言った・・・。


「・・・ちょい待った」


「・・・なっ、何だとっ!?

 き、貴様っ!臆したかっ!?」


そう返答したリヒテルに肩を竦めた悠斗は、

今度は『黒い擬人体』と戦う仲間達に向かって声を挙げた。


「・・・なぁ、みんな?

 遊びはそれくらいでいいんじゃね?」


悠斗の言葉に仲間達は『バレてるっ!?』と内心驚くと、

後ろで控えていた黒紅が声を張り上げた。


「この愚民どもぉぉぉぉっ!

 悠斗様の御言葉にさっさと答えぬかぁぁぁぁっ!?

 だいたい貴様らはなぁ~?」


と・・・。


黒紅が後ろから『グチグチ』と言い始めた時、

悠斗は振り返ると『黒紅っ!ステイっ!』と黙るよう促した。


すると『らじゃっ!』と返答すると、

何事もなかったかのように沈黙したのだった・・・。


『よしっ!』と言いながら悠斗が笑顔を向けた時、

ナイアドが声を挙げた。


「・・・いい機会ですので、ユウト様に我々の力をっ!」


そう言いながら、ナイアドは仲間達に向かって声を挙げた。


「・・・みんなっ!

 一気にこいつらを片づけるぞっ!」


ナイアドの声に仲間達は揃って『おーけーっ!』と声を挙げると、

その表情を引き締まった真剣なモノへと変えながらそれぞれが声を挙げた。


「・・・この程度の相手なら本気を出すまでもないわっ!

 やるわよっ!ブルースピリットっ!」


『ボっ!』と、青く燃える小さな火が身体の中から出て来ると、

イリアの身体の周りを回り始めたのだった・・・。


そして『黒い擬人体』がゆらゆらと左右に揺れながら、

鋭い斬撃を放つも、イリアは余裕を以てその斬撃を躱しつつ、

体術で素早く背後に回るとレイピアを振り上げながら声を挙げた。


『・・・ブルー・フレイムっ!』


『ボっ!』とイリアの声に呼応したブルースピリットは、

振り上げたレイピアの刃に宿り、

『ゴォォォっ!』と猛々しい『青き炎』を放出させると、

『はぁぁぁっ!』と声を張り上げながら一気にレイピアを振り下ろした。


『シュワっ!』と・・・。


イリアの降り下ろされた一撃は『黒い擬人体』の頭頂部から、

真っ直ぐと青い剣撃によるラインが入った瞬間、

『ゴォォォォっ!』と燃え広がったのだった・・・。


イリアは『ドサっ』と、

真っ二つになって倒れた『黒い擬人体』を見下ろすと、

『・・・所詮は紛い物って事ね?』と吐き捨てたのだった。


イリアの戦いを見ていた悠斗は、

『おぉ~♪』と楽しげな声を挙げると呟いた。


「・・・冥界で戦った時より、

 動きがかなり洗練されたな~?」


そう呟いた悠斗の声が聞こえたのか、

リヒテルは『黒い擬人体』が成す統べなく倒された事も相まって、

驚きが隠せず、悠斗の発した『冥界』と言う言葉に顏を引き攣らせた。



そしてセルンは・・・。


『フフっ』と冷たい笑みを浮かべると、一瞬悠斗を見た。

そして心の中で悠斗にこう言った・・・。


(・・・私の進化した姿を見せたあげるわっ!)


悠斗はセルンを見た時、

『あれ?白銀の双月じゃない?』と声を挙げていた。


そんな悠斗の声を聞きつつ、

冷笑を浮かべたままのセルンは声を挙げた。


『イグニッションっ!』


そう発した声に呼応すると、その身体から黒い火が飛びだして来た。


『・・・アクティベーションっ!』


セルンがそう声を挙げた瞬間・・・。


『黒い火』は『ボっ!』と更に燃え上ると同時に、

炎の放出量が一定化したのだった・・・。


悠斗は『えっ?』と驚く中・・・。


セルンは黒い擬人体の攻撃を躱しながら更に声を挙げた。


『・・・イニシエーションっ!』


そう発した瞬間・・・。

再び黒い火は燃え上がり、それは『黒き炎』へと進化した。


『・・・ま、まじか?いつの間に?』と、驚く悠斗を他所に、

セルンは『ニヤり』と笑みを浮かべ黒い擬人体から距離れを取ると、

悠斗のように抜刀術の態勢を取った・・・。


悠斗はセルンの戦いに真剣な眼差しを向ける中、

セルンは黒い擬人体を見据えながら口を開いた。


『・・・エボリューションっ!

 ダーク・フレイム・エッジっ!』


セルンのの声に呼応した黒き炎は、一瞬黒く光りを放つと、

レイピアに宿ると同時に刃から黒い炎が『ゴォォォっ!』と噴き出した。


黒い擬人体は左右に大きく揺れながら迫って来ると、

敵を見据えていたセルンは呟いた。


「・・・的を絞らせない気ね?

 中々やるじゃない?

 でも・・・相手が悪かったわね♪」


そう呟いたセルンは、後ろ足に体重を乗せると、

『ドカっ!』と大きな音を響かせ、

地面を抉り声を挙げながら一気に駆け出した・・・。


「・・・ダーク・フレイムっ!

 黒狼斬(こくろうざん)っ!」


『ブオォォォォォォンっ!』


横一文字に抜刀した瞬間・・・。

まるで大きな狼が咆哮するかのような斬撃音を響かせながら、

黒い擬人体に襲い掛かり『ズバァァァっ!』と切り裂かれた刹那、

一瞬にして黒き炎は擬人体を灰にしたのだった・・・。


『ズザザザザァァァっ!』と・・・。


地面を抉りながら滑るセルンが動きを止めると、

振り返る事無くこう言った。


「・・・伊達にユウトの剣技を見て来たわけじゃないわ♪」


そう言ったセルンは目の前に居たイリアに近寄ると、

2人は笑みを浮かべながら『パチンっ!』とハイタッチしたのだった。


そしてその様子を見ていた悠斗は・・・。

『あはは』と、乾いた笑みを浮かべながら、

頬を『ポリポリ』と搔いていた・・・。


「黒狼って・・・セルンのヤツ・・・。

 前に冥界で見せた『青狼と餓狼(ガロ)』からヒントを得たんだな?

 はっはっはっ!ウケる~♪」


そう苦笑した悠斗を見ていたリヒテルは、

再び悠斗の口から『冥界』という言葉を聞くと、

心の中で『まさかあいつは?』と睨みつけていたのだった・・・。



そしてジュゲムへと視線を向けた悠斗は、

『あ、あれ?あいつ・・・どうしたんだ?』と首を傾げた。


『ギィィーンっ!』と・・・。


黒い擬人体と激しい攻防をするも、

誰の目から見てもその動きは悪かったのだった・・・。


(あいつ・・・どうしたんだ?

 身体のキレが全くと言っていいほど悪いな?)


ジュゲムは擬人体と打ち合うも、既に『ゼェゼェ』と肩で息をしていた。


すると後ろで静観していた黒紅が悠斗に声を掛けた。


「悠斗様?私が鑑定をしたところ・・・。

 神経系の毒に侵されているようです」


『えっ!?』と驚き振り返った悠斗に、

黒紅は更に鑑定で分かった事を口にした・・・。


「・・・その毒の名は『エターナル・ポイズン』

 永遠に持続する『毒』のようです」


黒紅の鑑定を聞かされた悠斗はジュゲムに視線を向けると、

『ゴホっ!ゴホっ!』と咳き込む度、

少量ながら吐血しているのが見て取れたのだった・・・。


「あ、あいつ・・・どうして言わなかったんだっ!」


そう怒気を含ませながら言った悠斗は、

マジックボックスから卑弥呼からもらった、

『自作のエリクサー』を取り出すと『ジュゲムっ!』と声を挙げながら、

投げようとした・・・。


だがその時・・・。


『・・・いらねーっ!』と、声を挙げたジュゲムは悠斗に言った。


「この毒は俺の判断ミスがもたらしたモノだっ!

 その判断の甘さが招いたモノなんだよっ!

 少なくとも・・・今はいらねーっ!

 こいつは俺が責任以って必ず倒すっ!

 だから兄貴っ!そのまま見ていてくれっ!」


『ゼェゼェ』と毒によって息を荒げるジュゲムに、

悠斗は『あのバカは・・・』と呟くも、

その顔はどこか微笑んでいるようにも見えた・・・。


悠斗はジュゲムに『わかったっ!』と告げると、

更に言葉を投げかけた・・・。


「・・・集中しろっ!

 周りの音が消え去るほど集中力を上げろっ!

 負の勇者が伊達じゃないってところを見せろっ!」


そう声を張り上げた悠斗にジュゲムは『おーけーっ!』と、

お決まりのセリフを吐くと双眼を閉じ集中した・・・。


ゆらゆらと身体を揺らしながら迫って来る擬人体の攻撃を躱し、

『はぁぁぁっ!』と気合いを込めた一撃を放った・・・。


『ズシャっ!』と、確かに手応えがあった。


ジュゲムは『ほっ』と安堵の息を零した時、

悠斗が『まだだっ!』と声を張り上げた。


『えっ?』と驚くジュゲムは背後から迫る擬人体の気配を感じとると、

間一髪その攻撃を躱した・・・。


『ゴロゴロ』っと地面を転がり難を羅画れたジュゲムは、

苦々しい表情を浮べた・・・。


「た、確かに今・・・手応えはあったはずのに・・・。

 ゴホっ!ゴホゴホっ!」


険しい表情を浮べているジュゲムを見たリヒテルは言った。


「・・・アレはただの斬撃など意味を成さん。

 特殊な力を持つ者のみが戦える・・・そういうモノなのだ」


リヒテルが薄く笑みを浮かべていると、

近くで聞いていた悠斗は『だろうね?』と呟いた。


その間、ジュゲムと擬人体の攻防が続いたが、

時間経過と共にその動きの悪さは酷くなっていった・・・。


そんな時、イリアが『無理しないでっ!私と変わりなさいっ!』と、

そう言ったが、ジュゲムは『邪魔するなっ!』と怒声を挙げた。


イリアは『何をバカな事をっ!?』と声を挙げる中、

再び双眼を閉じたジュゲムは集中し始めた・・・。


(今の俺のスタミナじゃ『雷帝』は呼べねー。

 魔力も此処に来るまでにほぼゼロになっちまってる・・・。

 さて・・・どうするか?)


そう考えている時だった・・・。


近くでナイアドの声が響いた・・・。


「うおぉぉっ!ユウト様の前で負けられないっ!」


そんなナイアドの気合いの入った声を聞いたジュゲムは、

双眼を閉じ、擬人体の攻撃を躱しながら『フっ』と笑った・・・。


(ナイアドもボロボロの癖に・・・。

 ははっ!俺は負の勇者だっ!

 こんな所でっ!)


心の中でそう叫ぶと、今度は大きく声を張り上げた。


「兄貴の前で負けてたまるかぁぁぁっ!」


そう声を張り上げたジュゲムは、後方にバックステップで跳ぶと、

着地した瞬間『コォォォォっ!』と呼吸音を変えた。


それを見たセルン達は『フフっ』と笑みを浮かべる中、

悠斗は『えっ!?まじでかっ!?』と驚いた声を挙げた。


「へへっ!俺だって兄貴から『聖書』をもらったんだっ!

 勿論・・・気道だってしっかり訓練してるんだぜっ!

 と、言っても・・・まだ初級だけどな?」


そう言いながらもジュゲムは呼吸音を変え構えると、

何故か咳が1つも出なかったのだった・・・。


(これなら・・・いけるっ!)


そう感覚的に感じたジュゲムは跳躍しながら声を張り上げた。


「確かっ!こうするんだったよなっ!」


『コォォォォっ!

 気道・武技一体っ!

 気道剣っ!真向両断っ!』


『ズッシャァァァっ!』


ジュゲムが気道から学んだ技で擬人体を真っ二つにした瞬間・・・。


『バチバチバチバチっ!』と擬人体が斬られた箇所から、

無数の火花が飛び散った・・・。


すると次の瞬間・・・。


『ドッカーンっ!』と爆発すると、

擬人体は無残に弾け飛んだのだった・・・。


『あちっ!?熱っ!あつあつあつっ!?

 なっ、なんで・・・爆発なんてすんだよっ!?

 聞いてねーぞっ!?』


そう言いながら『ペタン』と・・・。

尻もちを着いたジュゲムの姿に仲間達が笑う中、

悠斗はナイアドを見ていた・・・。


(ナイアドの身体から放出され始めた力って・・・。

 ま、まさか・・・白斗と同じモノじゃ?)


ナイアドは剣聖とは言ってもこの中では最下級と言っても過言ではない。

そんな実力差があるにも関わらず、ナイアドは奮戦していた。


「いくら斬っても斬っても復活を・・・。

 くっ!今の俺では・・・」


己の不甲斐なさにそう言葉を吐き捨てたが、

そんなナイアドに悠斗が後方から言葉を投げかけた。


「・・・ナイアドっ!そのままいけっ!

 自分のやって来た事を出すだけでいいっ!

 後で説明しやるっ!」


そんな悠斗の声を聞いたナイアドは振り返る事無く、

『ユウト様っ!?』と声を挙げると、

その言葉を信じ気合いの入った声を挙げた・・・。


「自分を信じっ!己の覇道を目指しますっ!」


その張り上げたられた言葉に、悠斗は笑みを浮かべ無言で頷くと、

リヒテルは『チっ!』と舌打ちしていた・・・。


(・・・いくら剣聖とは言え、所詮は人族の領域。

 神の力を得た俺とは違う)


『うおぉぉぉぉぉっ!負けてたまるかぁぁぁぁっ!』


ありったけの声を張り上げながら一撃を繰り出した瞬間・・・。


ナイアド以外の者達は見た・・・。


振り降ろされたその剣には『白銀』の光りを纏っていた事を・・・。


『ズッッッシャァァァっ!』


ナイアドの気合いの一撃が、擬人体の右の肩口から、

左の腹部までを切り裂くと、その切り口から白銀の光りが放たれた。


『うぐっ!?』と、その眩しさにナイアドが顔を背けた瞬間、

黒い擬人体は『グズグス』と溶解し始めた・・・。


『えっ?』とその一撃を放ったナイアド自身が驚く中、

悠斗は小声で『ナイス♪』と呟くと、

その光景を見ていたリヒテルが唖然としていた・・・。


悠斗はリヒテルへと向き直ると、

未だに唖然としているリヒテルに向かって声を掛けた。


「リヒテル・・・待たせたな?」


悠斗の声にリヒテルは『ユ、ユウト・・・』と、

恨めしい顏を向けると『聖剣』を正眼に構えた・・・。


悠斗は少し距離を取ると向き合い、

ベガより渡された『無銘』の刀を小脇に抱え構えると、

静かにこう言った・・・。


「みんな・・・見ててくれ。

 そんなに時間はかからない・・・」


その言葉に『ゴクリ』と息を飲み、

セルンは『・・・ユウトなら大丈夫』とそう口にした・・・。

 

※ 挿入歌【Visionary Resonance of Phoenix,ver.1】


https://www.mureka.ai/ja/song-detail/3ogVMgBPwLXYo4a8GPgCZs?is_from_share=1&song_title=visionary-resonance-of-phoenix&singer=%E7%B7%8B%E8%89%B2%E7%81%AB%E8%8A%B1


悠斗は静かに一歩を踏み出した・・・。


『タッタッタッタッタっ!』


悠斗の動きに合わせてリヒテルも聖剣を肩に担ぎながら駆け出した。


そして交差する寸前・・・。


リヒテルは聖剣を真上から真横に構えると、

『うぉぉぉっ!』と声を張り上げながら放った・・・。


その瞬間悠斗は膝を折り地面を滑りながら身体を大きく仰け反らした。


『ブォンっ!』と大きな風切りを発しながら繰り出された一撃は、

悠斗の鼻先を掠めて行った・・・。


『ズザザサっ!』と・・・。


地面を滑りながらも身体を起こしながら、

前方に向かって手を着くと、

一回転し片膝を着きながら態勢を整え構えた。


リヒテルは悠斗に躱された瞬間、

『チっ!』と舌打ちをしつつも冷静に向き直ると聖剣を構えた。


『ザワザワザワ』っと、近くに在る木々達が枝を揺らし、

葉が風に靡いていた・・・。


「・・・いい動きだ」


口角を上げながらそう言ったリヒテルに、

悠斗は『そりゃどーも』と笑みを浮かべた・・・。


『ジリっ、ジリっ』と、悠斗とリヒテルが距離とタイミングを計る中、

この戦いを見守る者達は不安に駆られていた。


(・・・今の兄貴は本気を出せねーんだ。

 い、一体リヒテルとどうやり合うってんだよっ!?)


(・・・ユウト様。

 ご無理はなさらぬように・・・)


(・・・ユウト?

 だ、大丈夫・・・なのよね?)


(・・・いつものユウトじゃないわ。

 な、何があるって言うの?)


それぞれがそう心の中で思っていた時・・・。


悠斗から仲間達に念話が送られて来た・・・。


{・・・みんな心配しているんだろうけどさ?

 何も鬼の気は・・・。

 いや、不死鳥の力が使えない訳じゃない}


悠斗の念話に仲間達は『えっ!?』と揃って戸惑う声を挙げると、

再び念話でこう言った・・・。


{・・・俺の・・・不死鳥の羽ばたきは、誰にも止められないっ!}


念話で悠斗がそう言った時だった・・・。


悠斗の身体から『ブワァァァっ!』と、

仲間達が見慣れた不死鳥の・・・いや、赤銅色の鬼の気が溢れ始めた。


『ユウトっ!』


『ユウト様っ!?』


『兄貴っ!?』


『ユウトっ!?』


悠斗は『ピタリ』とその足を止めると抜刀術の態勢に入った。


「あ、あの身体で抜刀術をっ!?」


イリアが叫びにも似た声を挙げた時、


静かに双眼を閉じた悠斗はリヒテルにこう言った・・・。


「・・・リヒテル?

 次で・・・終わりだ・・・」


「・・・フっ、戯言を。

 ならば・・・こちらから行くぞっ!

 うおぉぉぉぉぉぉぉっ!

 この場で死ねぇぇぇぇぇっ!」


その身体から夥しい神力を放出させ、

聖剣を振りかぶりながら駆け出したリヒテルの速さは、

この日一番の速度に達した・・・。

 

『これで貴様は終わりだぁぁぁぁっ!

 ユウトォォォォォっ!』


心の叫び共にそう発しながら振り下ろされた瞬間・・・。


悠斗は双眼を見開いた・・・。


その瞬間『キィィィィィンっ!』と言う高周波のような音が響くと同時に、

リヒテルの凄まじい一撃が悠斗の頭を捉えた・・・。


『ドッッッシャァァァンっ!』


リヒテルはその一撃を放った事で『勝利』を確信した。


たが、聖剣の先には『グチャグチャ』に破壊されたはずの、

悠斗の姿がどこにもなかったのだった・・・。


「い、居ないっ!?

 そんなバカなっ!?ヤ、ヤツは・・・

 ユウトは何処に行ったっ!?」


怒声にも似た声をリヒテルが張り上げ、

その周囲を見渡した時だった・・・。


『・・・此処だっ!リヒテルっ!』


頭上から聞こえた悠斗の声に、

リヒテルは『ハっ!』とし視線を向けた。


すると一瞬・・・。


リヒテルは幻覚を見た・・・。


『バッサァァァっ!』と・・・。

緋色の翼を羽ばたかせた不死鳥を見たのだった。


「・・・バ、バカなっ!?

 あ、あれは・・・フェ、フェニックスっ!?」


リヒテルがその幻覚に茫然としている時、

悠斗は『クルリ』と身体を反転させると、

空中で抜刀術の態勢を取り『はぁぁぁぁっ!』と声を張り上げた。


『白鷲流・滞空抜刀術・鳳凰斬っ!』


『キィィィィィィンっ!』


『シュっ!』


『ザザザザァァァァァっ!』


悠斗は一撃を放ち地面を滑りながら止まると、

既に刀は鞘に半分以上も納まっていた・・・。


今、この場は何ごともなかったかのように、

静寂に包まれ『ヒユ~』と優しく温かな風が吹き抜けて行った・・・。


その瞬間・・・。


『ピィヤァァァァァァァァァっ!』と・・・。


不死鳥の残響が周囲に木霊した・・・。


リヒテルは空を見上げたまま棒立ちとなり、

『あっ・・・あっ・・・』と放心したような声を挙げていた・・・。


そして不死鳥の残響を聴いたリヒテルは消え入りそうな声を挙げた。


「・・・フェ、フェニックス・・・が・・・」


リヒテルがそう言った後、まだ何か『ブツブツ』と言っていた時、

悠斗は『カチン』と静かに納刀した。


その納刀音に呼応するかのように、

『ズズズっ』とリヒテルの『聖剣・ファブール』の刀身がズレ、

『ドシャっ!』と音を立て地面に突き刺さったのだった・・・。


「・・・バ、バカな?

 お、俺の・・・せ、聖・・・剣・・・が・・・」


『ドサっ!』


倒れたリヒテルを背後に感じながら、

悠斗はゆっくりと立ち上がると振り返り、

地面に伏したリヒテルにこう言った・・・。


『・・・不死鳥の羽ばたきは誰にも止められない』


そう言った悠斗の瞳は夕焼けと同様に緋色に染まっていたのだった。



ED曲 【不死鳥の扉】


https://www.mureka.ai/ja/song-detail/5ijngCGohiawBFyn7p8BEG?is_from_share=1&song_title=%E4%B8%8D%E6%AD%BB%E9%B3%A5%E3%81%AE%E6%89%89&singer=%E7%B7%8B%E8%89%B2%E7%81%AB%E8%8A%B1




ってな事で・・・。


今回のお話はいかがだったでしょうか?

前半は完全にコメディーですね^^;


少しでも『クスっ』としてもらえると嬉しいですw


今後とも話は音楽を頑張りますので、

応援のほどを宜しくお願いしますっ!



ってなことで、緋色火花でした。

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