表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
外伝・弐・日本編
445/447

閑話・ノーブル 7 力の一端

お疲れ様です。


GWでも容赦なく仕事が襲い掛かって来る緋色で御座います。


・・・ってか、意味わからん。

まぁ~元々関係ないっちゃ~ないんだけどね。

ちょい・・・手加減はしてほしい><


ってな感じですが・・・。

今回もノーブルの話ですね。


もう少し・・・お待ち下さい。



それでは、閑話・ノーブル 7をお楽しみ下さい。

OP曲【緋色の残響】


https://www.mureka.ai/ja/song-detail/TRiHfW32NyAY5SoRAXWXh8?is_from_share=1&song_title=%E7%B7%8B%E8%89%B2%E3%81%AE%E6%AE%8B%E9%9F%BF&singer=%E7%B7%8B%E8%89%B2%E7%81%AB%E8%8A%B1


『ユウト様ぁぁぁぁっ!』とナイアドの声が響き渡ったのだった・・・。


ナイアドはこの瞬間・・・。

今まで感じなかった『死』を予感した・・・。



ほんの数十分、時は遡り・・・。


悠斗を乗せた黒紅は『大地を駆けるが如くぅぅぅっ!』と・・・。

全速力で疾走しいた・・・。


「黒紅っ!右だっ!急いでくれっ!」


『らじゃぁぁぁっ!』と、黒紅は悠斗が指し示す方角へと向かう中、

悠斗は焦りの色を濃くしていた・・・。


(・・・この張り詰めた空気は昔からよく知る戦気だ。

 だけど戦場が近いせいか・・・リヒテルの居場所がっ!?

 一番大きな戦気がリヒテルだとは思うけど・・・。

 チっ!単体の魔を相手にしかしてこなかったせいで、

 これだけ戦気が散らばっていると、今の俺には・・・。

 もっと正確な位置が分からないと・・・これじゃ・・・)


悠斗は戸惑っていた・・・。


日本に居る頃、魔を相手にしていた時は、

魔対人間の構図だった・・・。


現代科学を使い、多数と単体での戦闘が多かった為、

悠斗にとっては戦気の散らばりは、

個人を特定するには不慣れ過ぎたのだった・・・。


「あちこちで命が・・・。

 な、何かいい手はっ!?」


自分の経験不足から個人を特定出来ない悠斗が、

更に苦悩した時だった・・・。


悠斗は苦悩し顰めた顔が『あっ』と言う言葉と共に、

鋭い眼光へと変わった。


「・・・気配察知のスキルってのがあったなっ!?」


悠斗はこれまでその類まれない戦闘センスと、

培ってきた経験から魔と対等以上に戦って来られた・・・。


だからこの『異世界』の『剣と魔法の世界』では、

現代日本が持ちえない『魔法とスキル』がある事を思い出したのだった。


(た、確か・・・俺のスキルに・・・)


悠斗は脳内にステータス画面を映し出すと、

所有しているスキル項目を閲覧し始めた・・・。


(ど、どこだ、どこだどこだどこだっ!?

 た、確かにあったはずだっ!

 『気配察知』と言うスキルがっ!)


黒紅が疾走し土煙を上げる中、

悠斗は脳内に映し出されるスキルを凄まじい勢いで閲覧した。


「・・・あ、あった!スキル・・・気配察知っ!」


悠斗はスキルの項目から『気配察知』がある事を確認すると、

『OFF』となっていたスキルを脳内で『ON』に変更した。


その途端・・・。


脳内に現れていたステータス画面が消失するのと同時に、

『気配察知』がアクティブとなり、

すぐさま脳内に周辺マップが出現した・・・。


その脳内マップには多数の人数が示され、

この内戦が生半可なモノではない事を改めて認識されられた。


悠斗は『リヒテルやジュゲム達は何処だっ!』と声を挙げた瞬間・・・。

『ポンっ!』と音を立てて赤い四角で囲むマーカーが示された。


(・・・こ、これかっ!?)


脳内の四角く囲まれている赤いマーカーの中に、

個人名が示されると『見つけたっ!』と声を挙げると、

黒紅に方角を指し示し『急いでくれっ!』と叫んだのだった・・・。


黒紅は悠斗の指示に『お任せをっ!』と声を挙げると、

『ギュルギュルギュルっ!』とホイールを更に回転させ加速した。


悠斗は脳内マップで距離を測っていた時だった・・・。


何かを感じ取った悠斗は黒紅に声を張り上げた。


「黒紅っ!何でもいいっ!俺を120m先くらいまで飛ばしてくれっ!」


すると黒紅は一瞬沈黙すると返答した。


「な、ならっ!悠斗様っ!?

 扉の方へとお身体をっ!」


黒紅の言葉に悠斗は『おっけーっ!』と返答すると、

疾走しながら『5・4・3・・・』と『カウントダウン』を開始した。


そして『ゼロっ!』と黒紅が声を張り上げた瞬間・・・。


閉じられていた扉を勢いよく開くと、

悠斗は軽く跳びながら勢いよく放たれる扉に足の裏を着けると、

『くっ!』と、衝撃に顏を歪ませつつ、

『ブォンっ!』と風切り音を響かせながら凄まじい勢いで飛ばされた。


悠斗はその衝撃と風圧に苦悶の表情を浮べながらも、

空中で態勢を変えると、上空からリヒテルと思われる男を見つけた。


そして急降下しながら青い鎧の男が、

今まさに止めを刺される寸前である事が見て取れた。


(まっ、まずいっ!このままじゃっ!?)


悠斗は風の抵抗を最小限にする為、

姿勢を伸ばし頭から急降下し始めたが、

『チっ!』と舌打ちすると心の中で『やるしかないなっ!』と決断すると、

躊躇う事無く声を張り上げた。


『・・・か、母さんの力ならっ!

 いかづちっ!』


『バリバリバリバリっ!』と・・・。


その身に悠斗の『異能の力』を纏うと、

その速度は急激に加速した・・・。



『ユウト様ぁぁぁぁっ!』と・・・。


ナイアドがそう絶望の声を挙げた瞬間だった・・・。


勝利を確信し笑みを浮かべたヒテルから放たれた何かが、

ナイアドに直撃する寸前・・・。


『バリバリバリバリっ!ドッシャャャャャンっ!』


突然の『落雷音』と共に土煙でこの周辺は視界が利かなくなった。


リヒテルは眉間に眉を潜めつつ、

焦げ臭い匂いと土煙が晴れるのを待つと、

『・・・なっ!?』と困惑した表情を浮べた・・・。


ナイアドに直撃したはずの攻撃が当たるどころか、

その場所にはナイアドの姿がなかったからだった・・・。


「・・・き、消えた?

 な。何だっ!?この焦げ臭い匂いはっ!?

 そ、それに・・・一体これは・・・?」


『信じられない』と言った表情を見せるリヒテルだったが、

周囲の視界を遮っていた土煙が消え去ると、

『ザザっ!』と言う音に、リヒテルの視線は向けられた・・・。


そして視線を向けた先には、まだ少年と言える程の男が、

体格のいい青い鎧を着たナイアドを抱えていたのだった・・・。


『ピクっ』と顏を引き攣らせたリヒテルは、

ナイアドを抱える少年に声を掛けた・・・。


『・・・何だ、貴様は?』


不機嫌な表情を浮べたリヒテルがそう口を開くと、

悠斗がリヒテルの声に鋭い視線を向ける姿に、

『ユ、ユウト・・・様?』と、

まだ困惑しているナイアドがそう声を挙げた。


悠斗は鋭い視線を優しいモノへと変えながら、

腕で抱えるナイアドを見ると笑顔を向けながら返答した。


「・・・間に合って良かったよ。ナイアド♪」


「・・・ど、どうして・・・こ、此処に・・・?

 こ、こんな所に・・・ユ、ユウト様が居るわけ・・・」


呆気に取られたナイアドがそう呟くように言うと、

『立てるか?』と言いながらナイアドを下ろした時、

まだ戸惑いながらも尋ねた。


「・・・どうして此処に?

 そ、それに・・・こ、この焦げ臭い匂いは?」


まだ困惑しているのだろう・・・。

自分の目の前に居るはずのない悠斗が居る事に、

未だに整理出来ないでいた・・・。


すると悠斗は周囲を見渡しながら『ジュゲムは?』と尋ねると、

その名を聞き我に返ったナイアドは『あっ!そ、そうだったっ!』と、

慌てながらも地面に倒れるジュゲムへと駆け出した・・・。


「お、おいっ!負の勇者っ!しっかりしろっ!

 おいっ!ジュゲムっ!?

 お、おいっ!」


地面に倒れているジュゲムを抱き起しながら、

ナイアドは必死に呼びかけると、

『んんっ』と顏を顰めながら目を開けたジュゲムは驚いていた。


「・・・ナ、ナイアド?

 い、一体・・・どうしてお前が?」


そう言った瞬間・・・。


ジュゲムもまた『あっ!』と、

何かを思い出し声を挙げ身体を起こしながら、

『ヤ、ヤツはっ!?リヒテルの野郎はっ!?』と声を挙げた。


するとナイアドは静かに・・・。

そして緊張した面持ちと声でジュゲムにこう言った。


「・・・あそこだ」


ナイアドの声と視線を追ったジュゲムが見た先には、

この場所に居るはずもない悠斗が、リヒテルと対峙していたのだった。


「・・・ど、どうして・・・ユウト様が?」


ジュゲムもまた、自分の目の前の光景が信じられないのか、

抱き起こされたナイアドの腕を振り払いながら尋ねた・・・。


「・・・な、なぁ~・・・ナイアド?

 お、俺は夢でも見ているのか?

 ど、どうして此処に・・・ユウト様が?」


そう尋ねたジュゲムの声は『ヒュ~』っと吹き抜ける風に邪魔され、

傍に居たナイアドには届かなかった・・・。


そしてナイアドとジュゲムが見つめる先には、

悠斗とリヒテルが対峙しており、その張り詰めた緊張感から、

『ゴクリ』とジュゲムは喉を鳴らしたのだった・・・。



『ヒュゥゥゥゥ~』と・・・。

乾いた強い風が悠斗とリヒテルの間を抜けて行った・・・。

風に巻き上げられた砂や草が舞い、

視界に自然の薄い膜のゆうな視界を遮ったが、

悠斗とリヒテルは対峙したまま動かなかった・・・。


リヒテルは悠斗の真っ直ぐ射抜くような視線に、

強く眉間に皺を寄せていたが、

何も言わない悠斗に対し、次第に苛立ちを募らせていった・・・。


『ザザっ!』と、リヒテルが足幅を広げ、

強い風が土煙を巻き上げた時だった・・・。


不機嫌な表情を見せるリヒテルが悠斗に向かって口を開いた。


「・・・小僧っ!貴様は一体何者だ?」


そう声を挙げたリヒテルに悠斗は表情を変える事も・・・。

また抑揚も付けず返答した。


「・・・通りすがりの剣士だ」


『ピクっ!』と・・・。


悠斗の返答にリヒテルの頬が引き攣った。


「・・・ほう?通りすがりの剣士・・・か?

 貴様・・・ふざけているのか?」


リヒテルが不機嫌さを滲ませそう言った時、

悠斗の視線はとある場所へと向けられていた・・・。


悠斗の視線に『ん?』と疑問を持ったリヒテルが、

向けられた視線の先を見るとそこには、

『シュゥゥゥ、グチュグチュグチュ』っと・・・。


リヒテルが先程放ったモノが、

地面を急激に腐食させていたのだった。


『グツグツ』と腐食して行く地面を見ていた悠斗に、

『フフっ』と微笑を浮べたリヒテルは言った・・・。


「・・・貴様もすぐにそうなる」


少し機嫌よさげにそう言ったリヒテルに、

悠斗は『へぇ~』っと、関心無さげに返答すると、

リヒテルは『貴様・・・』とこめかみを『ヒクヒク』とさせた。


「・・・おい、貴様・・・名は?」


リヒテルのその声に悠斗は再びその視線をリヒテルへと向けると、

一言・・・『悠斗だ』とだけ名乗った。


悠斗の返答にリヒテルは眉間に皺を寄せ、

首を少し傾げながら『・・・ユウト?ユウト、ユウト』と呟き、

その名に聞き覚えがないかと考えていた・・・。


そして『・・・知らん名だな?』と口を開くと、

悠斗は『・・・だろうね?』と抑揚なくそう返した。


この時、再びリヒテルの頬が『ピクっ』と引き攣らせたが、

すぐに『まぁ~いい』と言いながら左拳を自分の目の前で広げると、

『いいモノを見せてやろう』と薄く笑みを浮かべた・・・。


『いいモノ?』と返答した悠斗の声に耳を傾ける事もなく、

リヒテルは溜めた魔力が収束すると同時に左拳を握り締めた。


すると『グジュグジュ』っと不気味な音を立てながら、

握られた左拳が淡く黒く光りを纏うと同時に・・・。

リヒテルは腕を真横に振りながら、握られた左拳を開いた。


『ビチャっ!ビチャビチャビチャっ!』


左手から降り放たれ『黒い液体』が地面に落ちると、

リヒテルは声を挙げながら『バシっ!』と、

しゃがみ込みながら地面を勢いよく叩いた・・・。


『スキル・黒き擬人体(ぎじんたい)


(・・・擬人体?)


その瞬間・・・。


地面に放たれた黒い液体は『ゴポっ!ゴポっ!』と、

水泡を弾かせながら次第に盛り上がり肥大化させると、

それはやがて・・・人の形を成したのだった・・・。


悠斗はその光景に『へぇ~』と・・・。


少し関心無さげにそう言うと、リヒテルは三度・・・。

その頬を『ピクっ』と引き攣らせた。


「・・・まぁ、いい。

 ユウト・・・とか言ったな?

 貴様が今、目にしているソレは『神よりもたらされた力の一端だ』」


「・・・神よりもたらされた?」


悠斗はの眉間に力が入ると、リヒテルは口角を上げた。


「・・・フッフッフっ。

 我々は神よりもたらされたこの力で同士を増やし、

 やがてはこの世界を・・・フッフッフッフっ・・・・」


リヒテルがご満悦でそう語っていると、

その『黒い液体は』は人のようなモノになり、

左右にゆらゆらと揺れていたのだった・・・。


「・・・こんなモノでどうするんだよ?」


そう尋ねた悠斗にリヒテルは『フフっ』と笑いながら言った。


「今からこいつらの実力を見せてやろう。

 光栄に・・・思うがいい」


リヒテルが左腕を大きく上げ、

今、まさに振り下ろそうとした瞬間だった・・・。


『パカっ!パカっ!パカっ!』


『ギュルギュルギュルっ!』と・・・。


小高い丘の向こうから馬の蹄の音と、

聞き慣れない音が迫って来た・・・。


『なっ、何だ?この音はっ!?』


そう訝し気な声を挙げたのはリヒテルだけではなかった。


2人の様子を見守っていたナイアドとジュゲムもそう思っていた時、

その音はやがて小高い丘を登り切ると姿を見せたのだった・・・。


「・・・女・・・だと?

 それに・・・な、何だ・・・あの建築物は?」


小高い丘に姿を見せた黒紅は、

悠斗の姿を見つけると嬉しそうに声を挙げた。


「・・・ゆ、悠斗様ぁぁぁ!みっっっっけっ!♪」


そんな楽しげな黒紅の声に、悠斗は苦笑していたが、

リヒテルは『た、建物がしゃ、しゃべっただとっ!?』と、

困惑した様子を見せていた・・・。


そうリヒテルが戸惑う中、

イリアとセルンが小高い丘を駆け下りながら黒紅に指示を出した。


「黒紅っ!負傷者をっ!」


「かしこまり~♪」


『ギュルルルルっ!』


黒紅が負傷しているナイアドとジュゲムに辿り着くと、

少し遅れてイリアとセルンが悠斗の隣に辿り着いた・・・。


リヒテルをじっと見据える悠斗にイリアが口を開いた。


「・・・ユウト?

 あの男が・・・元・正の勇者・・・リヒテルなの?」


『・・・コクリ』


イリアの問いに悠斗は無言で頷くと、

悠斗の左側に移動したセルンが『黒い人型』を見ながら尋ねた。


「ねぇ・・・ユウト?あの黒い人型って魔物なの?」


セルンの問いに悠斗は静かに首を振るとこう言った。


「・・・なぁ、2人共」


『・・・何?』


「・・・『黒い液体』の事を覚えてる?」


『・・・・・』


一瞬、悠斗の言った事に『ん?』と首を傾げた時、

悠斗は更に言葉を続けた・・・。


「・・・カロンやアマルテアの擬体に侵入し操ったり、

 トロールに寄生し神獣達を苦しめた・・・。

 『例の黒い液体』の事だよ」


悠斗の言葉に2人は『えっ!?じゃ~あれがっ!?』と、

そう声を挙げると、悠斗はリヒテルに向ける眼光を鋭くしながら言った。


「・・・あぁ、そうだよ。

 あの『黒い液体』が・・・その人型だよ。

 そしてその『黒い液体』の正体・・・。

 いや、そのルーツは・・・。

 『神よりもたらされた力』・・・らしいよ?」


『っ!?』


悠斗の話にイリアとセルンは驚きの表情を浮べた。


「・・・じ、じゃ~・・・カロン達を操ったのってっ!?」


「そ、そんな・・・まさか人族がっ!?」


勿論、悠斗の話に驚いたのはイリアとセルンだけではない。

事情を知るナイアドやジュゲムまでもが驚き、

その表情を強張らせていたのだった・・・。


そんな時、今まで様子を伺っていたリヒテルが声を挙げた。


「・・・お前達が一体何者かは知らないが、

 この俺の邪魔をすると言うのなら、今、此処で・・・死んでもらおう」


リヒテルが不気味な笑みを浮かべた時、

イリアは負傷している2人に声を掛けた・・・。


「ナイアドとジュゲムっ!?

 貴方達・・・戦えるのっ!?」


イリアの問いに2人は悔しげに頭を左右に振ると、

セルンは『黒い人型』を睨みつけながら言った・・・。


「・・・黒い人型の数は6体。

 どれ程の強さかは分からないけど、私達なら・・・」


セルンの言葉にイリアは『ええっ!勿論よっ!』と返すと、

今度は悠斗がナイアドとジュゲムに左手をかざした。


「・・・2人共、そこから動くなよ?」


その行動に負傷している2人が一瞬、

『えっ?』と声を挙げたのも束の間・・・。


『・・・ヒール』とそう言った悠斗の左手は淡い緑色の光を放つと、

負傷した2人の傷は見るみるうちに完治したのだった・・・。


悠斗は2人を回復させつつも、その視線はリヒテルへと向けたまま、

怪我が完治した2人に口を開いた。


「・・・スタミナまでは回復出来ないからな?」


「わかりましたっ!ユウト様、感謝致します」


「・・・兄貴っ!ありがとよっ!」


2人はそう言いながら立ち上がると、

数度、拳を握っては開きを繰り返した。


そして『行けますっ!』と答えた時、

セルンから念話が入った・・・。


そしてこのセルンから送られた念話は、

この場に居る者達へと共有された。


{・・・ユウト?

 貴方はそこで見ていて・・・いいわね?}


{・・・戦いたいんだろうけど、今はダメよ?}


{・・・ユウト様はお身体の事だけを考えて下さい。

 この場は私達が・・・}


{兄貴?退屈だろうけど、この場は俺達に任せてくれよ?

 俺だって『負の勇者』は伊達じゃないってところを見せるぜ♪}


それぞれがそう念話で悠斗に『戦うな』と告げると、

4人は悠斗の眼前で扇状に広がると声を挙げた。


「・・・この黒い液体のせいでっ!」


「・・・今の私達を倒せると思わない事ね?」


「・・・ユウト様の前でこれ以上の失態はっ!」


「・・・俺の力を・・・舐めるなよっ!」


そう言った瞬間・・・。


みんなの声を聞いたリヒテルは、

『フっ』と笑いながらも左腕を高く上げると、

一気に降り下ろしながら声を挙げた。


「・・・人族風情がいい気になるなっ!

 擬人体共っ!こいつらを殺ってしまえっ!」


リヒテルの腕が降り下ろされたと同時に、

黒い人型はゆらゆらと揺れながら移動を開始した。


イリア達もまた剣を抜きつつ同時に駆け出すと、

黒い人型に襲い掛かったのだった・・・。


悠斗とリヒテルは、真っ直ぐお互いを睨みつけたまま対峙し、

イリア達の戦いには目もくれなかった・・・。


じっと睨みつけていた時だった・・・。


後方で『あの~?』と黒紅が申し訳なさそうに悠斗に声を掛けた。


「・・・どうした?」


「い、いや~・・・私はどうすれば~?

 あの愚民達の様子から、私は手を貸さない方が?

 と、そう思ったのですが~・・・?

 それにあそこで偉そうな金髪男が人族風情が~って、

 そうほざいておりましたので~」


そう退屈そうに言った黒紅に悠斗はこう言った。


「黒紅、ステイ」


「・・・らじゃっ!」


悠斗の命令に元気よくそう言うと、

数歩・・・?後ろに下がり、戦いの行方を見守るのだった。



そんな悠斗と黒紅の会話を聞いていたリヒテルは、

再び不機嫌そうな表情を浮べるとこう言った。


「・・・ユウト?

 何だか貴様を見ていると苛々する」


いきなりそう苛立ちを滲ませながら言ったリヒテルに、

悠斗は肩を竦めて見せながら言った。


「・・・奇遇だね?

 リヒテル・・・俺もだよ。

 正の勇者だった男が、落ちぶれたモノだな?」


「・・・何だと?」


「だってそうだろ?

 一度は人々の為に戦ったはずだろ?

 なのにお前は今・・・逆の事をしているんだぞ?」


「・・・だから何だ?

 貴様が言う通り、俺は人々を守ってやった・・・。

 それが当然と言わんばかりにな?

 だから今度は・・・奪ってやるんだよ。

 フッフッフっ・・・。

 人族風情が・・・感謝も出来ぬほどのクズだからな~」


そう楽しげに言ったリヒテルに悠斗の眼光は鋭さを増した。


「・・・守って・・・やった?」


悠斗の言葉にリヒテルは恍惚な笑みを浮かべると言った。


「・・・だってそうだろ~?

 奪われる事を知って尚、人族は傲慢でどうしようもない生き物だ。

 だから・・・今度は奪われる立場になって、

 死を以って悔い改めされようって言うんだよっ!

 正の勇者であるこのリヒテル様がなぁぁぁっ!」


恍惚な笑みは醜く歪み、同じ人族であるとは到底思えなかった。

そんなリヒテルを見た悠斗からは表情が『スゥ~』と消え失せた・・・。


そして次の瞬間・・・。


『ボっ!』と、その身体から魔力を放出させた。


そんな悠斗の放出された魔力を感じ取った者達は、

『ユウト様っ!?』と戦いながらも声を挙げた。


するとセルンから怒った口調で念話が送られて来た・・・。


{ユ、ユウトっ!?

 ダ、ダメっ!?

 あ、貴方は戦ってはダメよっ!?

 今、戦ったらその身体はっ!?}


他の者達も同様で、各々から悠斗に『戦うな』と念話が流れて来た。


だが悠斗の眼光が鈍く光った時、

みんなに念話をこう返したのだった・・・。


『ごめん、みんな・・・。

 少しだけ・・・俺の我儘を通させてくれ・・・。

 こいつだけは許して置けない。

 ・・・いや、こいつだけじゃない。

 あの黒い液体は神をも狂わせるモノだ。

 だから・・・放って置く事は出来ないんだ。

 みんなの心配は十分に分かってる。

 それに長時間戦えない事も・・・。

 だけど・・・ごめん・・・みんな・・・』


そう念話を送った悠斗は、鈍く眼光を光らせながら、

恍惚な笑みを浮かべるリヒテルにこう言った・・・。


「・・・少しだけ付き合ってもらうぞ?」


悠斗の眼差しに恍惚な笑みが消えたリヒテルは、

眉間に強い皺を寄せながら口を開いた・・・。


「・・・このガキがっ!」


「・・・随分と口調が変わったな?」


薄く笑みを浮かべた悠斗は、マジックボックスを開くと、

ベガから受け取ったばかりの納刀されたままの刀を取り出すと、

小脇に抱え戦気をゆらゆらと立ち昇らせるのだった・・・。



ED曲【不死鳥の扉】


https://www.mureka.ai/ja/song-detail/5ijngCGohiawBFyn7p8BEG?is_from_share=1&song_title=%E4%B8%8D%E6%AD%BB%E9%B3%A5%E3%81%AE%E6%89%89&singer=%E7%B7%8B%E8%89%B2%E7%81%AB%E8%8A%B1





ってな事で・・・。


今回はこんな感じとなりました。


楽しんでいただけたら嬉しいです。


そして次回は悠斗の挿入歌の新曲となりますので、

楽しんでいただけたらと思います。



ってなことで、緋色火花でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ