平和的交渉64
俺が目を覚ますと、辺りに高木派の仲間達が蹲っていた。
古島など、レアスキル持ちはいつも通りに見えるが、他の面子は地面に座るか、木等の支えを得て漸く立っている状況である。
「隊長、気がついた? 加藤、隊長が目を覚ましたわよ」
「お、マジか」
「緑山、加藤……。これはどういう状況だ? あれからどのくらい経った?」
「落ち着けよ隊長。まだ30分程度しか経ってない」
加藤がいつも通り気楽そうに言った。しかし、違和感がある。緑山は正確にこちらを見ているが、加藤の視線は微妙に俺を捉えていなかった。
「……どうした?」
「手酷くやられた。全員、視界を奪われた」
「何? ラセツは、アークデーモンはどうなった?」
「2体はラセツが殺した。ラセツは俺達の視界を奪って逃げようとしたんだろうが、緑山とレアスキル持ちからは逃げられなかった。最後は古島が袈裟斬りにしたらしい」
俺は古島が立っている辺りに視線を走らせた。確かに、ラセツが一目で致死量とわかる量の血を撒き散らして倒れているのが見えた。
「なあ、あれって……?」
加藤が当惑の表情を浮かべた。
「アークデーモンが使う呪術の、恐らくかなり上位のものだろう。対価を支払うことにより、引き替えに行使できる類の」
「仲間の命が対価か。惨いことをする」
緑山が形のいい眉を顰めた。
「隊長はどうなの? 目は見える?」
「俺は万全だ。『ドッペルゲンガー』が犠牲になったが」
「私達の視界を戻せる?」
「可能だが、全員となると時間がかかる。取り急ぎ武闘派だけ治してアークデーモンの残りを探したい」
「えっ、そんなに急ぐ必要ある?」
「ある。推測の域を出ないが、おそらく奴等は何かを隠している」
文句は言わないが、納得もしてはいなさそうな緑山を横目に、まずは解呪ができる人員の解呪に取りかかった。俺のやり方は消耗品の魔道具に頼ることになるため、魔道具の数までしか治せない。お目当ての武闘派から治したいところだが、こればかりは仕方ない。
そして、古島、望月と、蘭童、毒島、高天原の解呪が完了した。もう少し活動可能なメンバーが増えるのを待つつもりだが、動けるようになったらすぐに山狩りを再開する。他の者達は俺達が探索をしている間に解呪させればいいだろう。




