平和的交渉63
「断る」
ラセツがそう言うのとほぼ同時に放たれた俺の合図で、古島がラセツの後ろにいたアークデーモンの右手を飛ばした。
右手を飛ばされた個体が悲鳴を上げるが、ラセツは顔色ひとつ変えないままである。
「お前達に拒否権も黙秘権も無い。時間の無駄だ、吐け」
「時間を笑う者は時間に泣くぜ、坊主」
ラセツは不敵な笑みを浮かべて見せた。
何だ? こいつの余裕は。気味が悪い。武装は全て解除したし、魔法を使う動作を見せようものなら、奴の魔法が形成されるより前に集中砲火を浴びせてこいつらをまとめて消し炭にできる。そして、こいつらもそれはわかっているはずなのだ。なのに、何故?
「もういい、殺せ」
嫌な予感がした。とんでもなく嫌な予感が。そして、得てしてそういう予感は当たってしまうもので――。
「ほう、ほう、ほうほうほう! 思ったよりやるな! いい勘してやがるぜ!」
「撃て!」
俺は集中砲火の指令を出した。それは間髪入れず実行されたが、放たれた魔法は魔法障壁に阻まれ、アークデーモンに届くことは無かった。
「馬鹿な! あんなの張る暇無かっただろ!」
「魔道具の類も無いのに何故!?」
不足の事態を前にして、俺達に僅かな隙が生じた。その一瞬で、ラセツは右手を失ったアークデーモンの心臓を素手で貫いた。
「期待、計算、計画通り! そんじゃま、大将首は貰ってくぜ!」
仲間の血に濡れたラセツの腕から、黒い煙のようなものが渦を巻いて俺へと襲いかかった。
魔法障壁がそれを阻むはずだったが、煙はそれを素通りして俺を包み込む。
「ハッハァ! あばよお前ら!」
薄れ往く意識の中で、ラセツがもう一体のアークデーモンをも刺し貫くのが見えた。
そして、俺の視界は暗転した。
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――保有者の異常を確認。
――状態の解析……呪化と断定。解呪を試みます……失敗。呪術を封印します……失敗。
――当該呪術の脅威判定を更新。
――保有者の状態をバックアップと入れ替えます……成功。保有者の状態の正常化を確認。
――エラー。「ドッペルゲンガー」の機能が正常に行使できません。
――ggg原因wwをkkk解ssss析。fff不kk可。kkk機能停s。
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