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勇者より軍隊の方が使えることに気づいてしまった件  作者: 亜和鵶吾明
第1章:平和的交渉
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平和的交渉27

 翌日、俺は再びデルフィルゴールの焼き印と思われる棒の在処を訪れた。溶岩の泉は消失しており、岩盤質の地面に下半分を食い込ませる形で長大な棒が鎮座している。俺は棒を軽くつついてみたが、熱さなどは一切感じなかった。思った通りだった。

 俺は、棒の先端にあった罪の印を見て、これが魔道具の一種であることを直感的に悟ったのである。恐らく、過去にこれを振るったとされる巨人の英雄も、相当に練度を上げた工兵か、またはそれと同系統の特徴を備える加護を持っていたのだろう。何にせよ、これでこの棒を運ぶことが可能となった。

 魔法使い達に指示を出し、この棒に動作の付与と封印を施そうとした。付与魔法はレジストされてしまったため、封印のみを施した。封印も、当初予定していたものより数段格上のものを行使せざるを得なかった。動作付与に関してはデルフィルゴールの焼き印そのものに対して行なうことはできなさそうだが、これは封印石に対して行なえばよいだろう。

 そして、俺達はデルフィルゴールの焼き印を封じた封印石を持ってガジル要塞へと帰還した。


 魔王軍の猛攻を勇者がいつもより前線を上げて食い止める間に、ガジル要塞の北門にグングニルが設置された。出来上がったグングニルは、非活性時は直径20cmほどの球体であり、活性時にはこの球体から長さ500m余りの灼熱の棒が生え、それを扇形に薙ぎ払う。動作実験はミニチュア版を用いて行なわれ、俺が設定した全ての条件をクリアしたことを確認している。あとは、スケールの違いとデルフィルゴールの焼き印を用いることによるイレギュラーの有無次第であるが、これは実際に使ってみないとわからない。いずれにせよ、もうじきわかることである。

 この要塞の兵士達が、グングニルに作成に関わった技術者達が、勇者部隊の面々が、緊張の面持ちで夜明け前の要塞の上から北の平原を見下ろす。

 そして、陽光が地平と天空の間を裂いたのを合図に、魔王軍は進軍を開始し、王国軍は防衛配置についた。

 歴史的な戦いの火蓋が切って落とされたのである。

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