平和的交渉22
グングニルを解体して検証を行なったところ、問題点がふたつ浮上した。ひとつは刃の強度が足りないこと。純オリハルコン製ではなく鉄との合金にすることを選んだ弊害で、普通の鉄剣に比べれば微々たるものではあるが刃の摩耗が起きているとのことだった。もうひとつは付与魔法の力不足である。このスケールの刃を動かすのならともかく、この100倍の重量の刃を同様の速度で動かすのは不可能であるということだった。
この問題の解決はは両方共が困難だった。まず、刃の摩耗に関してだが、「グングニルを2つ作成し、片方を使用している間にもう片方をメンテナンスできるようにしてはどうか」という案が出た。しかしこれは本末転倒で、そもそもオリハルコンが足りないから鉄を混ぜているのに、またオリハルコンを調達して同じものをもう1つ作ることなどできるはずがなかった。もう1つ作れるだけのオリハルコンが集まるなら、純オリハルコン製の刃を作った方がよいだろう。そしてもうひとつの重量に関する問題。鉄を混ぜることによって軽量化してもまだ重いというのなら、素材を変えるかこの設計自体を諦めなければならない。
「この案も放棄するべきか」という考えが俺の中で権勢を掌握しつつあった時、ひとりの小柄な老人が俺に興味深い話をしてくれた。曰く、彼の故郷には溶岩の泉があり、そこには太古の巨人に纏わる伝説がある。曰く、彼の巨人は彼の時代にその地を守護した英雄だったが、彼の武器は灼熱を帯びた長棒であった。曰く、その棒は彼が扱う限り、彼の敵のみを焼き払ったが、巨人が没した時、その身に宿した灼熱を解放し、彼の骸諸共その一帯を呑み込んだ。曰く、今ではその場所は溶岩の泉と化し、灼熱の棒は今でもその泉の上を漂っている。
その話を聞いた俺は、すぐにその老人に故郷へ案内してくれるよう頼んだ。老人は最初からそのつもりだったようで、快く諒解してくれた。




