平和的交渉21
そこで今度は発想を変えてみた。固定砲台ではなく、巨大で鋭利な刃を召喚して薙ぎ払うのはどうだろう、と。用いるのは封印魔法と付与魔法である。付与魔法で薙ぎ払う動作を設定した巨大な刃を封印石に封印しておき、敵の接近を確認したら封印を半解除する。すると、予め設定されていた付与魔法による動作が発動し、刃の届く範囲を薙ぎ払う。これなら、発動にかかるコストは封印の半解除魔法分だけである。
問題は、如何に強靱かつ鋭利な刃を作るか、である。数回振るっただけでなまくらになったり折れたりしては話にならない。そこで候補に登った素材が、「これを用いて作られた武具は不滅となる」とされるオリハルコンと鉄の合金だ。鉄を混ぜる理由はふたつある。ひとつは刃が巨大すぎて単純にオリハルコンが足りないということ。もうひとつはオリハルコンに鉄を混ぜることによって強度は落ちるが軽くなるということだ。共に知恵を絞った技術者達が教えてくれた。これにより、後に用いる付与魔法の負担を軽減できると考えた。
紆余曲折を経て出来上がった試作品の刃は幅0.5cm、長さ3mにも及ぶものだった。完成品は幅50cmで長さ300mを想定しており、これはその1/100スケールとなっていた。この刃に付与魔法を施し、召喚をトリガーとして一端を軸に扇形に薙ぎ払うような動作をするように設定した。最後に刃を魔法で封印石に封印し、試作型グングニルが完成した。
そして試験運用の日。訓練場に1/100スケールの兵士に見立てた鉄板を巻き付けた木の棒を数十本設置し、そこでグングニルの発動実験を行なった。これに成功すれば本格的にグングニルの作成フェーズに入ることができる。理論上は完璧に動作するはずである。意気揚々とグングニルの発動を命じると、封印石から刃が顕現し、並べられた全ての棒を鉄板ごと両断した。
喝采が上がった。全ての技術者達が手に手を取って喜んだが、実験はまだ終わっていない。俺は再び棒を並べさせた。
発動、両断。発動、両断。発動、両断。発動、両断。発動――。ひたすら実験を繰り返した。16回目で封印解除魔法を担当した術者が魔力の枯渇を訴えた。術者を交代して実験を続行。発動37回目と51回目で2回目と3回目の術者交代。そして発動63回目、グングニルは並べられた棒のおよそ半分を両断したところでその動きを止めてしまった。




