1930話 それぞれのやること62
鈴君の師匠
「ねぇ大兄、ズボンのお尻の部分が砂で汚れてるけどなにかあった?」
葉君がスーパーに入る前に気になったようで俺のお尻についた砂汚れを、手で叩くようにして綺麗にしてくれていた。
間違いなく爺さんとの組み手でついた汚れだと思う。ただ素直に話すと葉君が心配しそうだなと感じる。
そもそも待ち合わせの前になにをしてるんだよという話にもなりそうだしな。
「鈴君の格闘技の師匠がこの近くに住んでるんだけど、その人と話してる時に地面に座って話したからその時についたんじゃないかな?」
嘘は言っていない。
「こんなに寒いのに地面に座って話してたんだね。鈴君の師匠さんって少し変わってたりするの?いや、この言い方は失礼だよね」
「変わり者と言えば変わり者だと思うよ。最初に出会ったのも鈴君に紹介されたわけじゃなくてたまたま会っただけだからね。今では俺も色々教えてもらってるよ・・・・・・」
よくよく考えたらあまりよい出会いじゃなかったなと苦笑する。
「人生の先輩ってわけだね。教えてもらってるってことは大兄も鈴さんみたいに投げ技が使えるようになるってこと?凄いよね♪」
「いや、自分は才能がないからって技は一切教えてもらえてないよ。組み手してもらえるくらいかな・・・・・・」
「大兄と組み手って鈴君の師匠さんってめっちゃ強いんだね!」
「いやいや葉君、鈴君に勝てないその師匠に勝てるわけないよね・・・・・・受けるのが専門だよ。最近は投げられたりとかも無くなったけどね。最初は凄い勢いで投げられてたよ・・・・・・」
体に残る衝撃を思い出しながら苦笑する。
本気なのか本気じゃないのかよくわからない人だからな。
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