1912話 それぞれのやること44(鈴side)
音兄の過去
「音兄って彼女はいたりしないの?」
ふと考えていたことが口から出てしまった。
特に悪気や興味があったわけではなく思っていたことが、本当に無意識に口から出てしまった。
「ご、ごめんね音兄、こんなこと聞いて」
「別に謝ることじゃないわよ鈴。そういえばそういう話もしてなかったわね。鈴がそういう話をしなかったから興味が無いと思ってたのよ」
「興味が無いってことじゃなくて、いくら家族でもプライベートなことを聞きすぎるのもよくないかなと思って・・・・・・」
そう言うと音兄は大きく深呼吸した後に自分のことをしっかりと見つめてきた。
「私には昔に結婚したいなって相手がいたのよ。まぁ、私のメイクの師匠なんだけどね。好きというようりは尊敬って気持ちの方が強かったかもしれないわね。でもその師匠とは結ばれることは無かったのよ。それから先に出会った人には師匠以上に好きと思えることが無かったら誰とも付き合ってないだけ。そもそも私はモテないから」
そう言うと音兄は無理やり笑顔を作って安心させようとしてくれた。
でも音兄と一緒に暮らしている自分から見て無理やり笑顔を作っているのが痛いくらいに伝わって心臓が痛くなる。
「ごめんね、音兄、自分は・・・・・・」
「もぅ、バカね鈴は・・・・・・」
自然と溢れ出す涙を隠すように音兄が優しく抱き締めて頭を優しく撫でてくれた。
心地よくていい匂いがする。
「落ち着いた鈴?」
「うん、ごめんね音兄。ありがとう」
「それより急がないと遅刻するわよ?」
「ふぁ!?」
時間を確認して思わず変な声が出てしまった。
音兄が今度は本当に笑っているのを感じながら慌てるように準備を始めた。
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