1901話 それぞれのやること35
きっかけ
「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・やっぱり鈴君にはまだまだ敵わないな・・・・・・」
自動販売機に手を置いて額から溢れ出す汗をタオルで拭きながら鈴君に話しかける。
「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・なにを言ってるんっすか大さん?前よりもめっちゃ早くなってるっすよ?そのうち負けるかもしれないっすよ」
お世辞でも勝つことを目標にしている鈴君にそう言ってもらえるのは嬉しい。
自動販売機でいつものようにスポーツドリンクとココアを購入して鈴君に手渡す。
「あの、大さん・・・・・・言いにくいんっすけど今日はスポーツドリンクを飲みたいっす。買う前に言わなかったから自分で買うっすね」
「じゃあ、これ」
スポーツドリンクを鈴君に渡して俺はココアの缶を手に持つ。
「でも悪いっすよ大さん。それに買った方に飲み物を奢るなんてルールをいつまでも守る必要なんてないっすよ。あれを始めたのは冗談みたいなもんだったんっすから」
日課で負けた方が飲み物を奢る。
それは鈴君と日課で何日か一緒に走るようになってから、鈴君のふとした一言で始まった。
挑発したとかそういうことではなく本当に冗談まじりに言った言葉だったような気がする。
実際のところはそんなに詳しくは覚えていない。
ただ目標に向けてなにかご褒美があった方がやる気が出るような気がして提案に乗った。
まぁ、結果は一度も勝ったことがないんだけどな
ただ目標でいてくれる鈴君に対するお礼も兼ねているのかもしれない。
「感謝の気持ちもあるから大丈夫だよ。いつか鈴君に奢ってもらうのが楽しみだからね」
そう言ってココアの缶の蓋を開けてゆっくり飲み干していく。
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