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世界創造の設計士 ~外れスキル《UNKNOWN》は文明を創る唯一の力でした~  作者: 谷本遥叶


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第8話 『第一の設計図』

夜の森は静まり返っていた。


ブラックファングを倒した場所には、まだ戦いの跡が残っている。


レインの手には、あの黒い金属板が握られていた。


触れた瞬間に聞こえた声。


『第一封印を解除します。』


あれが幻覚だったとは思えない。


「その板……一体何なの?」


アイリスが恐る恐る尋ねる。


「分からない。でも、ただの金属じゃない。」


レインは板をじっと見つめた。


表面には見たこともない文字が刻まれている。


だが不思議なことに、さっきまで読めなかった文字が少しずつ理解できるようになっていた。


『第一設計図──基礎創造』


「……設計図?」


その瞬間、黒い板が眩い光を放つ。


大量の情報が頭の中へ流れ込んできた。


木材の繊維構造。


鉄の精錬方法。


魔石の性質。


魔力の流れ。


さらには、存在すら知らなかった未知の素材まで。


「ぐっ……!」


頭を押さえて膝をつく。


「レイン!」


アイリスが駆け寄る。


数十秒後、光は収まった。


「……大丈夫だ。」


「全然大丈夫そうに見えないけど……。」


レインは苦笑した。


「俺、この世界の”素材”を理解できるようになった。」


「え?」


近くの石を拾う。


今までならただの石にしか見えなかった。


しかし今は違う。



石灰岩


強度:低


加工適性:C


耐熱性:B


魔力伝導率:1%


組み合わせ可能素材:18種類



「見える……。」


まるでゲームのステータス画面だ。


木を見る。


草を見る。


魔物の牙を見る。


全てに情報が表示される。


「これが第一設計図……。」


今までは”作れる”だけだった。


しかしこれからは、素材の性能を理解した上で設計できる。


まさに設計士。


能力の本質が少しだけ見えた気がした。



その頃。


王都。


王立魔法研究所。


一人の老人が机を叩いた。


「反応が出たか!」


机の上には巨大な水晶。


その中心には赤い光が灯っている。


「間違いない……。」


「創造神の設計図だ。」


周囲にいた研究者たちがざわめく。


「ですが先生、設計図は千年前に全て失われたはずでは?」


老人は首を振る。


「違う。」


「失われたのではない。」


「封印されたのだ。」


研究所の空気が一変する。


「すぐに騎士団へ連絡しろ。」


「その人物を保護する。」


そう口では言った。


だが老人の目は、どこか別の感情を宿していた。


「……もし利用できるなら。」



同じ頃。


世界最北端。


雪と氷だけが広がる禁域。


巨大な神殿の最奥で、一人の青年が目を開いた。


銀色の長髪。


黄金の瞳。


その身体には無数の鎖が巻き付いている。


「八つある封印のうち、一つが解かれたか。」


彼は静かに笑う。


「まだ弱い。」


「だが、あの力は確かに”あの人”と同じ。」


青年は鎖を軽く引く。


ガシャン――。


神殿全体が揺れた。


「もう少しだ。」


「あと二つ封印が解かれれば、この鎖も壊せる。」


その笑みには期待と狂気が入り混じっていた。



翌朝。


レインとアイリスは森を出て、最寄りの街へ向かっていた。


「まずはギルドに報告ね。」


「ああ。」


その時だった。


街の門前に、黒い鎧をまとった十数人の騎士が整列していた。


中央には、一人の女性騎士。


長い黒髪を風になびかせ、鋭い視線でレインを見据える。


「ようやく見つけた。」


彼女は剣を抜かずに一礼した。


「王命です。」


「レイン・クロード。」


「あなたを王都へ連行します。」


レインの周囲を騎士たちが静かに囲む。


敵なのか。


味方なのか。


誰にも分からないまま、緊張だけが張り詰めていく。

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