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世界創造の設計士 ~外れスキル《UNKNOWN》は文明を創る唯一の力でした~  作者: 谷本遥叶


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第7話 『設計士の初戦』

朝靄が森を覆っていた。


レインは背中に背負った木箱をゆっくりと降ろす。


中には昨日作ったばかりの武器。


鉄ではない。


木でもない。


自分だけが作れる未知の素材。


「……これで、本当に戦えるのか。」


隣ではアイリスが不安そうに呟いた。


「大丈夫。」


そう答えたレイン自身も、確信があるわけではない。


今まで能力は物を作るだけだった。


実際に戦うのは今日が初めてだ。


その時だった。


ガサッ……


森の奥から低い唸り声。


「来る!」


飛び出してきたのは二メートルを超える巨大な狼。


黒い毛並み。


赤く光る瞳。


普通の魔物ではない。


「ブラックファング!」


アイリスの顔が青ざめる。


「Eランクじゃない!Dランクよ!」


普通なら新人冒険者が遭遇した時点で終わり。


逃げるしかない相手だった。


だがレインは逃げない。


木箱を開ける。


取り出したのは一本の剣。


見た目は地味だ。


だが、その刀身は銀色に淡く輝いていた。


「創造。」


剣の内部構造を頭の中で描く。


強度。


重量。


重心。


切断効率。


全てを書き換える。


『再設計』


ギィィン……


剣が光を放つ。


「え?」


アイリスが目を見開いた。


武器が、その場で変形している。


刃は薄く。


柄は握りやすく。


まるで熟練鍛冶師が何十年も研究して完成させた一本のようだった。


「これが……俺の能力。」


ブラックファングが飛びかかる。


速い。


普通なら見えない速度。


だがレインは冷静だった。


「見える。」


違う。


動きを予測している。


筋肉の動き。


踏み込み。


重心移動。


全て設計図のように頭へ流れ込む。


「そこだ。」


一閃。


ズバァッ!!


巨大な前脚が切り落とされた。


「嘘……。」


アイリスが震える。


ブラックファングの毛皮は鉄のように硬い。


普通の剣では傷一つ付かない。


それを、一撃。


魔物は怒り狂い突進する。


だがレインは地面へ手をついた。


「創造。」


地面から無数の杭が飛び出す。


ドゴォォッ!!


ブラックファングの動きが止まる。


「まだ終わらない。」


次の瞬間。


レインは剣を空へ投げた。


「分解。」


剣が無数の金属片へ変化する。


「再構築。」


金属片は一本一本が小さな刃となり……


空中で巨大な槍へと組み上がった。


「穿て。」


ドォォォン!!


槍は一直線に落下。


ブラックファングの胸を貫いた。


静寂。


森が静まり返る。


アイリスは声も出ない。


「……勝った。」


レインも信じられなかった。


武器を作るだけじゃない。


作った物を進化させる。


組み替える。


設計し直す。


能力は思っていたより遥かに自由だった。


だが、その時。


魔物の死体が突然青白く光り始める。


「なに……?」


死体から一枚の黒い金属板が現れる。


そこには誰にも読めない文字。


レインが触れた瞬間──


頭の中へ声が響いた。


『確認。』


『創造者候補を検知。』


『第一封印を解除します。』


「……誰だ?」


その瞬間、遥か北の大陸。


巨大な塔の最上階で、一人の老人がゆっくりと目を開いた。


「始まったか。」


老人の前には、世界地図。


その中央に一つだけ赤い光が灯る。


「数千年ぶりに……設計士が目覚めた。」


そして塔の地下深く。


誰も入ることを許されない最深部で、鎖に繋がれた”何か”が静かに笑った。


「ククク……ようやく来るか。」


暗闇の中で、黄金色の瞳だけがゆっくりと開いた。


「創造神の後継者よ。」


――続く。

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