↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
橄欖色のアーカイブ  作者: 藍川 卯木子
橄欖色のアーカイブ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
37/117

第37話 150年前 とある軍事施設の会議室

 太った男が腕を組み、白衣の男へ視線を向けた。


「本当に天花でよかったのか?」


 机の上に置かれた資料へ顎をしゃくる。


「総合成績だけ見れば、ナタル・エルピディアの方が上だったはずだ」

「ええ」


 白衣の男は淡々と答える。


「彼女で問題ありません」


 そう言うと、ナタルの試験結果を手に取り、何の未練もなくゴミ箱へ放り投げた。


「おいおい……」


 太った男は眉をしかめる。


「せっかくの逸材だぞ」

「優秀だから操縦できる――そんな単純な話ではありません」


 白衣の男は椅子へ腰を下ろし、くつくつと喉を鳴らした。


「では、何が決め手だった?」


 白衣の男は少しだけ目を細める。


「絶望です」


 部屋が静まり返る。

 白衣の男は天花の資料を手に取り、その名前を指先でなぞる。


「ナタルは陽の気が強すぎる。明るく、穏やかで、人を惹きつける……だが、それはアンビジブルにとってとても邪魔な性質だ」


 ふっと笑う。


「そんな人間に、あれを扱うことなど出来るはずがない」


 視線を資料へ落とす。


「ですが、彼女は違う」


 口元がゆっくりと歪む。


「深い絶望を抱え、破壊願望もある。だからこそ、選ばれました。まぁ少しナタル・エルピディアに感化されそうになっていたが大したことではない」


 太った男は黙ったまま天花の資料を見つめる。

 やがて小さく鼻を鳴らした。


「……お前の理屈は理解できん」

「理解していただく必要はありません」


 白衣の男は笑みを崩さない。


「結果だけ、ご覧いただければ十分です」


 そう言って二人は部屋を後にした。

 扉が閉まる。

 静まり返った部屋には、ゴミ箱へ捨てられたナタル・エルピディアの資料だけが残されていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。