デート?
クランを出て三人で歩き出す。
紗也と澪がノアの後ろをペースを保ちながら歩く。
「ノアさんって自分からデートに誘ったと思います?」
「どうなんでしょうね、でも、デートが何かもわかってないようだったよね。」
「誘われたって可能性はありますね。」
「相手の名前ぐらいなら聞いてもいいんじゃないかな。」
「ノアさん、会う人は何て言う方なんですか?」
ノアが立ち止まり紗也を見て答える。
「……名前……聞いてないかも!?」
「……どこで会ったんですか?」
「銀行の窓口です。」
「…仕事の最中に…誘ったんですか?」
「…どうだったかな、誘われた気がするんだけど…。」
「…顔はさすがに覚えてますよね?」
「ん?あれ?…目の下とか太陽の下だと陰がないですね。」誤爆HP-1(残り69)
「…化粧直したんですっ!」
「澪さんもなんか雰囲気変わりましたね。」誤爆HP-1(残り68)
「…少し…強めに…。」
「俺は今の感じも良いと思います。」
澪の顔が少し和らぐ。
「ノアさん、行かないと…。」
ノアが向きをかえて歩きだす。
ノアについて歩きながら聞こえないように会話する。
「晶さんの言った通りじゃないですか?」
「ライバルが増えるって話?」
「そうですよ。玲奈さんも日を改めるって言ってたし…。」
「玲奈さんの場合は…興味から…一緒か…。晶さん沼るって言ってたし…。」
「澪さんは何か案ありますか?」
「私は…まずは意識してもらうこと。」
「え!?澪さんのこと意識はしてましたよ。」
「仕事柄かどうしても女性っぽくないと言うか…サポートする時は意識されにくいのよ。」
「……私も……そっちよりかも……。」
「安心を与えられるのは強みになるけど…そこに行くまでがね…。」
「わかる気がします。」
「攻めも必要なんだけど…どうしても真帆さんとか晶さんのようには難しいよね。」
「それわかります、昔から誰かの陰に隠れていまう…。」
「さっきの話でみんなで一緒に住めばもっと意識されると思うけど…。」
「そこは私もメリットが大きいと思いました。」
「ノアさんがそんなこと言うとは思わなかったけどね。」
「そうですね、全員だと結構大きなシェアハウスじゃないと…。」
「夜勤か…もっと一緒に入れる時間ほしいなぁ。」
「私も学校あるしな…。」
ノアが立ち止まり振り返る。
「その信号渡った所のコンビニだったと思います。」
「うっ…、彩香いるかも…。」
「えっ!?」
ノアは道路手前で信号が変わるのを待つ。
「澪さん、入り口の横の方に女性がいます。」
「銀行員っぽくないけど…私服だもんね。」
歩行者信号が青に変わる。
ノアが杖をテンポ良くつきながら歩く。
「ノアさん、色メガネは気をつけてくださいね。」
「はい。」
「澪さん、私たちってノアさんの友達でいいんですかね。」
「…体の事もあるから…保護者?…介助者でいいかな。」
「…言葉的にはそうですよね…。なんか緊張してきました。」
「…そんなこと言うと私まで…。」
ノアが立っている女性に近づく。
「…銀行員…さん?」
「おはようございます。」
「凛とした立ち方が素敵ですね。」
「えっ、あっ、ありがとうございます。」
「はじめまして、大槻紗也です。」
「私は柿崎澪です。」
「あっ、伊吹真琴と言います。」
「俺は佐藤ノアです。」
3人が言葉をなくす。
「…。」「…。」「…。」
コンビニから出てきた人が咳払いをしながらノアの後ろを通る。
澪がノアの背中に手を置く。
「ノアさん、ここじゃ邪魔になるので中のイートインスペースにでも…。」
紗也が首を横に振る。
「中はまずいです、どっか他の所に…。」
「真帆さん、どこにデート行きます?」
「えっ?…デート?…4人で…?」
「はい。」
「ちょ、ちょっと聞きたいことがあるのでまずは座れるところで…。」
「紗也さん、この隣はお店ですか?」
「…ファミレスです。」
「ならそこに最初は行きますか?」
「…はい。」
ノアが楽しそうに隣の建物に向かう。
紗也がノアを追いかけ横に並ぶ。
真琴と澪が二人の後をついていく。
紗也がノアの為に扉を開け店内に入る。
店のスタッフについていきボックス席に通される。
ノアが左奥に座る。
「真琴さんはノアさんの向かいでいいですか?」
「はい…。」
「紗也さん、ノアさんの横でいい?」
紗也は頷くと強ばっていた表情が緩くなる。
「4人分の水入れてきますね。」
紗也が水を入れに行く。
澪が真琴の隣に座る。
「ここもドリンクバーですか?」
「そうですね、ノアさん何にします?」
「コーラがいいかな。」
「入れてきますね。真琴さんは?」
「あっ、自分で行きます。」
澪が二人の間からタブレットを取りドリンクバーを4人分注文する。
澪がテーブルを離れてドリンクバーに向かう。
ノアは色メガネを意識してうつ向く。
真琴は澪が聞こえない位置に行ったのを確認し、ノアに質問する。
「彼女達はノアさんのこと、どこまで知ってるんですか?」
「全部知ってくれてますよ。」
「えっ、言っちゃったんですか?」
「…はい、…知っといてもらうべきかと思いまして…。」
「…わかりました。…私も飲み物入れてきます。」
真琴は考えながら立ち上がり、ドリンクバーに向かう。




