天然
紗也とノアはファミレスに着く。
前の回復から20分経過HP2回復(残り12)
飲み物だけを前に置きスマホを触る一人の女性。
紗也は女性に近づき声をかける。
「彩香!」
「おっつー、待ってたよー。」
「何で一人?」
「別れた。」
「またぁ?今度は何がダメだったの?」
「うーんとねぇ、下心が見え見えでわざとらしい優しさかな。」
ノアが松葉杖をつきながらゆっくりと歩み寄る。
「こんにちは。」
彩香はスマホを置いて立ち上がり、ノアの顔に見とれる。
「こ…こんにちは。」
彩香は紗也の横に移動し、肘打ちする。
「ノアさん、この子は友達の彩香です。」
彩香は右手をあげる。
「どーもー、上野彩香でーす。」
「どうも、佐藤ノアです。」
「ノアさん、私のこと覚えてます?」
「………すいません、覚えてないです。」
紗也が首を傾げる。
「…彩香、ノアさんのこと知ってるの?」
「客できたことあるよ。」
「…夜の?…昼の?」
「昼…、でも覚えてないのかぁ。」
「すいません、どこだったか全く…。」
「顔が違うからわからないんじゃない?」
「えー、そんなに違うかなぁ。」
紗也は上下に首を2回振る。
「コンビニの時はスッピンでしょ…。」
「そうだよ。」
「コンビニ…先週行ったぐらいです。」
「そうそう、その時、その時、お弁当温めたし揚げ物買ってた。」
「はい…たしかに…買いました。」
「…マジでわかんないの?」
「…はい…。」
「彩香がスッピンで接客モードだから別人レベルなんじゃない?」
「あの時、横に誰もいなかったと思いますが…。」
「!?…レジでお会計したのがわ・た・し。」
「…うーん…、そうなんだ…。」
「まぁいいや、それよりもノアさんイケメンだよね。」
彩香はノアに近づき、犬が匂いを嗅ぐように顔をジロジロ見る。HP-2(残り10)
「…彩香、…座らない?」
「あっ、ごめん。」
紗也はノアを座らせ、耳元で囁く。
「『色メガネ』は気をつけてね。」
ノアは元気よく答える。
「はい。」
彩香が向かいに座るのを見る。
「水くんでくるね。」
紗也はそのままドリンクバーカウンターに向かう。
「わたしはノアさんのことをちゃんと覚えてるよ。」
「…どうしてですか?」
「日本語の不慣れな外人っていうか、…まぁそんな感じ!?」
「…そうなんですか?かなり普通に話してるんですけど…。そんなに違和感ありますか?」
「うんうん、ないよ、イケメンがギャップ萌えって感じかな。」
「ギャップ燃えってどんな感じですか?」
「うーん、顔と言葉の雰囲気の違い?」
「…今の…彩香さんはギャップ燃えなんですか?」
紗也が少し駆け足ぎみに戻ってくる。
「私のはプライベートで、化粧とモードを変えてるだけでーす。」
「ぷっ、別人レベルのね。」
紗也がノアの前に水を置きながら、ノアの横に座る。
「そんなこと出来るんですね。俺も…。」
ノアは顔のいろんな筋肉を動かし、くにゃくにゃと表情を変える。
「ぷっ、それってただの変顔じゃない。ノアさんおもしろぉ。」
「ノアさん、彩香の話は適当に流してください。」
「テキトーってひどいなぁ。」
紗也はノアに体を寄せ、前をふさぐように手を伸ばしメニューとタブレットをとる。HP-1(残り9)
「ノアさん何か食べます?」
「俺は何でもいいので彩香さんからどうぞ。」
ノアがメニューを彩香に向けようとする。
彩香はメニューを見ることなく答える。
「わたしはーピザ!コーンマヨ!」
「…太るよ。」
「気にしませーん。うまけりゃいいのよ。」
ノアがメニューを広げ、ピザを探す。
「マルゲリータってのもありますね。」
「それもおいしいよ。」
「これにしようかな。」
「マルゲリータでいいですか?」
「はい。」
紗也はタブレットから注文する。
「紗也さんは何にするんですか?」
「…パンケーキ…にしようかな。」
「あっ、この前食べました。美味しかったですよ。」
タブレットに二種類のパンケーキが出る。
「普通かストロベリーか…どっちがいいかな?」
「ストロベリーも美味しかったけど、普通の方が優しい味でしたね。」
「じゃぁ、普通にする。」
「ノアさん、これそこに戻してください。」
ノアはタブレットを受け取り元の位置に戻す。
「ねぇ、紗也はノアさんと付き合ってるの?」
紗也は即答できずに顔を赤らめる。
「ふーん、なる…。」
「付き合ってくれてます。」
紗也は驚いてノアの顔を見る。
「え?」
「今日のお医者さんもここも。」
彩香と紗也が一瞬止まる。
「…。」「…。」
「ん?…何か変なこと言いました?」
「付き合うって彼氏彼女ってことだよ。」
「彼女は紗也さんですよ。」
彩香が不思議そうな顔をする。
「…女性をさして彼女って意味じゃなくて…、特別かってことだよ。」
「はい、特別です。」
「ぷっ、ノアさんってだいぶ天然!?」
「いえ、いたって自然です。」
「あはははは。」
彩香はお腹を抱えて笑う。




