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情報の開示

晶がスキルの問題点を整理する。

「直接リスクとしては…。」

・目を会わせてはいけない

・小さな好意でも反転するとキケン

「間接リスクとしては…。」

・新規参入プレイヤーか、ダメージを負う女性が増える。


紗也は少し理解が追い付かない。

「小さな好意でもキケンなんですか?」

「昨日の朝にパンケーキを口に入れてあげようとしたら反転した。」

「…食べさせられ…なかったんですか?」

「そう、アプローチがかけれない。」

蘭が紗也に説明する。

「さっき晶さんが崩れたのはそこよ、誰もが自然と目を合わせてしまうから、ましてや好意がある時に目を合わせないなんて出来ないよね。」

紗也も美咲も驚いて蘭を見る。

「…それは…かなり無理です。」「…。」

晶がさらに補足する。

「美咲さんのことを後で考えるけど、目を見てごめんって言おうとすると反転するよ。」

紗也も美咲もさらに驚く。

「…。」「…。」

「晶さん、ちょっと言葉が足りないんじゃない?…目を合わせずに、気持ちを伝えられるか?でしょ。」

晶も黙る。

「…。」

長い沈黙の後に紗也が提案を出す。

「ツンデレだったら行けるってことですか?」

晶が即答する。

「自であっても好意を見せたくなかったのに、反転して曝してしまうのは辛いんじゃない?」

「…ツンデレでも自分に返ってくる…ですね。」

長い沈黙の後に蘭が席を立つ。

「何か飲む?」

晶と紗也は声を揃えて言う。

「カフェラテ」「カフェラテを下さい。」

「美咲さんは?」

美咲は蘭の目を見れない。

「同じ物を下さい。」

「カフェラテ3つね。」

「晶さん、さっきの間接リスクについてはどういう意味ですか?」

「普通は初対面でいきなり好きってならないでしょ、でもノアさんって自然に入ってくるから、距離を取りたくなった瞬間にくっついちゃう。今日の凛って女の子がそれ。」

美咲は落ち着いて聞いている。

「…ってことは凛さんはすでにプレイヤー側に!?」

「間違いなくね、…蘭さんと真帆さんと凛さんですでに友達登録したって言ってたから、パーティーが一つ増えたってことかな。」

「…蘭さんは別になるんですか?」

「情報共有はしたいんでしょ。その辺りはめちゃくちゃ上手いよ。」

「…では他の二人は?」

「…凛さんは正直わからない、でも真帆さんはすでに『ノア』呼びだった。」

紗也と美咲が驚く。

「…。」「…。」

「それ以上の問題は後者の方、ノアさんのイケメンが一瞬で好意を持たせた場合は、今日の美咲さんのようになる。」

「…それは…結局プレイヤー側に立つじゃないですか。」

「後者の方がノアさんに直接ダメージを与えてしまうと、自分が傷つくよりもはまってしまう。沼のようにズブズブと…。」

美咲が下を向く。

「好意が逆はかなり難問になったんですね。」

「難問どころではなくなったよ、目をあわせないか感情を殺すか。」

「確かに、どうやっても好意を伝える手段が断たれたように思います。」

蘭がお盆にカップを載せて戻ってくる。

蘭がテーブルに一つずつ置いていく。

「何か手段が見つかった?」

紗也がカップを受け取る。

「まだ、これと言っては何も。」

晶が一口飲む。

「美咲さんの取れる手段は、とりあえずは三つあるけど。」

美咲が顔を上げる。


・1対1で直接あって、目を合わさずに感情を入れずに謝る。

・蘭さん達と同じように複数で会って、下を向きながら謝る。

・自筆で手紙で謝る。


「救いなのはノアさんも『色メガネ』を理解したこと。」

「そうねぇ、オレンジも食べてね。これはサービス。」

「飲み物は取るってことね。」

「あらぁ、当たり前じゃない。お仕事だもん。」

「ハイハイ。」

「危険性がわかったなら対応できるでしょ。」

「あなたもリスクは感じてるんじゃないの、職業柄カウンターの中と外だし。」

「どうだろ、私には勘違いして寄ってくる人の方が多いから…。」

「…くっ、…相手に言わせてきただけの人間だもんなぁ。」

「見せ方しだいよね。」

紗也が口を挟む。

「残念ながらそれはノアさんにはダメージになります。」

「HPが0にならなければいいんでしょ。」

「…そうですけど…。とりあえずは美咲さんのとれる方法に集中しましょうよ。」

晶が美咲に勧める。

「とりあえず一口飲もう。」

美咲は一口飲み、初めて口を開く。

「さっきの3つで言うならみんなのいるところの方が安心かな。やっぱり顔を見て謝りたいし。」

「注意が必要なのは目を合わせないこと、ノアさんも意識はしてるだろうけど…。」

「そうね、凛さんやノアさんも会いたいと思ってるし。ただね…。」

「なに?」

「あら、晶さんでもノアさんのことはわからないの?」

「…。」

紗也が晶の代わりに喋る。

「何があるんですか?」

「あの人も友達作ることに億劫になってるの、気持ちが弱ってるのよ。」

美咲が思い出す。

「そういえば、ラブエナジーで元気もらうみたいな発言してた。ダイナマイト・エンジェル行くって言うから止めたの。」

三人が沈黙する。

「…。」

美咲が慌てる。

「…えっ、私変なこと言った?」

晶が蘭の胸を見る。

「…変なことじゃないんだけど…ダイナマイトって…。」

「…なんで私を見るの、自分のを見なさいよぉ。」

晶と蘭が紗也の胸を見る。

紗也が手で胸を隠す。

「二人とも目で否定するの止めてください。」

「…。」

「ここでの沈黙は肯定です。」

晶は笑顔になり、蘭は少しだけ表情が緩む。

晶が美咲の胸を見ながら言う。

「やっぱりノアさんもそこにこだわるのかなぁ。」

「…今の私には冗談でもきついよ。」

「ごめんごめん。」

紗也がメモを見る。

「そういえば言い忘れてました、靴屋を見てきた時にアピールしそうな人はいませんでした。」

「私も言い忘れてたけど、昨日、看護師してる人とノアさんで朝食食べたけどね、隣に座ってもダメージ受けてなかったの。」

紗也がメモをめくる。

「…それは強敵では?」

「女性として認識されてないって言われて、確かにダメージ受けないってそれも意味無いって再認識したの。」

全員が沈黙してしまう。

「…。」

晶がもう一つ思い出す。

「あぁー、もう一つ、明日は受診で病院だって。」

紗也がスケジュールを確認する。

「私が原因だから付き添います!」

「…年寄りまで魅了しないと思うんだけど…ねぇ。」

蘭は理解できてない。

「そうなの?女ったらし?」

美咲が蘭の方に体ごと向ける。

「ノアさんは真っすぐなだけです。ただ…優しい…人!?」

紗也は自分の印象を口にする。

「私は優しい人って思います。でも…食べ方は子供っぽかったです。」

蘭から見た印象を口にする。

「私は普通にイケメン好青年って思うよ。」

「それは見たままじゃない。私は子供っぽいも優しいも感じてるよ、それ以上に世の中に馴染んでない不思議感が大きいな。」

紗也が飲み物を飲みほす。

「お題に戻して美咲さんとノアさんの会うタイミングをいつにしますか?」

「早い方が…。」

「明日の夜でいいんじゃない?ここなら夜は人も少ないし。」

「…失礼ねぇ、お酒も出してるから夜もお客様はいるよ。」

「じゃぁ、明日夜8時でいいですか?」

「ねぇ、凛さんも美咲さんに謝りたいって言ってるから声かけて良い?」

「…はい、でもそれって『色メガネ』だから私の勝手な嫉妬だし…。」

「本人は謝らないと気がすまないのよ、受けてあげて。」

「…はい。」

紗也は明日の予定に書きこむ。

「では明日またここで、ですね。」

「晶さん、ほぼ毎日ね、助かるわ。」

「…居心地はいいからね。そのうち住み込んでやるかな。」

「ふふふ。そういうキャラが好きなお客さんもいるからカウンター立ってもいいわよ。」


晶と紗也と美咲でオレンジを食べきる。

お皿には皮だけが残った。

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