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想いの代弁

晶からの連絡がこない。

紗也は美咲のまだ沈んだ顔を見る。

「美咲さん、ノアさんがHP0になった後の対処方法って、まだ説明してなかったですよね。」

「…何それ?」

「失神して記憶も消えた後にHP1で戻ってくるんですよ。」

「それは聞いたよ。そこに対処方法?」

「そうですよ、膝枕してたらまた失神しちゃいますよ。」

美咲は膝枕している時をイメージする。

ノアが回復した瞬間にまた落ちる。

「…あー、たしかに1だと無理だね。」

「そこで晶さんは音楽を使うことにしたんです。」

美咲は横で曲を聞いた場合をイメージする。

ノアとくっついた瞬間に白目をむいてまた落ちる。

「音楽…、頭が回らないよ、何でそれが対処方法になるの?」

「時間稼ぎでHPの回復を待つんです。」

「…ただの時間稼ぎ?」

「違うんです、そこを上手く使うんです。ノアさんに私たちのイメージだけ刷り込むんです。」

美咲は何のイメージもできない。

「…ピンとこないけど…ごめん。」

「晶さんは『歩く花』、私は『明日へ』って曲を聴かせたんです。」

「どっちも知らない。」

「聴いてみればわかりますよ。」

紗也はスマホで『歩く花』をかける。

美咲が驚き、紗也の顔を見る。

「…!」

紗也は曲の途中なので話かけずに頷く。

美咲は歌詞を追いかける。

曲が終わり美咲がすぐに喋る。

「晶さんっぽいよ、しかもノアさんへのPR的な感じもある!」

紗也は自然に笑う。

「へへへ、晶さんが守りながら攻めるって言ってた最初の攻略方法です。」

「『明日へ』は紗也ちゃんのイメージってことだよね?」

「聴いてみますか?」

「聴きたい!」

紗也は『明日へ』をかける。

「…!?」

美咲はまた歌詞を追いかける。

曲が終わり美咲がすぐに喋る。

「二人とも凄いな!…いや、曲と歌詞と声が凄いんだ!」

「ノアさんに近づけないならこれ以上ないPRでしょ。」

「うん、こんな手は思いつかないよ。」

「美咲さんは何にする?」

美咲の顔が少し曇る。

「…今の私なら…『ここにしか咲かない花』…美しく咲く、美咲なんだけど…。」

紗也は笑顔で返す。

「いいんじゃないですか?」

「…私っぽい曲…『恋するトマトジュース』…かな。」

「聴いたことないです、かけてみて良いですか?」

美咲は照れくさそうな雰囲気を出す。

「ちょっと恥ずかしいな。」

紗也は曲をかける。

「…!」

始まってすぐに美咲は下を向く。

曲が終わり紗也が喋る。

「美咲さんって赤なイメージですよね。」

美咲が首を横に振る。

「うんうん、私のイメージカラーだと思う。でもね…赤が惨めに思えた。」

「大丈夫です、攻めることも必要なんですから…、傷ついても気持ちは抑えきれないですよね。」

紗也は涙を流しながら笑う。

「紗也…ちゃん、この前はごめんね。」

美咲は無理して笑う。

晶からメッセージが届く。


なんかあった?

今から家に帰るから一時間後でもいい?


紗也

はい、クランに行って待ってます


紗也は立ち上がりカーテンの隙間から外を見る。

暗くて雨が降っているのかわからない。

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