下。
前の回復から20分経過HP2回復(残り18)
クランに入るノアと真帆と凛の三人。
カウンターの中には蘭だけで、客は誰もいない。
真帆は壁側に骨折したノアを座らせ、向かいに凛を座らせる。
「じゃぁ、私はカウンターで…。」
ノアが止める。
「待って、一緒に聞いてほしい。」
真帆が立ち止まる。
「凛ちゃんは聞かれても平気なの?」
凛は頷く。
真帆はしぶしぶ凛の横に座る。
ノアは立ち上がり蘭を呼ぶ。
「蘭さん、一緒に聞いてほしいことがあるんです。」
凛は第三者を二人も座らせることに、追い詰められた顔をする。
それを察した真帆がノアに注意する。
「ノア、凛ちゃんの気持ちは理解してるのか?」
「ごめんなさい、店員さん、まずは俺の話を三人に聞いてほしい。」
蘭が傍にくる。
「ノアさん、何か深刻な話なのかしら?」
「蘭さん、ここに座ってもらっていいですか?」
蘭はノアの横に座る。
「先に俺の話を聞いてほしい。」
三人が妙な緊張感に包まれる。
ノアは淡々と自分のHPとスキルについて話す。
『色メガネ』について話すことでノア自身も整理ができた。
HP1回復(残り19)
真帆が最初に喋る。
「ノア…そのHPってのがどうもピンとこないよ。嘘ではないんだろうけど、全くリアリティがないよ。」
蘭は逆の答えを持っていた。
「私はノアさんの言葉を信じるなぁ、ここ数日、毎日のように晶さんも来てたし。」
凛はノアの説明で気持ちが落ち着き、自分の分析に変わっていた。
「ノアさん、例えさっきのが『色メガネ』だったとしても、私のせいでごめんなさい。」
ノアは目線を下げて話しをする。
「美咲さんの行動は俺のせいです。」
蘭が美咲の名前を聞いて反応する。
「美咲さんと何があったの?」
「私がノアさんに抱きついたことで、その…美咲さんが…ノアさんに平手打ちを…。」
「あれは俺が目を合わせたことが発端なんだと思います。『色メガネ』ってスキルの理解を出来てなかったから…。」
「それで美咲さんは?」
「俺を見て『嫌い』って言って、走って行きました。」
真帆以外の三人が固まる。
「それは本人が一番傷ついてるかもね。ノアは美咲って子と付き合ってるの?」HP-5(残り14)
「…いえ…友達だと…思ってます。」
「…そうか…彼女は晶って子か?」HP-5(残り9)
「…いえ…晶さんも友達だと…思ってます。」
真帆はノアを追い詰めていることに気づいてない。
蘭が気を使って話す。
「真帆さん、今のノアさんにその質問はダメージになるんじゃない?」
「えっ!?そうなの?」
「ノアさんとしては、美咲さんを傷つけたのが自分だって責めてるんでしょ。」
ノアは首を縦に振る。
「ノアさんにはスキルだったとしても、美咲さんが傷つくことがつらいのよね。」
「…はい。どうすればいいのか。」
「ノアの『色メガネ』を理解すれば大丈夫じゃないの?」
「そこは理解しても…平手打ちと嫌いって言った事実は残るじゃない。」
「まぁねぇ、本意じゃない行動をしちゃったわけだからなぁ。」
凛が蘭と真帆に聞く。
「私も…美咲さんにどうすればいいのでしょうか?」
真帆が質問を丸投げする意図で蘭を見る。
「…あなたも美咲さんを傷つけたようにとってるのね、…煽る形にはなるけど、それも『色メガネ』だからねぇ。」
真帆が先走って答える。
「結論としては誰も悪くないってことかな。」
「…言ってることはあってるけど、真帆さんのように振る舞え…晶さんがいるわ。」
「ん?どういうこと?」
「あなたと晶さんってざっくり相手の中に入って、モヤっとを吹き飛ばせるから、晶さんは美咲さんと仲良くしてたし…なんとかなるんじゃない?」
「ざっくり相手の中って…、結構気を使ってるけど。」
蘭は凛の顔を見る。
「凛さんは美咲さんに謝りたいの?」
「何も言えてないので、一言謝るべきかと…。」
「ノアさんも美咲さんに謝りたいの?」
「それで通じるかはわかりませんが…。」
「自分達の気持ちの整理は出来るね、美咲さんも気持ちの整理さえ出来れば大丈夫だよね。」
真帆がノアを見て話しかける。
「ノア、美咲って子も謝りたいと思ってるよ。嫌いってのが本心じゃないってわかってんだろ!」
「ノアさん、真帆さんの言う通りだと思うわ。」
「いつまでも下ばっかり見てるな!………!?」
「はい。」
真帆は生々しい光景を思い出し下を向く。
凛が真帆の変化に気づく。
「真帆さん、どうしたんですか?」
真帆は凛にも聞こえない声で呟く。
「ノアのアホ。」
凛が真帆と蘭を見て喋りだす。
「あのぉ、できればでいいんですが、連絡先交換してもらえませんか?」
蘭は凛がノアをチラ見したのがわかる。
「…私はいいわよ。」
真帆は二人の意図をくみ取らず、ノアを見る。
「そういえばノアとも交換してなかったよな。」
蘭もノアを見る。
「それなら四人で友達登録しましょうよ。」
「俺は…、皆さんまで傷つけるかもしれません。」
真帆は言葉を選びながら喋る。
「…それはだなぁ…友達に…そんなこと気にしてるな!」
「そうね、友達がいるからこんな風に喋れることもあるからね。」
「はい。」
「真帆さん?どうしたんですか?」
「…どうも…してないよ。」
ノアは登録の仕方を蘭に教えてもらい、自分でも出来るようになる。
蘭がノアのスマホの位置確認アプリに気づくが、触れずにスマホをノアに返す。
四人の友達登録後に晶たちとは違うグループ会話を作る。
ノアは気分が少し晴れたような顔に戻る。
「ありがとうございます。」
凛と真帆だけがどこか曇った顔をしている。




