赤の伝染
雨が全体を暗くさせる。
唯一真っ赤な傘だけがはっきり色を出している。
女性が傘を取り、下を向いたままノアに差し出す。
髪の毛からは止まることなく雨が伝っては落ちる。
「私が抱きついたから…、ごめんなさい。」
「…俺の…俺の存在が傷つける!?」
動かない二人、雨だけが時間を進めている。
「…。」
ノアは顔だけ女性に向ける。
「…どうぞ、使ってください。」
女性に背を向け、家の方へ歩き出す。
女性はノアを追いかけ、少し後ろからノアに雨が当たらないように傘を差す。
気づいたノアは立ち止まり振り返る。
「ごめんなさい…、私のせいで…。」
下を向いて大泣きする女性の頭に手を置く。主夫耐性発動
「…あなたのせいではないです。」
女性が泣き止み顔をあげる。
「でも、私が抱きついたりしなければ…彼女さんを怒らせることはなかった。」
ノアは少し冷静さを取り戻す。
「……!?靴…屋の…店員さん?」
「えっ?あっ!?」
ノアの後ろ方向から軽バンが走って来て横に止まる。
助手席の窓が開き、運転席から声をかける。
「ノア?」
「…真帆…さん。」
真帆の視界にずぶ濡れの女性が入る。
すぐに車から降りてきて、女性を自分の緑の傘に入れる。
「ノア…お前もずぶ濡れかよ…。」
「…。」
ノアの服から雨が滴る。
「二人ともとりあえず車に乗れ!」
HP1回復(残り16)
真帆は女性の傘をノアに持たせる。
真帆は軽バンの後部座席の扉を開けて、女性を座らせる。
「ノアは助手席な。」
「…はい。」
真帆は運転席に乗り、車を走らせると2分ほどでアパートに着く。
二人は、何も喋らず動こうともしない。
「ノア、お前とりあえず自分の家で風呂入って着替えろ!この人は私の家で入れるから。」
「…はい。」
ノアは車を降りて、自分の家に入っていく。
真帆は後部座席の扉を開けて、女性の肩に手を置く。
「私の部屋にきて、シャワーを浴びな!」
女性が頷くのを確認し、自分の家に連れていく。
女性がシャワーを浴び、Tシャツにスウェット姿で出てくる。
「ごめんね、私の部屋着ぐらいしかなくて。そこに座って。」
女性が座ると、真帆はドライヤーで女性の後ろから髪を乾かす。
「ありがとうございます。」
小さな声がドライヤーの音でかき消され真帆に届かない。
「…。」
女性には真帆の手が優しく髪に触れ、ドライヤーの熱がちょうどいいと感じさせる。
それだけに、雨の中でノアが手を頭に置いた感覚が異質に思えた。
絶対的な安堵感がノアへの興味に変わっていく。
「はい、終了。」
「ありがとうございます。」
「ねぇ、名前聞いてもいい?」
「手塚凛って言います。」
「私は小森真帆って言います。」
「凛ちゃん、二人で何であんな濡れ方してたの?」
「…。」
凛は思い出して言葉に詰まる。
「ごめん、言いにくいことは言わなくていい。」
真帆は軟禁拘束と尋問になってしまうと思った。
「…ここだと尋問されているようだよね、外出るって言っても雨だからなぁ?」
「あの人…ノアさんへ…謝罪しないといけないので…。」
「謝罪?別れ話とか、顔も見たくないとかじゃないの?」
凛は首を横に振る。
「ノアと二人の方がいいの?」
「赤い傘を持っておられた方も一緒の方がいいのですが…。」
「…誰?…晶って子かな?」
「名前はわかりません。」
真帆は蘭なら連絡先を知ってるかもと考える。
「クランで聞けば教えてくれるかもなぁ。」
「…!すいません、それならクランでお願いします。」
「ノアも連れて行くってことだよな?ちょっと待ってな…ノアを見てくる。」
真帆はそう言って家を出ていく。
ノアの家に入る前に車のシートを拭き、赤い傘を助手席からとって後部座席の足元に放り込む。
前の回復から30分経過HP3回復(残り19)
真帆はノアの家の扉を叩いて、ドアを開ける。
中では全裸のノアがお尻を向けて立っていた。
「ワァーッ。」
ノアが真帆に気づいて声をあげる。
真帆は恥ずかしそうに視線を落とす。HP-1(残り18)
「すまん、まだ風呂出たところとは思ってなかった。」
「ギプスでは入りにくいので、すいません。」
そう言ってノアは隠すことなく真帆の方へ向きを変える。
「…どうでもいいから、下を出すな!」
真帆はノアの下半身を視線に入らないように手で隠す。
「舌でてまひた。」
ノアは舌を出して指をさす。
真帆は少しイラっとしつつも恥ずかしそうにする。
「…チンチンを隠せって、自信たっぷりに見せるな!」
「…すいません。」
ノアは謝りつつ自分が自信たっぷりか考える。
「…言葉より隠せ、さっさと服着てクラン行くぞ!」
「…すいません、ギプスのせいでパンツ履くの時間かかるので…。」
真帆は中に入り、ノアの体を拭く。
換えのパンツを取り、ノアの前に膝を立てて座る。
「右足だけあげれるか?」
「無理そうなので、広げてもらえれば中に足を置きます。」
真帆はパンツを広げて地面に置く。
ノアには真帆のうなじだけが見える。HP-2(残り16)
「これでいいか?」
ノアは右足をパンツの中に入れる。
真帆は作業に集中するように足元を見るが、意識だけが別の所に向いていた。
パンツを腰まであげ、同じようにズボンを履かす。
「後は上を着たら出てこい!」
「はい。」
家に戻り凛を連れて出てくる。




