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安心な席位置

「ノアさん!?」

「あっ、看護師さん。えーっと…澪…さん?」

澪は名前を言ってもらえたことで喜ぶ。

「はい。ノアさんってお店の人?」

HP1回復(残り69)

ドアが開き、晶が出てくる。

「…こんにちは。…ノアさんの知り合い?」

「はい、柿崎澪って言います。」

「…あっ、私は江崎晶です。」

晶は無意識に澪の頭から足までをくまなく見る。

澪は晶の顔の動きからじっくり見られているのを感じる。

「どうかしました?」

「あっ、いえ、立ち方が綺麗だったもので…。」

小さな鞄を両手で前に持ち、右足をわずかに引くように立っている。

崩し過ぎない姿勢と自然に伸びた背筋が、清楚な雰囲気をまとわせていた。

ノアが一歩前に出ようとしてよろめく、すぐに澪はノアの右腕を掴み支える。

「なんで1本?2本借りたでしょ。」

「ありがとう。こっちの方が片手があくので、動きやすくって…。」

晶は澪の自然な立ち回りに唖然とし、立ちすくむだけだった。

晶の解析能力はすでに追いつかなくなっていた。

澪を注視していたはずなのに、気づけばノアを支えている。

ノアは唖然とする晶に声をかける。

「晶さん、三人で朝食でも行きませんか?…俺、他の店は詳しくないのでどっか良いところがあれば…。」

「あぁ、あぁー、澪さんはどう?」

「どこでも行きますよ、ノアさん無理してない?」

「はい、大丈夫です。」

晶は取り繕うが何も考えられない。

「あっ、じゃぁ、澪さんの食べたい所でいいよ。」

「うーん、そこ曲がった所のファミレスで良いですか?一人では入りづらかったので…。」

ノアと晶の声が揃う。

「はいっ!」「はい。」

「澪さん、一人で歩けるのでもう大丈夫です。」

澪は支えていた手を離し、ノアが前を歩きだす。

後ろから横に並んでついていく澪と晶、歩みを進める度に晶の解析能力が少しずつ戻る。

「澪さんは入院中のノアさんの担当だったんですか?」

「はい、入院から退院までの2日半ですけど。晶さんは以前からノアさんの…お知り合い?」

「ちょっと前からです。澪さんには会いたいと思ってたんですよ。」

「えっ!?どうして?」

「ノアさんにスマホの登録頼まれて、澪さんも入れたんです、その時に名前だけは知ったので…。」

「もしかして…ノアさんの彼女さん?」

「いえ、だったらいいのになぁってぐらいです。」

ノアが角を曲がり、続いて二人も曲がる。

「…。」

二人は言葉が繋がらない。

ノアが後ろを振り返る。

「そこで良いですか?」

澪は楽しそうなノアを見て、嬉しそうに笑顔で返す。

「はい。」

ノアは店のドアを開けて立ち、二人を先に入れようとする。

晶はそのまま先に入る。

澪はドアを抑えてノアに先に入るように促す。

晶は風除室でドアを開けてノアを通す。

店員さんから席はどこでも良いと言われ奥の角の席に向かう。

テーブルを挟んで左右どちらも同じ椅子のボックス席、ノアが先に左奥に座り、松葉杖を自分の右に立てかける。

晶はノアの向かいの右奥に座る。

「…!」

澪は松葉杖を椅子のない壁に立てかけノアの右に座る。

晶の解析が揺らぐ。

HP1回復(残り70)


晶の思考

普通なら私の隣じゃない?なんで…?

既にその距離をノアさんが受け入れてる!?


澪の思考

怪我してるから横に座ったけど…職業病かな…。

配膳ロボットからとるのに右手が出しやすいし別に隣でも不自然じゃないよね。

晶さんは…だったら良いのにって言ったから、まだ私にもチャンスあるよね。


「お二人は初めてだから、隣あっては座りにくいですよね。」

晶がノアの言葉に納得させられる。

「そうだよね。」

メニューを澪の前に広げる。

「決まったらタブレットで注文するので言ってください。」

澪は別メニューに見えたパンケーキに目がいく。

「んー、パンケーキセットでホットラテにする。」

「ノアさんは?」

「同じ物にします。」

晶の解析が狂う。

「あれ?さっき食べたんじゃないの?…ん!?」

ノアはトースト一枚で満足できてなかった。

「まだ食べれますよ。それに美味しそうだし。」

晶はノアの一言に救われる。


晶の思考

ヤバかった…注文しなかったら、澪さんからアーンが入る前提を作ってしまうところだった、しかも美味しそうって既に興味だしてるし。

ん?同じ物ってことはその心配はなくなるし、私がストロベリーとかすれば…こっちも食べてみる?からのアーンでしょ。


「私はストロベリーパンケーキにしよう。他はいい?」

ノアと澪は頷く。

「あのー澪さん、食事が終わったら聞いてほしいことがあります。」

晶はすぐに察知する。

「鏡いる?」

「はい、貸してください。」

晶は鏡を出してノアに渡す。

ノアが鏡で明らかに顔ではないところを見ている。

「今いくつ?」

「70あります。」

晶はHPが10増えてることは理解したが、隣に澪が座ってもダメージを受けてないことに驚く。

「えっ…!?」

澪はノアの聞いてほしいことが何なのかに心が乱される。

「そうだ、水入れてきます。」

「あっ、一緒に行くよ。」

二人は立ち上がりドリンクバーに向かう。

澪は晶の気遣いに心が少し落ちつく。

「晶さん、ノアさんの聞いてほしいことって、なんでしょうか?」

「私から言うべきことではないから、でもノアさんを理解するなら知っておくべきことだよ。」

「…ものすごい不安になります。」

「大丈夫、私も聞いたけどこんな感じだし。気にせず食べよ。」

二人は席に戻ると、パンケーキをのせた配膳ロボットがくる。

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