最強の金庫番……
朝から仕事を休み、銀行の入口に立つ。
自動ドアに全身が映る。頭の上にはHP30。
「ふぅ…、行くか。」
ノアの右手には宝クジと証明書、左手にはペットボトル。
入口を入ってすぐに整理券トラップにかかる。
ボタンを押せない…、手の甲でボタンを押して券を指先で掴む。
椅子に座り順番がくるのを待つ。
前の窓口の数字が進む、後二つ…右手が汗ばんでくるのがわかる。
横から突然女性行員が現れ、目の高さをあわすように体を俺に向けて傾ける。HP-1(残り29)
女性の先制攻撃。
「今日はどういったご用件でしょうか?」
「た…宝クジ売場でここに行ってくださいって言われてきました。」
少し声が振るえるがノアは怯まずかまえる、そこにカウンターがくる。
「宝クジのご当選ですね、おめでとうございます。」
口角があがり口元だけでも笑顔がわかる。HP-1(残り28)
少し怯むが耐えようとしたところに追撃がくる。
「こちらの個室へどうぞ。」
「個室………。」
つい個室というワードが二人の空間であることを意識してしまう。誤爆HP-1(残り27)
ノアは誘導され個室に入り椅子に座る。
……待ち時間が長いのか短いのか喉が渇いてくる。
狭い空間にのまれそうだ、クジを机に置いて水を飲む。
「はぁ…緊張するなぁ。」
すりガラスの向こうに女性のシルエットが映る。
ノアは水を机に置いて構える。
女性は入って来ずに通り過ぎる。
「ふぅ…、ガセかよ。」
手の汗が気になりズボンで拭く、ズボンに手の跡がつくのを見ている。
ガチャ
「お待たせしてすいません。」
優しい声なのにドキッとする、が目線を上げれない。
スカートをはいてる女性の足元が見えた。誤爆HP-1(残り26)
「宝クジのご当選でしたでしょうか、失礼しますね。」
女性が向かい側に座る。
ノアは下を見たままペットボトルの蓋を開け、飲もうと顔を上げる。誤爆HP-1(残り25)
女性と目があってしまった。
「どうぞお気になさらずに飲んでください。ちょっと乾燥してますよね。喉痛めないように水で潤してください。」
「そうですね、俺の喉に気を使ってもらえるって心の優しい方なんですね。」
「では、クジと証明書を確認させてもらいますね。」
ノアは机に置いたクジと証明書を押す。
手が触れてしまう。誤爆HP-5(残り20)
「ごめんなさい。」
女性が謝る。
「あっ、いえ。」
女性が証明書とクジの照合をする。
「では81万2000円ですね。現金でお持ちしますのでしばらくお待ちください。」
「へっ!?81万。」
女性が立とうとするが止まる。
「どうかされましたか?」
「あっ、いえ、いいです。」
女性が立ち上がり個室を出ていく。
「……81万だったのか、女神様って言っちゃったけど……、天使さんだったんだな。」
女性が戻ってくる。
「それではこちらが当選金になります。ご確認ください。」
女性の思考
今私のこと天使さんって言ってた!?
「間違いないと思うのでこれでいいです。」
女性が話しかけてくる。
「そのまま持ち帰られますか?通帳があればお預け頂くこともできますよ。」
「81万当たっただけでも凄いですよ、私なんていくらかっても当たりませんもの。」
女性の目が尊敬のようなキラキラしたまなざしに見える。誤爆HP-2(残り18)
「じゃぁ預けます。」
「通帳はご持参頂いてますか?」
「いえ、ここには元々ないので作りたいと思います。」
「では、印鑑はお持ちでしょうか?」
「はい、あります。」
ノアがポケットから印鑑を出してお金の横に置く。
「口座開設の申請書をお持ちしますので少しお待ちください。」
女性がまた個室を出ていく。
「あの人、俺と話したかったのかなぁ、無駄遣いしないように預けることを勧めてくれるって……、いい人だなぁ。」
女性が戻ってきて席に座る。
「こちらの申請書の太枠にご記入いただけますか?」
女性の思考
今私のこといい人って言ってた!?
HP1回復(残り19)
ノアは女性の顔を見て、何となく赤らめた表情が可愛いと感じる。誤爆HP-1(残り18)
「あっ、はい。」
女性は胸のポケットからボールペンを取り出し、ノックを一回して机に置く。
ついノアの目線がポケットに行くが、すぐに申請書を見る。誤爆HP-2(残り16)
俺が使いやすいように出してから貸してくれるってよく気のつくひとだなぁ。
ノアは太枠内を記入する。
「それでは佐藤ノア様、申請書から通帳を作ってきますので少しお待ちください。」
女性が立ち上がり、個室を出ようとするが、振り返る。
ノアは振り返った瞬間に目があう。誤爆HP-1(残り15)
女性は机のボールペンを取り、部屋を出ていく。
女性の思考
ノアってハーフだろうか!?顔もイケメンでかっこいいな。
あぁダメダメ、仕事に集中しないと。
女性が通帳をもって戻ってくる。
「お待たせしました。入金も済ませてありますのでご確認ください。」
「はい、確かに入ってました。」
「またいつでもお越しください。」
女性が笑顔で挨拶する。
「細かな気遣いありがとう、笑顔の可愛い、優しい人でよかったよ」誤爆HP-1(残り14)
女性が歯を見せて笑う。HP-1(残り13)
「ありがとうございました。」
女性の思考
かっこいいし、さりげない言葉が優しい人だったけど、ノアさんって日本語上手だったな。
日本で生まれ育ったのかしら、違う国の言葉もペラペラなんだろうな。
自転車で家に帰る、壁の鏡で頭の上のHPを見る。
「残り14ってなんとかなったかな。」
ベッドに横になる。
〈超勘違い〉
あの売場の人は天使さんだったんだ。
「ありがとう、俺の天使さん。」
〈超妄想〉
女性行員さんも優しかったなぁ。
「貯金するってえらいねぇ。無駄遣いしちゃダメよ。」
「生活でなにかあったら困らないように貯金はするよ。」
「将来設計している人って少ないから頼りがいがあってステキ。」
「これからも貯金はしっかりしなさいよ。」
椅子に座った俺の後ろから肩をもみ、耳元で囁かれる。誤爆HP-15(残り0)
……プツン。
……最強の金庫番誕生!!




