女神降臨
ノアは宝クジ売場の前にいた。
「これ確認してもらえますか?」HP-1(残り29)
売場の女性が笑顔で答えてくれる。HP-1(残り28)
「お預かりします。」
毎週買ってるが外れても笑顔で癒されていた。
「おめでとうございます。高額当選されてます。この券をもって指定の銀行へ行ってください。」
「……へっ!?」
「クジ券とこの証明をもって指定の銀行へ行ってください。」
気持ちの高ぶりからつい口にでる。
「おー、あなたの笑顔は女神様のようだね。」誤爆HP-10(残り18)
女性が自然な笑顔に変わり、目があう。HP-3(残り15)
「よかったですね。」
内心ドキドキな言葉をさらっとかわす。
何とか冷静を保って返す。
「ありがとう。」HP-1(残り14)
……ふぅ、深呼吸する。HP+1(残り15)
俺はノア、自分でも理解している超勘違い男、そして超妄想男。
俺がみんなと違うのは女性耐性の免疫を指すHPがあること。
HPが0になると思考停止、オプションで思考停止前の記憶も10分喪失。
そこから何もなければ時間で少しづつ回復する。
20歳を越えてようやくHPがあがった。
今のMAXは30。常に頭の上に表示されているので鏡を使わないと見えない。
「あっ、来週分買うの忘れてた。」
「すいません、これください。」HP-1(残り15)
さっきの笑顔が飛んでくる。HP-1(残り14)
「1000円丁度お預かりします。」
女性がクジ券5枚を数える。
一緒に頷きながら数える。
「指先が綺麗ですね。」誤爆HP-1(残り13)
「1000円丁度いただきました。こちらクジ券5枚です。」
「ありがとう。」
女性が笑顔になり思わず目をあわす。HP-2(残り11)
「大きく当たりますように。」HP-1(残り10)
ノアの思考が加速する。
あの自然な笑顔って俺に好意があるんだろうか!?
目がキラキラしてたしきっと俺に好意あるよな。
今日は高額当選してるって言うし、いいことばっかりだな。
また会いに来ますね。
売場では女性店員同士が話しをしていた。
「今の人、毎週来るけどかっこいいよね。」
「指先が綺麗って言われてたよ。」
「手つきが早いだけだよ。」
「銀行か、明日休みとらないと無理だな。」
自転車で家に帰る、一人暮らしのユニットバスのついたワンルーム。
日課となった壁の鏡で頭の上のHPを見る。
「うはっ、残り10って結構やばかったんだ。」
じーっと見ていると11になる。
ベッドに横になる。
〈超妄想〉
女神様はいるんだなぁ。
「今日も来てくれたんだね、ありがとう。」
「いつも1000円だけど奮発して10000円分買おうかな。」
「すっごーい、高額当選した人は違うね。」
「えへっ、ちょっと余裕できたしね。」
「なんなら御飯でも行く?君は俺の女神様だからね。」
「良いのぉ!?じゃぁ、お昼休憩入るまで少し待ってて。」
「待ってるよ。」
「お待たせ、じゃぁ行こっか。」
腕を組まれる。誤爆HP-15(残り0)
……プツン。
………10分後。
「やってしまったかな。」
ノアは鏡で頭の上を見る。
「やっぱり1か。」
「とりあえず明日銀行窓口行くかな。」
……女神降臨ならず




