傷ついた同志
紗也は頷く。
「…晶さん、あなたも一度は…。」
「そうじゃない、自分を押し付けようとした反動。」
晶は『傷ついた』と言う言葉を、ノアに聞かせないように被せて話す。
紗也は自分を押し付けようとしていたことに気づき言葉がでない。
ノアが不思議そうな顔をしている。
「…。俺は女性耐性が低いけど女性は知りたい。反動で気を失うのも記憶を無くすのも嫌だけど、今朝もレベルアップしたから少しづつでも前に進めてるんだ。」誤爆HP-1(残り3)
晶はノアの言葉に反応する。
「ノアさん、御飯食べながら教えてほしいことが二つできた。」
「はい。」
晶はカウンターの方を見て大きな声を出す。
「おーい、オムライスちょーだーい。」
制服の女性は頭を縦に振る。
「ノアさん、鏡見て、きっと今3だよ。」
ノアは鏡を見て、紗也は晶を見る。
「ほんどだ3です。」
「そのまま見てて4になるか、5,4,3、2、1、どう?」
HP1回復(残り4)
「はい、カウントは2のところでしたが4になりました。」
「スマホのタイマーだとやっぱり10分で1回復したよ。」
「でも何で3だと思ったんですか?」
「さっき女性は知りたいって言ったから。きっとそこで減った。ダメージで1か2だと推測したけどね。」
晶は紗也と目を合わす、紗也は晶との差を理解する。
「私はノアさんと会うのは今日で三回目、二回目にHPのことを聞いてこんな感じ。さっき言った守りながら攻めるは出来るの。」
「私は今日で二回目です。」
「なら私と一緒じゃない。私の考えでは共同プレイヤーであり、ライバルでもある、と思ってるの。」
「共同ですか…?」
「そぅ、ノアさんは後二人に伝えようと思ってたから…今日増えてなければ、だけど…。」
制服の女性がオムライスを運んで来て、それぞれの前に置く。
「さぁ食べながら話そう。」
三人は揃ってスプーンでオムライスを掬い口に入れる。
「うん、うまい!」「おいしぃ。」「うん。うん。」
「紗也さん、この店良くない?」
「はい、すごく雰囲気良いですね、オムライスもおいしぃし。」
「気に入った!?会員登録すれば10%割引になるよ。」
「ノアさんもすぐに会員登録したもんね。」
ノアは子供のような顔でガツガツ食べる。
「はい、ここはカッコいいですよね。」
紗也の顔が少し緩くなる。
「ノアさんって子供みたいですね。」
「私も会員登録します。それと…プレイヤーとしても…晶さんさえよければ…。」
「私はショッピングモールからプレイヤー紗也として見てたよ。ノアさんがこれから話す二人も見極めるつもりだし。」
晶は握手を求めて手を出す。
「これからよろしくね。」
紗也はその手を掴む。
「こちらこそよろしくお願いします。」
二人はがっちり握手をかわす。
晶は紗也を引き寄せて耳元で囁く。
「ノアさんと居場所の共有しないと、また誰かからダメージ受けるから見守りは必要なの。後でそれとなく登録するね。」
晶は手を離してオムライスを食べ出す。
「ねぇノアさん、さっきの質問だけど…レベルアップでHPはいくつ?それとスキルの悪あがきって何?」
「あー、HPのマックスが60になりました。悪あがきは一日一回だけ0になるダメージをうけても1で耐えるそうです。確か24時にリセットされるって。」
「…今日だけで60くらって、本来ならもう一回落ちてたってこと!?」
「そうなりますね。ショッピングモール入る時は60ありましたよ。」
「買い物は靴屋だけでしょ?」
「はい、サンダルとスニーカーを買いました。」
「女性?何か言ってた?」
「はい、女性店員さんでした。確か…恋じゃない…軽い女じゃない…だったかと。持ち上げてないので体重までは分かりません。」
「ちょっと意味わからんけど…結構手強いかも。意識失わなかった?
「紗也さんとソファーに座ってるときだけだと思います。」
「なるほど、紗也さんからダメ押しを2発!?」
紗也がビックリする。
「えっ!?」
紗也は会話を思い出す。
「家に誘うのにちょっと照れがあったと言うか…。」
「そこは間違いないと思うけど…、違うな…最後は私との電話だから、自分で逝ってるね。」
晶が自身ありげに腕を組む。
「まぁだいたい理解出来たよ。もう今日の事はここまでにしよぉ。」
「はい!二人とも手が止まって食べて無いですよ。」
HP1回復(残り5)
紗也と晶はスプーンを手に持つ。
「そうだ!ノアさん、昨日私が口ずさんでた『歩く花』聞いてみてよ。」
晶はスマホを出して曲をかける。
紗也は一口、二口と食べながら聞いている。
「すごい晶さんっぽい曲ですね。」
晶が悪戯っ子のように笑う。
曲が終わりノアが話しだす。
「そうだ、俺今日『愛」を知ったんです。人に見せれないものを見せる…。」誤爆HP-5(残り0)
………プツン。
晶のスマホの上にノアの顔が覆い被さる。
「あっちゃー、逝ってしまうか!?」
紗也はスプーンを置いて立ち上がり、意識のないノアを横に寝かす。
「最後『愛は人に見せれないものを見せる』って言ってましたけど。」
「HPはきっと5になってただろうし…靴屋で何を見たんだ!?…見せれないもの…。」
二人は考え込み同時に閃く。
「あっ!」
言葉が被る。
「ブラジャー!」「おっぱい」
二人が被る。
「ん?」
「紗也ちゃん、さすがにおっぱいはお店の中で見せないでしょ。」
「…それぐらいのインパクトなのかと。」
「ダメージ量がわからないから可能性はあるけど…それ一発がとてつもない破壊力だよ。」
「やっぱり靴屋が手強そうだね。そうだ、気を失ってる間に情報を共有しておくね。」
「その前に質問しても良いですか?音楽をかけるのって攻めようとしてるんですね?」
「そうなの、良い作戦だと思ったんだけど…途中まではよかったんじゃない!?自滅さえなければ…。」
紗也はようやく心がほどけ自然に笑う。
「あはは、確かに良い作戦だと思いました。」
「目が覚めたらもう一回かけてやる!紗也ちゃんも一曲用意しといて、10分稼いでHP2になってからお店出ないとね。」
「はい、確かに1では帰しずらいですね。…攻略って何かはまりそうです。」
晶は笑顔になる。
「共同プレイヤーでライバルってことも理解出来た?」
「はいっ!覚悟してなければ耐えれなかったと思います。それでも足りなくて傷つきましたけど、もう開き直りですかね。」
「じゃー傷ついた者同志よ、まずは連絡先交換しよっか!?」
「はいっ!」
晶と紗也は情報共有し帰りの攻略をねる。
HP1回復(残り1)
ノアが目を覚ます。
「ノアさん、昨日言ってた曲聴いてよ。」
「はい…、今落ちてたんじゃ…。」
「そこは気にしなくて大丈夫!!」
晶が曲をかけ三人は聴き入る。
終わりかけに紗也がスマホを取り出す。
「晶さんっぽい曲ですね、次は私の好きな曲も聴いてください。」
ノアは頷く。
「うん、晶さんっぽかった。紗也さんもあるんですね。」
「『明日へ』ってタイトルです。」
紗也が曲をかけ三人は聴き入る。
晶が紗也の顔を見る。
「この曲、良いよねぇ、紗也ちゃんは前を向いて進人なんだね。」
紗也は晶を見て頷く。
「紗也さんも晶さんも、曲が人となりって感じで伝わって来ますね。」
HP1回復(残り2)
晶はノアの顔を見る。
「ノアさん、さっき落ちてる間に、私と紗也ちゃんは友達登録したんだけど、ノアさんも友達登録する?」
紗也は操作していたスマホを置く。
「ぜひ私と友達登録してください。」
「はい、お願いします。」
晶はノアに手をだす。
「してあげる。」
「お願いします。」
晶はスマホを受け取り友達登録をする。
「位置情報も交換しとく?」
紗也が喋りだしそうなノアを見て先に喋る。
「二人がしてるなら私も入れてください。」
ノアは紗也の言葉を聞き答える。
「はい、友達増えるのって嬉しいです。」
晶と紗也の動きが一瞬止まる。
「出来たよー、じゃぁ帰ろっか!?」
紗也とノアの声が被る。
「はい。」
晶はタクシーを呼び、ノアをのせる。
「二人を送れずにすいません。」
「いいのいいの、適当に帰るから。」
タクシーがドアを閉めて動き出す。
晶と紗也はタクシーが見えなくなった所でグータッチをした。
「作戦成功!…なんだけど、友達って…。」
「はい、道のりは長そうです…。」
「明日もあるから帰ろう。」
「そうですね。」
「私はこっちだから、またね。」
「はい、こまめに連絡いれますね。」
二人は別々の道を歩いて帰る。
家についたノア
鏡を見ずにベッドに倒れ込み寝てしまう。
……超勘違い、超妄想できず。
……傷つけた本人(爆睡)




