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罪の意識の被害者

靴屋を出て一歩出す毎に大きな袋が揺れて杖とぶつかる。

足はサンダルとソックスの相性が悪いらしく踏み込む毎にズレる。

行きに苦戦したソファーに袋を置き、手すりに寄りかかってソックスを脱ぐ。

HP1回復(残り6)

「ノアさん!」

前から女性が近づいてくる。

「えーっと。」

自転車で接触した女性だ、顔はわかるが名前が出てこない。

スマホに登録もしたから、見ればわかるのに杖を持っているのですぐに出せない。

「あの時は名前すら言えなかったので失礼しました、大槻紗也と言います。」

「こんな状態にしてしまって本当に申し訳ありません。」

紗也は頭を深々と下げ、心からの謝罪であることが見て取れる。

頭を上げて手の届く距離まで詰めてくる。

「ちょっとだけお話しする時間をもらえませんか?」

「えっ!?ここで?」

「怒っておられるのはごもっともです、ほんの少しで良いのでお願いします。」

「あのぉー、怒ってないし、ここはさすがにー…。」

「私の弁解なんて聞きたくないかも知れませんが、少しで良いんです、何とかお願いします。」

紗也はさらに頭を下げる。

周りを見渡すとかなりの人の視線を感じ、しぶしぶソファーに座る。

紗也はソファーの前にしゃがみ立て膝で話そうとする。

周りの視線が冷ややかな感じで、自分達のことを話しているように思えた。

「怒ってないから、そこではなく隣に座ってもらえませんか。」

「はい。」

紗也は少し間隔をとりノアの右側に座ると、経緯を話し出した。

初日は面会時間一杯まで病室にいたこと。

翌日も意識がなくなった後、医師から退室を促され、看護師から名前と連絡先をメモしろと言われ、面会できなくなったこと。

二日後も医師に診断結果を聞きに行くが、身内ではないからと断られたこと。

保険会社から直接合わないように指示されたこと。

紗也は自分が接触して、ノアに与えた影響に押し潰されそうになっていた。

「それで、…大丈夫だったんですか?」

「今もダメージは受けています。」

紗也が取り乱し、手が震える。

「私…どうすれば…どんな…償いをすれば…。」

ノアは紗也の震える左手を取り、両手で優しく包み込む。主夫耐性発動

「私はあなたが考えるほど深刻には思ってないので大丈夫です。寝れば治りますので。」

ノアは紗也の目を見ると、紗也もノアの目を見る。主夫耐性発動

「そういう物なんですか?」

「はい!本人が言うから間違いありません。」主夫耐性発動

「でも…。」

紗也の左手は震えが治まり、自分の膝の上に戻す。

視線の先が左足のギプスにいく。

「これは一か月もすれば取れると思いますよ。」

「お仕事にも影響しますよね。」

「辞めちゃいました。だから大丈夫。」

「えっ!?私のせいで…、私のせいで…。」

再び紗也の手がさっきよりも大きく震える。

ノアはもう一度左手を取り、両手で優しく包み込む。主夫耐性発動

「大丈夫ですから、何も心配しなくて良いですから…。」

「…はい。」

「さて…行きましょうか、あなたも用事があったのではないですか?」

「いえ、私は大学の帰りに夕飯を買っておこうかと思って寄っただけですので。そうだ、その足ではお食事も大変ですよね。私が作りに行きます。」HP-2(残り4)

「そんなこと気にしなくて良いですよ、家って食器も何もありませんから。」

「食事は全て外食ですか?」

「そういうわけでもなく、あんまり食べれないんです。」

「食べれないのも怪我が原因ですか?」

「すぐ寝ちゃうんです。」

「そうですか…、じゃぁー。」

紗也は恥じらうようにモジモジと話す。HP-2(残り2)

「わたしのいえでいっしょにたべませんか?ひとりぐらしでほかにだれもいないので…。」HP-10(悪あがき発動!残り1)

ノアのスマホが鳴る。

紗也が素早く手を引く、空いた手をポケットに入れ、スマホを出して電話に出る。

紗也とノアはそれぞれ外側を向く。

「はい。」

「もしもーし、晶デーっす。ノアさんその足でショッピングモールまで歩いたの?元気だね。」

「はい。」

「一人?一緒に晩御飯食べようよ。」

「あっ、今大槻紗也さんからお家で晩御飯食べようよって誘われ…。」HP-10(残り0)

………プツン。


ノアは気を失い、手が重力に耐えられず落ちる。

持っていたスマホが手から抜けソファーに落ちる。

聞こえていたノアの声が途切れたことで紗也はノアを見る。

ぐったりしたノアに紗也は焦る。

「えっ?ノアさん!ノアさん!」

紗也はノアのスマホを取り、慌てて喋りだす。

「ノアさんが、急に意識を失われたようなんですが、どうしたら…。」

「落ち着いてっ!とりあえずあなたが落ち着きなさい!大丈夫だから。」

「でも…、お医者さん…、いえ、救急車…。」

「だから落ち着きなさいっ!よく聞きなさいっ、それはちょっとした発作なの。10分もすれば目が覚めるから、救急車は呼ばないこと!わかった?」

「はい、わかりました。」

「今からそっちに行くから、10分ほどでつくからそのままそこにいて!ノアさんが目を覚ましても触れずに動かないように伝えて。」

「はい。二階の通路中央の休憩スペースにいます。」

「わかったわ、いい、絶対に触れないで!!」

「はい。」

晶は電話を切る。


紗也の思考

救急車は呼ぶなって言われたし、本当に10分で目を覚ますの?

発作って何かの持病があったんだ、…骨折とかも心配しなくていいからって持病がもっと大変ってことだよね。それなら私がサポートしないと。

でも触れないでってあんなに強く言うのは恋人?私が晩御飯に誘ったことに怒ってる?私が出来ることってないのかなぁ。

あの手の安心感…私の方が守られてるって感じたけど…私って…。


紗也はノアの手を握り、ノアが目を覚ますのを待つ。


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