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疲れたてか飽きた。

「えー、コホン。次の質問いくね。取りあえず最後の質問の予定」

「「はーい」」

「急に良い子になったね?!なに?なんか企んでる?疲れたから何もしないでね?!」

「「えへへ」」

「肯定も否定もしてくれない!!!」


 顔が引きつるような場の雰囲気を一変させるために質問に戻るが、不安しかない!!っと頭を抱えてウギャー!!!と声を上げるリーダーはしかし、


「世界を任せるっていったいなにすればいいの?」


 次の瞬間には通常運転に戻る辺りリーダーがリーダーたる由縁である。

 そんなリーダーに流石リーダーと感心しながらもおふざけ空気を一掃したリーダーに習ってそれなりに真面目な雰囲気で紅は口を開いた。


「特にはない!!!」

「ないんかい!!!」


 もっともその雰囲気もすぐにぶち壊れだが、嘘は言っていない。


「する事が無いってどういうことなの?」

「ないというか、居るだけで良いというか」

「どゆこと?」


 そもそも世界の運用に統一者が手を出す必要があっては如月紅は成り立たない。故に運用に関しては完全なオートモード、自動ですべてが事足りる。

 では何故リーダーに縁切りの脅しまで掛けるのか?そも任せるとは何を任せるのか?

 軽くジト目で詰め寄ってくるリーダーの口に手元にあった大福を二、三個放り込んで黙らせてから話し始めた。


「んぐ!!」

「欲しいのは脅威だ」

「んん゛!!!」

「これに逆らっては己の身が滅ぶっと思うほどの脅威、それがこの世界を存続させる側に居るという事実」

「ん゛ん゛んぐん!!!」

「世界を再創世しようという気を削ぐための重しが欲しいんだよ。ところでリーダー聞いてる?自分から聞いてきたんだよ?」

「ゲホ、ゲホ、ゲホ。だったら餅を口に放り込むな!!!窒息するかと思ったろ!!!」


 どうにかこうにか口いっぱいに詰まった大福を飲み込んで咳き込みながら滲んだ涙を拭って抗議の声を上げるリーダーは割と真面目に怒である。


「ジト目がうざかった。しかし食べ物で遊んでしまったことには反省しよう。後悔はないかな!!」

「横暴!紅君めっちゃ横暴なんだけど!!話し合いに疲れて来てるでしょ?!」

「疲れたってより飽きた?なかなか美味いだろこの大福」

「確かに美味しかったけど!!!」


 美味いには美味いがまさか大福を口封に使うとは予想外だ。驚愕も相まってたいへん危ない所だった。大福もそんな使われ方されるとは夢にも思っていなかっただろう。

 美味いし縁起ものでもある大福を憎々しげに見る日が来るとは思わなかったが、カレンが緑茶と一緒に差し出す大福には罪は無いのでいただきます。


「私リーダーのそういう所がすごいと思う」

「え、なにが?てかほんとにこの大福美味しいね。どこの?」

「亀甲堂だよ。どうもこの騒ぎを受けて店の前に出して売ってたから買っちゃった。ちゃんと金銭のやり取りはしてるから大丈夫よ」

「亀甲堂って縁日商店街にある。動く和菓子屋さん?だっけ」

「はい。この大福もさっきまで元気に跳ねてたんで絞めたばっかりですよ。柔らかくて美味しいでしょ?」

「うん、美味しい。・・・?跳ねるの?」

「?はい!みんな一斉に跳ねるせいで容器ごと動いて逃げちゃうんで買ったら早めに絞めないと食べ辛いんですよ。たまに踊り食い!!ってやるヒトもいるらしいですけど下手したらお腹の中で暴れて大惨事になるのでやらない方が良いです」

「へー・・・。ところで紅君再創世の気を削ぐための重しって何?」


 なんだか聞いちゃいけない事を聞いた気がするのでそこは軽くスルーして話を戻そうそうしよう。でもこの大福美味いなぁ。今度買いに行こう。


「そのままの意味だな。オレがこの世界を離れれば創世系の神は気付くだろう。んで馬鹿な神は自分の都合がいい様に造り替えようとする。別に行動を起こされても問題が無いようにしてあるから良いっちゃ良いんだが、小さな余波はあるかもしんねだろ?」


 その小さな余波は世界全体から見たら確かに小さいだろう。少しだけ地面が揺れて海が荒れ、火が吹く程度、大きくとも一つ二つ島が無くなる程度の被害だ。今の広大な広さになった世界からしたら確かに小さな余波かもしれない。しかしその余波が起きた場所に住んでるヒトからしたら一大事の天変地異でしかない。


「自然災害なら諦めもつくかも知んねぇけどある意味人災(神災)だ。一応この世界の創世神って事に成ってるして防げるなら防いだ方が良いだろ」

「その防ぐための抑止力に僕に成れって事?」

「そ、リーダーは概念的存在だ。しかも『自由』つう誰もが知ってる概念で多くのヒトが渇望する理想でもある。プラスでリーダーは他の世界の同じ概念存在を自分の下に置いてるだろう?」

「バレてた?」

「取り込んで統合までしてない所がリーダーの優しさなのか甘さなのか。嫌いじゃないぜ」

「そりゃよかった」


 『自由』それは全ての生物が持つ本能的な部分に組み込まれた概念。自由に野山を駆け回る獣やソレを渇望する家畜、自由を題材にした物語とソレに憧れるヒト。自由を手に入れるために戦った戦士たちとソレを歴史として刻み付ける勝者たち。どの世界のどの時代にもどの生命にもある自由の概念。それらの頂点を勝ち取ったのが渡し屋ギルドのパーティー万屋でリーダーとして君臨する自由の概念神だ。

 だからこそリーダーの力は世界で10位以内に入るほどに強く、数少ないS級ランク認定される。

 そんなヒトが今の世界を守護する側に付いている。その事実が流れるだけで一定以下の神は手を出さない―――否、出せなくなる。それが狙いだ。


「でも一定以上はどうするのさ?我は10以内には入るけど5位以内には入らないよ?」

「大丈夫、リーダーより上の輩に創世系の神はいないから。居るのは戦神とか母神とか神殺しの人間だから」

「5位以内に人間が入っていることに驚けば良いのか創世神て実はそんな力ないんだなって冷めた目をすれば良いのか分からないね!」

「人間の可能性に驚いておけば良いじゃないかしら?」

「だねー。そうする。人間の可能性は無限大じゃー」

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