番外 ハロウィン
「かぼちゃ際を開催する!!!!」
「「「「「「「かぼちゃ際?」」」」」」」
とある10月1日、渡し屋ギルドのパーティー万屋の本部にて、大会議室に集められたパーティーメンバーは雛壇の上に立ってそう宣言したリーダーに疑問符を発しながら一斉に首をかしげて聞き返した。
「しっつもーん」
「うけてしんぜよう!」
「かぼちゃ際ってなに?」
「ギルドからの依頼で討伐クエストが強制斡旋されまして」
「嫌な予感」
「YES!ダンジョンに大量発生したかぼちゃ型モンスターの討伐です!!強制なので能力がある面々に拒否権はない!!!」
「「「「「「「うげぇぇええ」」」」」」」
「というわけで!本日から戦闘能力有りはかぼちゃ狩りです!!あ、かぼちゃは食べれるし旨いよ。そこそこの値で買い取ってもらえるし、周辺の製菓店とか飲食店が使ってくれて割安で提供してくれるって!さらにダンジョン近くまで出張してくれるしそっちはタダだよ!しばらくかぼちゃ料理食べ放題!!だから頑張って!!!」
「「「「「「「うぇぇええ」」」」」」」
つまりそれだけた大変ってことですね。無理にテンション上げたようにしか見えないリーダーの激励にその意図を察知したパーティーメンバーは皆一様にげんなりとした表情で返事をしたのだった。
そんなメンバーの予想を裏切ることなくダンジョンはかぼちゃにあふれ、町はかぼちゃ菓子と料理にあふれまくったかぼちゃ地獄はリーダーの祭り開催宣言から一ヶ月間続き11月を迎えるまで続くのであった。
ソレが今から8年前の事で次の年から少し変わった。それは
「毎年恒例かぼちゃ際を開催する!!!!」
「「「「「「「いやっほぉぉ!!!」」」」」」」
メンバーのテンションだ。
リーダーのテンションと他メンバーのテンションで分かると思うが最初の年とは違い全員が全員やる気に満ち満ちている。
それというのも最初の年に万屋だけでなく他の渡し屋や冒険者たちまでもが死屍累々になりその後しばらくダンジョンが不人気になった。そうしてしばらくダンジョンを訪れるものが減った為かダンジョン内がモンスターで溢れたのだ。それに伴い普通のモンスターの討伐依頼が増えてまたもや地獄を見る。っという事が有ったのでかぼちゃ地獄に対して緊急の改善策が求められた。
それによって編み出された案が、
「準備は良いか者ども!!!」
「「「「「「「オウ!!!」」」」」」」
「他より多くのカボチャを確保するのだ!!!」
「「「「「「「イエス!!!」」」」」」」
「我らが料理長ハナさんご所望の大量のかぼちゃを!あらん限りの力で確保せよ!!」
「「「「「「「任せろ!!」」」」」」」
もので釣る作戦だ。二つ地獄を見たその年に万屋のリーダーは動き、料理人の腕を持ってきたのだ。
・・・別に比喩表現でも何でもなく本当に腕を持ってきたので最初は全員が引いた。しかもさっきまで埋っていましたと言わんばかりに土の付いた真っ青な腕だったのでそれはもう本気でドン引きした。
その腕が動き出した事には誰も何も言わずそっとペンとメモを差し出した。その腕の人物がパーティー万屋全員の胃袋を掴んだハナさんなのである。
自分の店を持つことを夢に見て日々料理の腕を磨いていたがその夢が叶わずに命を落とした人間であったハナさんは作った料理を食べてもらう事が大好きだ。そんなハナさんたっての希望で万屋本部の一階を万屋本舗へと改装し、周辺住民の胃袋すら鷲掴んだのだ。恐るべしハナさん。
そんなハナさんの登場により10月のかぼちゃ際の様子は一変した。
もともと季節柄かぼちゃ色に染まる時期だ。かぼちゃの料理も菓子も嫌いなモノはそう多くはないし色々な店舗が創意工夫してくれるので様々な料理、菓子が食べられる。それをタダ、或いは割安で食べられるのだ。けして地獄なだけのイベントではないが、如何せん量が多くて飽きるのだ。故に最初の一週間は嬉々として参加していた者も二週目に入ると減少し三週目には強制させられて参加している状態なので大変効率が悪い。
そんなおりにもたらされたのがハナさんの料理だ。一週目は最初の年と同じで周辺の飲食店のみが参加、二週目からはハナさんお手製のかぼちゃのスープやかぼちゃクッキーなどの数を確保できる品が出回り、最終週にはかぼちゃ料理と菓子の大盤振る舞いとなる。
ハナさんの料理は他とは一味も二味も違う、依存性のある薬でも入ってるんじゃないかと疑うレベルで病みつきになる。勿論合法物以外何も入っていない安心安全のオーガニック料理だ。ただ美味いそれだけである。
そんなハナさんの料理は当然ながら競争率はバリ高だ。普通に血で血を争うとかに成ったりならなかったり、ハナさん参戦初回は酷い有様であった・・・。
なのでハナさんの料理だけはどれだけかぼちゃを乱獲できたかによるかぼちゃハンティング競争によって獲得できる仕様になっている。つまり優勝賞品扱いだ。ルールは簡単、かぼちゃ型モンスターの魔石数と可食部分の重さだ。
かぼちゃ型モンスターと一口で言っても形は様々でスケルトンの頭がかぼちゃだったり、かぼちゃを積み上げた様なスノーマンならぬカボチャマンが居たり、大きなかぼちゃに手足が生えて棍棒を振り回すかぼちゃ鬼とでもいうよなものが居たり、あとは王道にジャック・オー・ランタンにマントと帽子、ランタンを持たせた中身のないのお化けが居たりと様々な形のかぼちゃが居る。
そしてかぼちゃモンスターから取れる魔石はどれも一律ジャック・オー・ランタン型のオレンジで大変わかりやす。なのでその魔石の数とそれらのモンスターから取れる可食部分の重さを足した数値が得点となりパーティーで共有される。故に大人数のパーティは比較的有利に事が進む、此処まで言えばわかるな?
「よし今年も目指せ優勝!絶品かぼちゃ料理だ!!」
「「「「「「「おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」」」」」
期間限定、ハナさんのかぼちゃ料理を目指して皆こぞって参加するのだ。しかも全力で、なんせハナさんと同じパーティーである万屋だろうとそこに優遇は無い。全ては優勝パーティーにのみ与えられる賞品なのだ。全力で乗るしかない。
「今年は異次元収納が一人増えたからな!三方向に分かれて集めるぞ!!取りあえずカレンちゃん多い所行って!!」
「25層?」
「そう森のエリア!あそこが一番多いし競争率激しいから副リーダーと一緒に狩りつくして来て!如月は水エリアな!水の中もいるからちゃんと探せよ!!」
「りょー」
「アンちゃんは僕と一緒に80層以上行こ!地竜位軽いでしょ?」
「中々の無茶ぶり!?我竜殺しの称号持っとらんのじゃが?!」
「この間のデカ蜥蜴が地竜だよ!俺の目の前で華麗に生きたまま解体してたじゃん!!イケるイケる!」
「アレ竜じゃったのか!」
「底辺だけど竜だよ!力自慢どもはちゃんとエルダーエルフとエルダードワーフ合作の重力ハンマーで叩けよ?!木っ端みじんで拾えませんは無しだからな!!!」
「「「「「「はーい」」」」」」
「よし!者ども準備は良いか!!!」
「「「「「「「「おう!!!!」」」」」」」」
「では、ダンジョンに突撃!!!
「「「「「「「うおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!」」」」」」」
こうして戦闘員の意欲を維持して10月いっぱいかぼちゃ際は続けられる。
因みにどのパーティーが優勝するかの賭けが行われたり、普通に一般用に売られているかぼちゃ料理、菓子で腹を満たしたり、ハロウィンに則って仮装した子供たちが練り歩いたりと町は全力でハロウィンを楽しむ。
本物の魔女や怪物もいるので本格的すぎるアレそれがあるが、世界ルールの適応で危険も無いので安心安全にスリル満点のハロウィンが楽しむ住人たちであった。




