昔々でもない話が終わったとさ
オールと紅の共同戦線より10年、国は安定した。
今思えばよくもまあ随分と上手く片付いたモノだ。オールが居た世界の当時の二大国家は第一王位継承権同士の結婚で巨大一大国家となって今では日本といい感じの同盟国になった。
結構長い間冷戦してたせいで国民同士も疲れたのか終戦宣言と国家統合は中々に盛り上がった。無論良い意味でだ。
両国ともに昔から終戦の機会を狙っていたのもあってうまい具合に纏まったようだ。
人間の代表みたいな国の問題が片付くころには、白教会も黒龍寺の内部掃除も終わってクリーンになったお蔭で両宗教は良好な共存関係が築かれてトップ同士は結婚に至った。
いやぁあの時の結婚式と言ったらそれはもう豪華だった。多分人間も魔族も疲れがあったんだろう、それぞれの象徴である教のトップの結婚は両種族の争いに終止符を打つ事に成った。
更に出会えば殺し合いに発展することが普通であった白と黒の竜はある日を境に互いに友好な関係を築く様になりそのトップである龍神同士は仲睦まじい番となった。
人間と魔族が其々信仰していた神や御使いがその調子で魔族と人間で戦争等出来る筈もなく、人間社会で最も力を持った代表国の王と魔王が二神の龍神と神人、巫女を証人とした魔法契約を交わすことによっていろいろな問題が解決したのだった。
で、問題が解決したのは何もオールやダンの世界の人間だけじゃない。とあるオークとエルフは結局それぞれの集落を出てはきたが、反対に同じように集落を出た同族達や同じように追い出された他種族たちと新たな集落を作り穏やかに暮らしている。
その規模も年々増加していくので既に街っと言ってもいい規模にまで発展し、現在では発展途上国として注目を集めている。
中心人物が異種間恋愛者であるため当たり前の様に異種族恋愛、異種族結婚が行われる異種族恋愛の先駆けでありモデル都市としても注目を集めるに至った。
最初の頃に異種族恋愛反対派が実地権がどうのだとか血の混血は認められないだとか色々とあったが、其処は神と神と王と魔王と神人と巫女とダメ押しに世界最高戦力でS級クラスの勇者による説得で今では何も問題ない。
そんな諸々の事情に日本の政治家が何人か噛だり噛んでなかったり、寧ろ強制的に噛ませたりして巻き込んでついでに日本に古くから居た異種族、妖怪とか鬼とか神様、天皇様まで巻き込んで最終的に帝様にご降臨願ってすったもんだの末に日本は全てのヒトが住みやすい国を目指して驀進したり異種間交流による技術の爆上げがおきたりする国となった。
そのどさくさに紛れてシレっと各ギルドが支部を置き渡し屋ギルの本部が設立されたのだ。
「とまぁそんな経緯で渡し屋ギルドは出来た訳だ」
そう言って紅は手元の紅茶を飲みほした。どうもこれで一応話は区切りとなったらしい。
初めて聞いたカロンとエーデルワイドの感想は、
「・・・ドン引きじゃ」
「クッソ重い」
である。
「愛の勝利と言ってくれ、おかげで今の日本では異種間恋愛も異種間結婚も認められてるし、薔薇学園や常破学園の尽力もあって種族差別もほとんどない。世界有数の多種族国家になったんだからな」
「私利私欲じゃろ」
「当然だろ。変な理想論とか綺麗ごとを掲げるよりよっぽど信頼できると思うぞ?自分の為に世界を変える、その為にソレが出来る奴とつながりを持って行動して事を成した。ただそれだけだ」
「利己的だな」
「まぁな、誰かの為にしか動けない奴もいるけど自分の為にしか動けない奴もいる。んで俺は後者だ」
「「それは分かる」」
カロンとエーデルワイドに揃って頷かれる。まぁだろうな俺は分かりやすく生きてるし、俺の行動理念はカレンと生きることだ。
カレンと生きるのに当時の日本は難しかったから変えるために行動を起こしたし、今もカレンに変なちょっかいを掛けられるのが嫌だから周囲への牽制もしている。当時からの行動も相まって俺やカレンの周辺は落ち着いたし、世界もだいぶ俺らみたいな非ノーマルを受け入れている。たいへん喜ばしい事だ。
当時を思い出すと色々と苦労が思い起こされるが、今となってはいい思い出、にするにはちょっと濃いな。
「紅はどっから何処まで噛んでたんだ?」
「んー、中心人物との舟渡と白黒竜の説得(物理)と日本の政治家でこっち側に引っ張れそうなののピックアップに説得(脅し含む)と巻き込む妖怪、鬼を物理的に説得してうっかりで帝様をご降臨させた?」
「「ぶっ!!」」
いやー今思い出しても冷や汗ものなんだよなぁ、ホントあの時はうっかりしたよ。まさかアレがああなってこうなると降臨するなんて思わないじゃん?降臨の条件がそろってて偶然とはいえ手順を踏んじゃって最終的には俺の妖力?神通力?的なにかが相性、量ともに良かったせいで降臨しちゃったんだよね。
帝様ご本人が上から興味本位で覗いてたのもあってこう、スルンって降りてきちゃって、厳かな雰囲気で俺らのヒト平等を肯定してよりよい未来へ励めっ的なこと言ってくれたからそこからトントン拍子に上手く収まったから結果オーライなんだけね。
あとで聞いたら降臨は帝様のうっかりでもあったら内心冷や汗ものだったらしいよ。神様も人間ぽさがあって好感持てるよね。
「おいこら紅、その辺は機密だ」
「あ、そっかサーセン。ドスさんカロンさんオフレコで」
「そもそんな重要な事を喋るでない!!」
「知らなきゃ安泰だったのに!!何してくれんだコイツ!」
「サーセン」
「「反省が足りない!!」」
怒られたけど言っちまったもんは仕方ない。流石に召喚方法とかはペロって無いし当時を詳しく話した訳でもないからそこまで気にしなくて良いだろ。
「ま、要するに渡し屋ギルドが出来たのは愛故にって奴だ」
オールさんも無事結婚出来たし異種間結婚もそこそこの前例が出来たから俺には良い事尽くめだな!
そう締めくくるとエーデルワイドとカロンはゲッソリした顔で他メンバーに目をやり他のメンバーは生暖かい目で見返していた。
何のアイコンタクトしてるんだか、あ。
「もう日暮じゃん。カレンどうする?」
「・・・・・んえ?話し終わった?」
「返事が可愛い。ダイジャスト的には終わった。詳しくは話せない事も多いし仕方ない。んでいい感じの時間だけどどうする?一階で食べてく?それとも帰る?」
「そうね。ハナさんのご飯でも食べて行きましょうか」
「んじゃ決まりだな。って事で俺ら下で食べて帰るんでお先です」
「失礼しますね」
二人の間で話がまとまったカレンと紅は早々に帰り支度をする。まだお茶が入っているティーカップはそのままにポットだけは宙に作った水玉の中に入れて撹拌してきれいに洗い水を取り去ってからパーティーの備品であったポットを元の位置に戻し、結界を綺麗に解いて帰っていった。
「・・・・・・・・・・もしかして只の惚気だった?」
「どちらかと言うと牽制ではないかのう?10年もかけて外堀埋めとるんだから手を出すな的な感じ所ろうか?我やおんしはちと顔が広い故周辺のモノに周知して置けと」
「おー、アンちゃん流石やなその通りや、特にアンちゃんは吸血鬼関係には抜群な効果あるさかい。ようよう広めといた方がええで」
「おぉう、聞かねば良かった」
「聞いたなら仕方ないと諦めてエーデルワイド、それとなくカレンにちょっかいを掛けない様に忠告しておくといいよ」
敏いエーデルワイドに影と副リーダーからの肯定が入りった、疲れた様な顔を見るに従っておいた方が無難なようだ。
大きくため息をついて了承した。
「・・・俺、其処まで人脈広くないんだがなんで巻き込まれたんだ?」
「事故じゃない?あんたも不運ね」
「巻き込むつもりならぁ所属した辺りで話されてるよぉ」
「つまり俺は巻き込まれて事故っただけ?」
「「そう」」
「うっ、泣きたい」
エーデルワイドの横でハタっと思い至ったカロンはアリスと緑の魔女から不憫なものを見る目でみらて憐みの言葉を頂いてしまった。これは泣きたいが、好奇心に負けて話を聞いたのは自分なので自業自得だ。
同情しきった目で見てるくパーティーメンバーのなかで唯一リーダーだけは笑顔で力強くサムズアップをしているのには少しイラっとしたが、リーダーなのでしょうがないっと諦めて視界から外した。
外した視線の先でエーデルワイドとカロンは偶然か視界が合ったそこで思うことは後悔先に立たずである。ついでに好奇心は猫をも殺すの言葉を胸に刻みつけて二人は揃ってため息をつくのであった。




