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 その後十分モフモフを堪能しながら10分ほどの休憩を取ってからの移動となった。

 モフモフさせてくれたケロべロスはそのまま三人に懐いたらしく、背中に朱と藍を乗せたまま同行してくれた。紅はカレンに抱き上げられての移動だ。おかげで移動速度が上がって休憩前よりもハイペースに進んでいる。


「わんちゃん飼っていいかな?」

「どうだろ、母さんも父さんも猫派だし」

「でも母さんは大型犬好きだし行けんじゃね?」

「大人も乗れる」

「わふ!」

「あー、リアルも〇の〇姫」

「あれカッコいいよな!」


 リアル獣をカッコイイで済ませていいのかな?良いんだろうな兄ちゃんだし。

 あとそもそも、こんだけ大きいと餌代とか、


「体格に見合うだけ食べるよその子」

「「「・・・」」」

「わ、わふぅ」


 カレンの言葉に三人は無言で彼女の隣を歩く三つ首のケロべロスを見る。

 ごく一般的な大型犬よりも二回りは余裕で大きな体格に、三つの首は一つは眠っているものの随時二つは起きているので殆ど二匹同時に食べる様なものだろうか?

 少なくとも大の大人を二人位乗せられそうなほどに大きな犬の食費は中々に高く付くのは予想がたやすい。


「デカいから飯代かかりそうだな」

「普通の大型犬も掛かるらしいけど、コイツそれよりデカいしなあ」

「でも、少ないのはダメ」

「腹減ると悲しいもんな」

「その辺も含めて要相談だな」

「くぅん」


 犬上と腕の上でそれぞれ話す三人の言葉を理解しているらしいケロべロスは申し訳なさそうに弱々しく鳴いた。


「まあ最悪ご飯はダンジョンで狩ってこいってすれば良いんじゃない?基本生肉でしょ?」

「わふ!」

「とったらそのまま?」

「野生の狼とかそんなんでしょ。元々野生なんだし」

「そっか、普通に今まで生きてたなら餌は自分で獲れるか」

「じゃあ大丈夫じゃん!」


 三人の会話を聞いていたカレンの言葉により食費問題に希望が見えた為か一気に明るくなる二人には申し訳ないけども一つ問題がある。それは、


「うーん、君たちの家がどんな場所か分からないけど、こんな大きな犬を飼えるほど大きいの?」

「「あ」」

「だよなぁ」

「く、くぅん」


 そう飼う場所だ。部屋が有り余る様な大豪邸ならいざ知らずマンションやアパート、一般的な戸建て住宅でも苦しいほどの大きさだ。庭があるならまだ外飼いとか出来そうだがそれにしたって苦しいだろう。そして家は戸建てではあるが庭は無い。


「あとご近所さんも怖がらない?この子基本的に畏怖の対象だよ?」

「いふ?」

「恐れおののかれる対象、要するに普通は怖がられるの」

「こんなに可愛いのに?」


 キョトンっと首を傾げながら藍は目の前のケロべロスの首の付け根を撫でる。その手が気持ちいいのかケロべロスは喉をグルグルと鳴らして目を細めている。何か猫っぽいな。


「君たちには可愛くても他の人には大きくて首が三つもある化け物だよ」

「くぅん」

「化け物じゃないよ。ケロちゃん良い子だよ」

「!わん!」


 落ち込むケロべロスの頭を撫でて慰める藍はお姉ちゃんだった。

 ん?あれ?


「いまケロちゃんとか言った?」

「ケロべロスのケロちゃん!」

「うわ、安直な名前」

「可愛いもん」

「覚えやすくていいぞ!な、ケロ公!」

「わん!」

「えー、ケロで良いんかい」

「わん!」


 わいわいと言い合う三人とは裏腹にカレンは紅を持ち上げていない方での手で顔を覆い何事か考え込んでいる。どうしたんだろう?


「・・・・・・・・そこのケロべロス。主従は?」

「わん!」

「っ!完全に犬じゃん!てかやっぱり野生か、じゃあ名前でそうなった?」

「わんわん!」

「まじかー」

「カレン?どうしたんだ?」


 まるで会話するようにケロに話しかけるカレンに声を掛けると何とも言えない顔で目を合わせてくれた。そんな顔も可愛いと思います。


「えっと。見た目は多分何とかなるかも?」

「本当か!やったなケロ公!」

「わん!」


 そう言ったカレンの言葉に大はしゃぎで朱もケロを撫でる頭には届かないので直ぐ近くの背中ではあるが、撫でられて嬉しいらしいケロの尻尾はブンブンと振り回されている。

 反応が本当に犬だな。


「何で大丈夫なんだ?」

「ケロべロスというのは種族名でね。その特性上門番に適しているんだ。だから神話の中だとそういう登場の仕方をする」

「特性?」

「懐いた者を親とし親に名付けられることで主従の関係築きその言葉に絶対服従する。そしてその見た目は主人の望むるままに変化する」

「変化する?」

「そう、この場合親は藍でその藍が望む姿に変われるんだ。だから藍が普通の犬になる事を望めばそうなるよ」


 そう話す二人の横では話を聞いてた朱と藍はケロの上から降りる。


「わふ?」

「ケロちゃん私が抱っこできる大きさになって」

「首も一つにするんだぞ」

「あ、ついでに毛も白で」

「わん!」


 三人の言葉を受けたケロは元気よく返事をしてから少し四人から離れてから身構え、


「ワオーーーン!!」


 遠吠えを一つした。その後の変化は劇的だ。

 まずケロの全身が光り出し、三つあった首は一つになり、体は縮んでいき見上げる程であった巨体は小さくなった。丁度子犬サイズぐらいだろうか?そこまで縮んでから光は収まった。

 そこに居たのは一つの首に白い体毛の子犬だった。


「かわいい!」

「ちっこい!」

「普通の犬に見える」

「あん!」

「うわ、体格まで変わった希少種だ」


 何やら嫌そうな声が聞こえたが良く分からないのでスルーするとして、この見た目なら特に問題なく家で飼えそうだな。

 元の大きさの事も話して餌は自分で獲って来れることも話して、賢いしこっちの言葉分かるみたいだから躾の心配もないし、餌代も浮くし、何とかなるか?

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