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普通に生まれて当たり前に育ち、極々平凡に日常を生きる。  作者: 梓川 由紀
面倒な予感・・・
53/92

合法

予約ボタンの押し忘れというポカミスにより投稿が遅れました。

スミマセン。

「はぁー、話が大いにズレて行くのう」

「雑談なんてそんなものだろ」

「話は二転三転四五飛んで十転位するものでしょう?」

「十転もしたらもはや無関係な内容じゃろ!?」


 またもや突っ込みを入れつつ話を元に戻そうと奮闘しているエーデルワイドには悪いが話し合いに飽きてきた。もうなんか、教師依頼受けてた奴らに丸投げしたい。駄目かな?


「さっきから同じ所をグルグル回って進展しないし飽きたし、疲れて来たから流れをぶった切って簡潔に聞いていい?」

「お、おう、てか飽きたって・・・」


 飽きたのはカレンも同じようでハッキリと口にすら出していた。

 そんなところもイイ!!


「エーデルワンド・スリンプ・アンドロダス様」

「は、はい!」

「あなたはこの世界でどうしたい?」

「どうとは?」

「この世界で一から始めて生きるもよし、見も知らぬ世界を生きたくないのなら死んだっていいわ」


 だって、この世界には自分の意思で死を選ぶ権利があるのだから。

 そう言ってカレンはエーデルワイドを見つめる。


 カレンの言った事は事実だ。大昔の封印を解かれたエーデルワイドのような古きモノが変わり果てた世界を受け入れられずに自害することは少なくない。

 勿論ちゃんと適応して今も生を謳歌している者も居る。どちらを選ぶかは本人次第、だからどちらの選択をしても非難する事は無い。本人が後悔しない選択をしてくれるなら。


「我は・・・」


 カレンの言葉を受けてエーデルワイドは視線を床に向け少し悩むようなそぶりを見せたが、すぐに顔を上げてまっすぐな目でカレンを見上げた。


「我はこの世界を生きようと思う」


 確かにこの世界は我の知る世界ではなくなった。我を知る者はおらず、我の知るモノはない。

 それでも、それでも友たちと共に創り上げたバラがまだ咲き続けているのなら、友たちが生きた痕跡があるのなら、


「我はこの世界を愛せると思う。だから、本当に駄目になってしまうまでは生きていこうと思う」

「そう」

「ああ」

「じゃあまずは学校だな」


 神妙な顔で頷いたエーデルワイド見届けてすぐ、紅は様々な小学校のパンフレットを取り出した。


「へ?」

「現代の常識が知りたかったら小学校に入るのが一番だ。目覚めたばっかで金もないだろうし公立で良いだろ、戸籍は市役所に行けば取れるだろうし、当面の生活費も貰えるはずだ」

「しやくしょ?この教本に出ておる所か?行く必要があるのか?それに小学校とは一般常識を教える学び舎であろう?わし其処まで常識外れかのう?」


 割と柔軟だし頭の回転は悪くないし、人間とも共存出来ていた実績もあるんじゃが?


「まず、役所っていうのは地方公共団体である市の市長・職員が、市の行政事務を取り扱う役所のことよ」

「ふむ、村長の様なものかのう?」

「もうちょいデカい規模だが考え方は同じだな、んで市役所に行く理由は色んな制度が受けられるからだ。それに頼れば当面の間生活できるだろう。先立つ物ないだろ?」

「うっ・・・さっきまで寝コケておったからのう何も持っておらん。確かに先立つものがなくばどうしようもないからのう。市役所とやらの力を借りよう」


 今の市役所制度はバカに出来ない。なんせダンジョンという財源が有るからな、その恩恵で資金が豊富に使えるため結構な金額が貰える。

 勿論条件を満たさない限り使えない制度だがエーデルワイドは大丈夫だろ古代者(こだいしゃ)――古代と言われるほどに昔に生きていた者が何らかの要因によって現代に現れた時に用意られる。――はほぼ適応されるみたいだし。

 あと多分金銀銅貨とか多少なりとも持ってるんじゃないか?多分価値がつけられない可能性の方が高いから今すぐ現金には出来ないけど、マニアは幾らでも出すだろうから向こう数年は平気だろ。

 バラの派閥の長なんかも面倒見てくれるだろうし最悪しばらくはこっちで面倒見るのも可、よって金銭面は大丈夫そうだな。


「で学校だがその教科書はどの時代、どの世界のヒトでも読める様に解読の魔法陣が透かし紋様で入っている紙を使ってるから読める。が、ここは日本だ。よって一般的な文字は日本語なんだが、読めるか?」

「む、日本語か、読めぬな。確かにスラスラ字が読めると疑問だったがそうか、そんな高度な術が仕込んであるとは、超技術すぎんか?」


 ぺらりと出された紙に書かれた日本語は残念なことに、否、当然の様に?一言も読めない。ほんとに教本と同じ字が書かれているのか疑うレベルで解読不可じゃ。

 にしても紙の中に陣を書くとはなかなか手間暇のかかった品だと思うんじゃが、教本の全ページが同じ材質よのう。つまりすべてに陣が入っていると、すんげえなおい。


「最初の機械を作るのには苦労したみたいだが、全自動化してからはそうでもないらしい。けどさすがに世の中の紙類全てがそうなってる訳じゃないから現代の日本語は覚えて貰はないとな、それには小学校に通ってもらうのが一番効率が良いんだ」


 現代日本の小学校は日本語の読み書きだけでなく、今の日本で生きるなら必須になる物ばかりだ修業しておいて損はない。


「うむ、心得た。しかし小学校とやらは基本小さな子供たちが通う場所であろう?我浮かんかのう?」

「浮かんだろ」

「そうね。浮かないと思うわよ」

「そうかのう?」

「「うん、大丈夫だってアンドロダスさん合法ロリだし」」

「ご、合法ロリ?なぜか盛大に馬鹿にされた気分なんじゃが、じゃが」


 失敬な、馬鹿にしてないよ。ただ見た目には驚いたけどな。

 ピジョンブラットの瞳はクリクリ愛らしく、波打つ艶やかな金髪は踝を覆い隠すほどに長く、日に一度も当たった事が無いかの様に白い肌、その顔立ちは誰もが愛したくなるほどに幼く可愛らしい。

 ・・・そう、幼いのだ。同じ吸血鬼で百年程度のアリスが成熟した女性なのに対して推定五千年越えがツルペタロリだったことには強い衝撃を受けた。


「要するに若々しすぎるってことよ。現代小坊はもっと発育がいいのよ」

「それはそれでショックじゃな!?あと発育が良いのは多分食事事情と多民族の血と遺伝子の神秘じゃないかのう」

「ん?遺伝子なんて言葉知ってんのか?」

「む?うむ、我が生きておった時代でもその辺の解明は出来ておったよ。しかし人はある程度まで技術が発達すると文明崩壊してしもうて記録が残らなんだ。アトランティスとか有名じゃろ?」

「なるほど」


 アトランティス、ムー、レムリア、いずれも有名な超古代文明とされる幻の大陸と島だ。その存在は神秘のベールに包まれ誰もその存在を肯定も否定もできていない。

 ・・・などという事は無く、世界統合にそのベールは剥ぎ取られ普通に存在していたりする。

 アトランティスなんかは海底にあるのをいいことに観光地化してるし。去年のクリスマスにも行ったなあ、帰りがけに宿の予約摂ったし今年も行く予定。


 閑話休題


「まあ古代文明は置いておきましょう。考古学者たちが事実が証明されたのは嬉しいけどロマンが消えたって嘆いた悲劇が繰り返されるわ」

「そうだな、当時は本当にひどかったらしいな」

「なんだか知らなんだが大変だったようじゃのう。いつの時代も事実は残酷じゃからのう」

「「それな」」


 ほんとそれ、世紀の大発見を通り越して実物が目の前に置かれたときの学者たちの様子と言ったらまさに阿鼻叫喚といった感じだったらしい。

 なので『古代者から話を聞くときは慎重にすべし!』なんて言葉が出来たのだ。

 え?聞いた事ない?ここ十年で出来た言葉だし知らないかもね。まあでも事実だよ。当時を生きた生き証人は貴重だけど爆弾だからね。色々な所に打撃があったらしい。

 まあ一般人には関係ないけどな!

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