リーダー
「来たか」
会議室に足を踏み入れてすぐにそう声を掛けてきたのは当然の様にその部屋居た――置いてきたともいう――吸血鬼の王、
「お、おんしら!こ、これは何だ?!」
「あちゃー」
「リーダー・・・」
「やっほ、やっほー」
ではなくいつの間にやら部屋に入り込んでいた我らが万屋のパーティーリーダーだった。
一応部屋に誰も入れない様に結界を張ってあったんだよ?ミリ単位の厚みの結界を扉から一メートル位離れる程の枚数の結界を、それを全部すり抜けて何故我らがリーダーは何食わぬ顔で吸血鬼の王様の真ん前に居るのかね?てか顔を覗き込んでやるなよ。王様がめっちゃ動揺しまくって部屋がソニックブームだらけじゃないかまったく、これだからリーダーは
「使えないって言われるんですよ?」
「タイミングを考えて欲しいわ」
「アレ!?すっごい冷たい顔と目と声で暴言吐かれた!!リーダーに対して不敬ぞ?!」
「はいはい、また今度相手してあげるからね」
「今は出てけ」
「え、ちょ」
おざなりに返事をしながらリーダーの背を押して扉の外へと押し出していくが、足を突っぱねて抵抗しているせいか中々押し出せない。結界が張ってなかったら床が抜ける程の圧力を掛けているがこいつは会議室を破壊したいのだろうか?
まったく面倒臭いヒトだ。あ、そう言えば体のいい脅し材料があった。
「そう言えばこの間人ん家を無許可で教えた件の話し合いがまだだったな」
「そうね。依頼人とは言え許可なく移住を教えるなんて言語道断ね。処罰ものだわ」
「あ、用事思い出したから帰る!バイビー!!」
セレス・ジーニ氏の時の話を持ち出した途端、リーダーは目にも映らぬ速さで逃げ出した。本当にいい性格しているよなアイツ。
「なんでいんだろアイツ」
「厳重な結界の中身が気になったんじゃない?或いは昼寝中に天井を突き抜けてきたとか」
「あー、ありうる」
「まあ、あのヒトはあんまり深く考えるタイプじゃないけど偶に思慮深いから断定は出来ないけどね。何も言って来ないなら良いんじゃない?ある意味人物的な保証はされたわけだし」
「そうだな、っという訳でこれからについて話し合いましょう!」
「いやいやいやいや、まずは説明をだな!?」
ですよねー。
混乱でソニックブームを巻き起こしてるヒトに説明も無しに話し合いは無理ですよねー。うん、知ってた。でもなあ説明たってなぁ
「しづらいんだよな」
「はぁ?」
「あのヒトは私達のリーダーだけど、対峙して見てどう思った?」
「どうって、・・・・あれ?どんな姿だっけ?」
気付いた時には結界の真ん前に座り込んで顔を覗き込んでいた人物の顔も姿も声も雰囲気も全てが朧気だ。確かにそこに誰かが居て自身を覗き込んでいた事だけは確実なのにその事実以外の全てが曖昧模糊、なんだこれは?
「でしょ?」
「は?」
「リーダーはその姿そのものが不確定だ。ときに幼女の様にときには老紳士の様にときには妖艶な美女、ときには精悍な青年と会う度見る度にその印象が変わる」
「はぁ?」
「そういう種族でそう振舞っている。だからそうとしか見えない。リーダーについて言えるのはそれだけ」
「なんだその信用も信頼もしずらいリーダーは」
「ごもっとも」
本当に我らがリーダーは信用も信頼もしづらいヒトだ。実力も実績もあるのに姿も雰囲気も態度も全てがその時々で変わるせいで信を置き辛い。それでも渡し屋ギルド内での信用は厚く、パーティー万屋のメンバーからの信頼も厚い。
そして不思議とあの人は自分たちの味方だと確信が持てる。そう操作、洗脳されているのだと指摘されることもあるが、生憎と万屋のメンバーはそういった耐性に強いのばかりだ。例え耐性が弱かったとしても他のメンバーが解いてくれるので特に問題もない。
要するにメンバー全員が正気のままリーダーの曖昧さを受け入れ信頼も信用もしているのだ。さらに付け加えるなら、
「副リーダーは絶対だしね」
「わかる。副リーダーは絶対だな」
「はぃ?」
副リーダーの存在だ。
副リーダーは一目見れば決して忘れられない程美しいヒトで、月光を編んだかのような艶やかな銀糸の髪、雪のように白く陶器の様な滑らかさを思わせる肌と夜と朝の境目、夜明けをそのまま切り取ったかのような神秘的な瞳、性別を感じさせない中性的な顔立ちは唯々美しいとしか言いようがない。
だが美しすぎる顔のせいで性別が不確定、かつ服まで体系の分からないローブを身に纏っているせいで本当に性別が分からない。まあ質の良い生地に細かになされた刺繍と適度にあしらわれ宝石ビーズは品が良く、副リーダーにたいへん似合っているので目の保養となり特に不満はない。精々性別が万屋内での七不思議(七つ以上ありそうなヤツ)とされているぐらいだ。
彼の人はとても聡明で、他種族のルールや掟に明るく、様々な分野に造詣が深く、思慮深くて何手先も見据えて行動し、海千山千の狸どもに吠え面をかかせるほどに頭の回転が良いまさに天才或いは天災の類のヒトだ。
万屋の本部である万屋本舗が各ギルド本部が乱立する一等地にドーンと邸を構えているのも副リーダーの手腕によるところが大きい。ついでに無駄にギルドからの信用厚いリーダーの人徳もだろう。
物事を俯瞰してみているため非情なヒトに見られやすいが実際には情が深く身内を大切にしており、パーティーメンバーは身内だと公言して全員を気にかけてくれるとても優しいヒトなのだ。
リーダーはそんなヒトが信用し信頼しているヒトなのだから大丈夫、副リーダーへの信頼は厚いのだ!
因みに普段は穏やかな笑顔を絶やさないタイプだが、プッツンすると壮絶に美しく微笑むので無茶苦茶怖い。美人て怒った顔も美人だよね。
閑話休題
「おんしらが副リーダー好きなのは分かった。してリーダーと副リーダーの名前は何だ?」
「「さあ?」」
「はぇ?」
「二人とも世界線が違うらしくて発音できないんですよ」
「えーとリーダーが『☬☸』こうで副リーダーは『δ§φΔ』こう書くらしいわ」
「全く読めんがな!因みに発音も聞き取れなかった」
「読めます?」
そう言って二人が指したのは部屋に張り付けてある名前表だ。記名は任意であるので真名を知られたくないものは書かないか別の名称を記名している。リーダー副リーダーはバッチリ書いてあるが誰も読めないのである意味真名バレしていなかったりする。
因みに紅とカレンも書いてあるが紅は漢字を変えカレンに至っては真名かどうかすら怪しいので特に問題ない。
「・・・・・・・読めん」
「知らないか」
「やっぱり、どこの誰に見せても不明なのよね」
「てことで二人の名前は分からん!まあそういったメンバー他にもいるし特に気にすんな」
「軽いなおんしらは、よくそんなものを主として信用できるものだ」
「「いやあそれ程でも///」」
「褒めとらんわ!!」
「「えへへへ」」
「照れ笑いをするな!」
なんかどっかで聞いた事あるやり取りをしている気がするのは気のせいか?多分これはそんなの信用していいのかって心配してる感じっぽいな。
本当に大丈夫なのに心配性だ。だってリーダーは副リーダーに頭が上がらないしベタ惚れだから心配いらない。副リーダーの大切な身内であるパーティーメンバーを裏切れば副リーダーに嫌われちゃうからね。そんな事になったらリーダー死んじゃうし、まあ自分が死んでも副リーダーの為になるなら裏切るかもだけどその前に相談位して来るよあのヒト、報連相は大事だしね。
しっかし二人とも性別不明だからくっ付いた場合子供出来るのかな?あ、今は同性同士でも子供出来るから問題ないか。
にしてもあれかなアリスもそうだったけどこの種族って基本ツンデレなのかな?
「おんしらなんぞ奇妙なことを考えておらんだろうな?」
「吸血鬼ってツンデレ?」
「影でハラハラ心配するタイプ?」
「うっさい!!」
「「きゃー」」
うん、やっぱそんな感じ?そんなに吸血鬼に知り合いがいる訳じゃないけど知ってるヒト達は大なり小なりツンデレだったしね。
その分情が深いから妻ロスとか夫ロスとか子供ロスとか酷いけど、そこはしゃーない頑張って乗り越えて欲しい。大体そういった場合はセレスさんみたいにかえってくることが多いしね。
それにしても、脱線しまくって話が進まないなあ。




