レッツ?ごー!
さて、とっても良い所で終わったような気がするが思い出してほしい。此処は祭り、西洋の立食パティー風の会場のど真ん中だ。
まあつまり、何が言いたいかと言うと、
「公開プロポーズとは、恐れ入るな」
「良かったわねセレスさん、ロマンチックよ?」
側で聞き耳を立てていた紅とカレンには茶化され、
「くっ、ここでリア充が誕生するとは・・・(パチパチ」
「完全に二人の世界なんだから恐れ入るわね(パチパチ」
「すこぶる幸せそうで、腹も立たん(パチパチ」
「ロマンチックぅ(パチパチ」
会場全体の目を集める事となっていた。
「いやあ、照れますねえ」
「!?///!!」
それに対するクレイの反応は淡白であったが、仄かに耳が色付いている所を見るに羞恥心はあるらしい。最も隣で羞恥心を全面的に押し出し、動揺しているセレスが居るため目立っていない。
「ーーーー!!」
「セレス!?」
そして、周囲からの生暖かい視線と拍手に耐えられなくなったセレスはその場から声になら無い悲鳴をあげながら逃亡、クレイがそれを追いかけその場を離れることによって拍手は鳴りやむ事となったのだった。
「逃げちゃったわね」
「逃げたな」
紅とカレンの二人は顔を見合わせ肩を竦める。
「面白そうだと見てはいたが、まさかそのままプロポーズまで行くとは予想外すぎた」
「そうね、一応二人に認識阻害と興味喪失の結界をかけておいたから数日もすれば回りで見てたヒトは忘れるとは思うけどね」
認識阻害とは言葉のままそこにある対象の認識をずらし、別の物と誤認させる術だ。
興味喪失とは対象への興味を少しづつ削いでいく術で、どれほどの執着を持とうとも時間を掛ければ道端に転がる石同然まで興味を削ぐ事ができる。
認識阻害はともかく興味喪失は高難易度の術なのだが咄嗟で展開できるとは、相変わらず規格外である。
「あの二人夫婦だったんだな」
「それも大変仲の良いおしどり夫婦ね」
クレイの口調が変わっていたのも昔の名残か、はたまたセレスを落すためのわざとか。
会話の流れを見るにわざと昔の口調で話し、畳みかけるような会話で意識を苛立たせ、本音を引き出した様に見えるが偶然そうなっただけとも取れそうな穏やかさだった。
全て計算ずくだったのか天然なのかはさて置き、穏やかに笑いながら自身のペースに乗せるあたり流石だ。
「前にカレンが言ってた些細な依頼の理由って」
「好きなヒトに綺麗な自分を見て欲しいってね。『些細な事で、他人にとっては些末な事、でも女にとってはとっても大切で重要な事』でしょ?」
「確かに」
笑ってしまうほど単純で些細だ。気付いていたカレンからしたら変に疑う紅の事は滑稽に見えただろう。今にも吹き出しそうな顔で堪えていた訳だ。
それにしても、
「姿が途中で変わったのは何でだ?」
「多分だけど、セレスさんの力が弱くなったのはクレイさんに嫌われることを恐れて未練が弱まったからじゃないかしら?」
「それが未練が強くなり力を取り戻した事によって擬態出来るようになった?」
「多分だけどね」
死者の力の源は未練だ。その未練が強ければ強いほど力を増す。
擬態は相応の力がなければ出来ず、長時間することは難しい。セレスの場合は一度疑った心は簡単には晴れず、力が弱まることはそれに拍車を掛け更に思い悩む、それにより力が減退する。っと負の悪循環によって力を弱めてしまったのだ。
しかし話の途中で未練を改めて自覚し、それは手放せないと再自覚した為、急激な力の増幅により擬態が可能になったのだろう。
「まあ何はともあれ元鞘ってことだな」
「そう言うこと」
顔を見合わせて笑い合う、予想外の出来事とは言え中々良いものを見た。いつかあんな風に幸せそうな顔でプロポーズを受けてもらいたいものだ。
「さてと、少し時間はかかったがそろそろロードへの突撃といくか」
「そうね。お料理も飲み物も集まったし、セレスさんからも問題ないって聞いたわ。ロードは生者嫌いでも無いらしいから何とかなるわね」
「お、それは良い。生者嫌いだと色々大変だしな。俺も無礼講だって聞いたぞ」
「なら大丈夫ね」
「おう」
そう確認し合と二人は顔を見合わせ、
「レッツ?」
「ごー!」
大変楽しそうな声と悪戯っ子のような顔で笑い合い、行動を開始するのだった。




