第二百四十六話:それぞれの思惑
時を僅かに遡る。
遠くから伝わってくる強烈な違和感。『探知』で感じ取る『構成力』とは別種の“何か”に、砂原は索敵の手を止めていた。
「隊長?」
「どうされました?」
突如動きを止めた砂原に、小隊の部下達が声をかける。砂原はその声に答えず、意識を集中して違和感の出所を探った。『探知』の範囲内に異常はないが、防衛線の左翼側から奇妙な威圧感を察知する。
(河原崎妹か……いや、それにしてはあまりにも静かすぎる)
空間の一部だけ温度が異なるような違和感。距離があるため確証は持てないが、以前みらいが力を暴走させた際に発生させた力よりも違和感が小さく、制御されているように感じる。もっと距離が離れていたら、気付けなかったかもしれないほどだ。
『こちら砂原。応答されたし』
砂原は僅かに思考すると、携帯電話を取り出して後方に控えている里香へと通信を行う。
『こちら岡島少尉です。何かありましたか?』
そんな砂原の通信に対し、即座に里香が反応した。通信越しに聞こえる里香の声は平常であり、何かが起こっているようには思えない。
『左翼側で何か異常はないか?』
『……いえ、何もありません』
だが、質問を行った砂原に対する返答には違和感があった。里香の声に間違いはないのだが、どこか無機質なものを感じたのである。
里香との付き合いが浅い野口は気付くことができなかったが、砂原は違う。里香が訓練生になってから今まで教官として、上官として、厳しくも親しい付き合いがあるのだ。
『――もう一度尋ねるぞ。異常はないのか?』
一段低くなったその声に、砂原の背後で控えていた部下達が無意識の内に背筋を正した。自らに向けられた言葉でないとはいえ、砂原の声は部下達を委縮させるほどである。
『……何も、ありません』
そんな砂原の言葉にも、里香の答えは変わらなかった。まるで機械のように繰り返し、異常がないと言う。
『そうか……わかった』
里香は何もないと言うが、その返答と態度こそが異常だ。武治を捕縛した際に何もなかったため“半分”安心していたが、ここにきて異常を発露させたらしい。
砂原は通信を終了すると、苦虫を噛んだような顔付きで部下達へ視線を向ける。そんな砂原の視線を受けた部下達は、一体何事かと思いながら直立不動の体勢を取った。
部下達は若年にして『飛行』を発現した有望株だが、まだまだ未熟だ。砂原が手塩にかけて育てた博孝達第三空戦小隊と比べれば、その技量は数段落ちる。潜り抜けた修羅場の数と質を考えれば、桁で劣るかもしれない。
僅かに悩んだ砂原だが、数秒かけて決断すると冷徹に命令を下した。
「伍長、貴官を分隊長に任命する。貴官はこのまま所定のルートを警戒しろ。軍曹、貴官は一度基地へ戻って岡島少尉を拘束しろ」
「はっ! ……え?」
命令を聞いて敬礼を返す部下達だが、その内容に疑問を覚えて目を見開いた。分隊を率いて警戒を行うのは良いが、里香を拘束しろという命令は予想外すぎる。
「岡島少尉は敵の手に落ちている可能性が高い。空戦の貴官ならば単独でも拘束できるだろう。このままでは防衛網が破綻しかねん。軍曹、命令を復唱しろ」
あるいは、既に破綻しているかもしれない。そう考える砂原だが、それは口に出さず命令を復唱させる。
「は、はっ! これより基地に戻り、岡島少尉を拘束いたします!」
「必要ならば陸戦から戦力を連れて行くことを許可する。岡島少尉を拘束した後は貴官が指揮所に控えろ」
そう命令を下すと、砂原は即座に行動に移す。部下達には悪いが、違和感の“正体”次第では足手まといにしかならない。そのため分隊を『ES寄生体』達の警戒に当て、残った一人は基地に向かわせた。
砂原は『飛行』の速度を最大まで上げ、音速の壁を突破して防衛線の左翼へと向かう。博孝達の技量は信頼に値するが、それでも限界はあるのだ。砂原は真っ直ぐに空を翔け――海中から飛来する『構成力』を感じ取り、瞬時に回避行動を取る。
回避した光弾はそのまま空へと消えていくが、その光弾が放つ色は紫。その色を視界の端に捉えつつ、砂原は眼下の海を睨み付けた。
それまで『探知』に引っかかっていなかったが、海中に『構成力』が発生している。さらに、目を凝らしてみると海中に巨大な楕円型の物体が潜んでいることに気付いた。
海上に展開している護衛艦群が正常に機能していないため、警戒の穴を突いて領海内に侵入してきたのだろう。
「潜水艦か……相変わらず隠れて近づくのが上手なことだ」
砂原がそう呟くなり、海面を断ち割って一つの影が飛び出してくる。それは今しがた光弾を放った張本人であるフェンサーだった。フェンサーは海水を避けるために『防壁』を発現しており、一直線に砂原のもとへと近づいてくる。
フェンサーは砂原の攻撃を警戒しながら同じ高度まで上昇すると、ゆっくりと口を開いた。
『『穿孔』とお見受けする。貴官に恨みはないが――』
『邪魔だ』
問答は不要。瞬時に『収束』を発現した砂原は一息に間合いを詰め、白く輝く貫手を繰り出す。
『ちぃっ! 問答無用か!』
だが、相手も然るもの。フェンサーは両手にナイフを発現すると、命中すれば一撃で命を刈り取るであろう砂原の貫手を受け流した。
『敵と問答を交わす必要はないだろう?』
それだけを言って、砂原は目にも止まらぬ速さで掌底を繰り出す。それも一撃ではなく、両手を用いて面を制圧するように。
フェンサーは『武器化』で発現したナイフを使って防御に徹するが、素手ながらも『収束』を発現している砂原は容易くナイフを破壊する。その度にナイフを発現するが、傍目から見れば鋭利なナイフを砂原の掌底が粉砕するという異質な光景だ。
砂原はフェンサーの相手をしつつも、潜水艦が日本へ向かって動いているのを確認する。相手の目的はわからないが、フェンサーは砂原の足止めか打倒が任務なのだろう。
潜水艦からは『構成力』を感じないが、フェンサーと同様に『隠形』を用いて『構成力』を隠している可能性もある。
そんな砂原に対し、フェンサーは内心で驚愕の声を上げていた。以前博孝と交戦した際にも『収束』を相手にして戦ったが、その練度の違いは一目瞭然である。博孝は右手だけに『収束』を発現していたが、砂原は全身に発現しているのだ。
博孝と戦った際は右手だけに注意すれば良かったが、砂原は両手両足を用いて嵐のように攻め立ててくる。それでいて『収束』は身を守る鎧でもあり、攻防一体のES能力だ。
このままでは押し切られる。そう判断したフェンサーは紫色の『構成力』を発現しながら後方へと飛ぶが、ここで砂原は予想外の行動に出た。
『収束』を発現したままで右手を潜水艦に向け、小さな光弾を放ったのである。
(『射撃』だと? そんなものでは……)
潜水艦はその名の通り、潜水するものだ。フェンサーを出撃させるために海面近くまで浮上していたが、現在の深度は五十メートル近い。『爆撃』ならばともかく、『射撃』では潜水艦に届く前に霧散するだろう。
そう考えたフェンサーだが、砂原が放った光弾から巨大な『構成力』を感じ取って目を見開く。
砂原は『穿孔』とあだ名される『ES能力者』だが、それは『収束』を用いた接近戦で相手に“孔を穿つ”からこそ畏怖され、有名となっている。
『収束』を発射できることはフェンサーも知っていたが、問答無用で接近戦に巻き込まれたことで『収束』に対する認識が上書きされ、反応が遅れたのだ。
『まずい!』
『何が乗っているかは知らんが、気付くのが遅かったな』
砂原が放った光弾は海中を突き進み、潜水艦の胴体部分に着弾。海中で巨大な爆発を撒き起こし、潜水艦を盛大に吹き飛ばした。
本気で撃てば山一つを軽く吹き飛ばす威力を前にすれば、潜水艦の防御力は脆すぎる。砂原は潜水艦の中にいくつか『構成力』が発生したのを感じたが、爆発と同時にまとめて消失したことを確認した。
突然の爆発に防御が間に合わず、文字通り吹き飛んだのだろう。しかし、中には耐えきった者がいたのか、爆発の衝撃で発生した巨大な水柱に紛れてバラバラに『構成力』が浮上してくる。そこで砂原は、“今度こそ”『爆撃』を発現した。
爆発の余波で生み出された巨大な水柱ごと、砂原は粉砕する。全力で発現した『爆撃』は水柱に紛れて奇襲を仕掛けようとしていた『ES能力者』ごと吹き飛ばし、局地的な雨を降らせた。
『穿孔』と呼ばれる『ES能力者』にしては、あまりにも派手な所業。それを目の当たりにしたフェンサーは、思わずため息を吐いた。
『まさか本当に問答無用とはな……貴官が得意なのは接近戦だと思っていた』
『収束』による射撃もそうだが、『爆撃』も並の『ES能力者』では耐えきれない威力だった。フェンサーの言葉には称賛と呆れが等分に混ざっていたが、砂原は何でもないように答える。
『接近戦で仕留めた方が確実だろう? それに、『構成力』を無駄に消耗しなくて良い』
潜水艦に乗せていたのは、『天治会』に所属する『ES能力者』達だ。フェンサーは“別命”があったためこの場に留まるが、彼らはこのまま日本に上陸する手はずだった。
乗っていたのは戦闘能力よりも『隠形』に長ける者が多く、空戦よりも陸戦の方が多かったが、彼らの抵抗を嘲笑うように粉砕した砂原にフェンサーは畏怖を覚える。
フェンサーも『ES能力者』として何十年も生き、無数の修羅場を潜り抜けてきたが、それは独自技能を持つからだ。それに対し、砂原は独力で『収束』を編み出し、『天治会』のブラックリストの中でもトップに名を連ねるほどの強者である。
そして、フェンサーの言葉に返答をした砂原だが、それは言葉を交わす間に討ち漏らしがないかを確認するためだ。『ES能力者』ならば海中でも多少は生存できるため、『探知』の範囲内に『構成力』を発する存在がいないかを見極める。
もしかすると『アンノウン』がいるかもしれないが、砂原の勘に引っかかる者もいなかった。用心深く伏兵がいないことを確認し終えると、砂原はフェンサーを視線を固定して獰猛に笑う。
その笑みを見たフェンサーは、咄嗟に『猛毒』による『砲撃』を放っていた。紫色の光線は砂原を飲み込むほど巨大なものだったが、砂原は回避もせずに真正面から被弾する。
直撃すると同時に爆発が起こり、砂原を覆うようにして紫の光が乱舞した。『猛毒』による攻撃は並の『ES能力者』の防御を貫き、仮に防がれたとしてもその名の通り毒として身を蝕む。
通常の『砲撃』よりも威力は上であり、直撃すれば『爆撃』に匹敵する威力もあった。
『――温い』
だが、それも砂原には無意味。砂原が全力で発現した『構成力』が渦を巻くようにして紫の爆炎を吹き飛ばし、悠然と姿を見せる。
『まさかこれほどとは……見事』
さすがに真正面から『猛毒』を防がれたことはなく、フェンサーは小さな声で呟いた。迎撃されたわけでもなく、『収束』による防御だけで完全に防ぎ切った砂原に対してフェンサーは感嘆の念の抱く。
砂原が発現した『構成力』は莫大なものであり、煌々と白い輝きを放っている。『収束』によって分厚い壁となっており、フェンサーの『砲撃』では多少削ることしかできなかった。
“直接”触れればどんな強者だろうと蝕む『猛毒』だが、体外に展開させた『構成力』で防がれたのでは効果もない。
フェンサーは己の力を活かせるよう遠近問わず腕を磨いてきたが、『零戦』の春日のように多彩な防御手段を持つのではなく、砂原のように単一で強力な防御手段を持つ者は相性が悪かった。
(なるほど……これならば“奴ら”が警戒するのも頷ける)
『武神』とあだ名される源次郎ではなく、砂原が『天治会』のブラックリストでトップを飾る理由をフェンサーは実感する。
源次郎も高い防御力を持っているが、それよりも攻撃に特化しているのだ。『斬鉄』を用いた斬撃は海すら割ると言われているが、その攻撃力に見合った防御力を源次郎は持っていない。
『貴様等が何を考えているのか、わかることは少ない……が、こちらとしても我慢するには限度がある』
砂原の動きを警戒するフェンサーだったが、そんなフェンサーを睨みながら砂原が声をかけた。それは問いかけというよりも独白に近かったが、言葉を放つのに合わせて砂原の『構成力』はさらに増大していく。
『そこをどきたまえ。尻尾を巻いて帰るというのなら見逃すが、このまま立ちふさがるのならば排除させてもらおう』
フェンサーは厄介だが、今は博孝達の安否の方が気にかかる。この場で殺す方が後々楽だろうが、フェンサーが防戦に徹すれば倒すまで長い時間を消費することになるだろう。
互いの戦闘スタイルと保有する能力の相性によって砂原の方が有利だが、フェンサーもまた歴戦の強者。いくら砂原の『収束』が強固とはいえ、戦っている最中に打開の一手を見つけ出すかもしれない。
今こうしている間にも博孝達が絶体絶命の危地にあるかもしれないため、砂原としてはフェンサーが逃げるのならば追うつもりはなかった。
そんな砂原の言葉を聞いたフェンサーは、何故か穏やかに笑って紫色の光弾を発現する。
『ご厚情には感謝しよう。だが、こちらとしても引けない理由がある』
『……そうか』
博孝からの報告で、フェンサーには何かしらの理由があるのだとわかっていた。それは『天治会』に所属するに足る理由なのだろうが、砂原としては気に掛けるべきではないと思っている。
フェンサーの顔には決意の色が見て取れ、油断するべきではないと判断した砂原は真っ直ぐにフェンサーを見据えると、右手を前に出して構えを取った。
『それならばそれで良い……即応部隊隊長、『穿孔』の砂原だ。押し通らせてもらう!』
その名乗りに、フェンサーは口の端を吊り上げた。戦意を昂らせながら、砂原と同様に構えを取る。
『最期に最高の敵と戦える、か……これ以上の贅沢はあるまい。『天治会』第四空戦部隊隊長、『猛毒』のフェンサーだ。存分にお相手しよう……死ぬまで、な』
互いに名乗り合い、『穿孔』と『猛毒』がぶつかり合った。
防衛省の指揮所に詰めていた室町は、次から次へと指揮所に飛び込んでくる報告を捌いていた。
この状況では日本ES戦闘部隊監督部へ移動することもできないため、山本も同じ指揮所で『ES能力者』向けに指示を出している。
日本各地に出没している『ES寄生体』と『ES寄生進化体』。さらには連隊規模で現れた『ES能力者』達の対処は順調であり、北西太平洋に現れた者達も源次郎が迎撃に向かっている。
騒がしく、時折怒号すら飛び交う指揮所にて椅子に腰かけた室町は、もたらされる情報を頭に叩き込みながらも一つの“報告”を待っていた。
表面上は冷静に、部下達と共に日本各地の部隊へ指示を出しつつ、辛抱強く報告を待つ。それは室町にとってはこれ以上ないほど重要なものであり、叶うならば望む報告が届くよう願っていた。
そんな室町の姿は、この窮地にあってなお冷静なものと指揮所の者達の目に映る。それは『ES能力者』の指揮を執る山本としても同様だったが、室町の表情に硬いものが混ざっているようにも思えた。
だが、それを追及している暇はない。連隊規模で現れた『ES能力者』の対処は『零戦』が担当しているが、その戦闘の余波は他の部隊にも降りかかっているのだ。
それまで『零戦』の者達が救援していた区域で戦力が足りなくなり、他の区域から可能な限り戦力を移動させ、防衛に当たらせる。空戦と陸戦の移動速度の違いも考慮して判断する必要があるため、『ES能力者』の指揮に慣れていない者ではできない作業だ。
大まかな判断は部下に任せているが、最終的な判断は山本が下す。そのため室町に対して時間を割く余裕がなかった。
そうやって指揮に集中する山本の姿を視界の端に捉えつつ、室町も表面上は己の職務に集中する。しかし、それほど時間が経たない内に、室町が待ち望んだ報告が届いた。
それは言葉や文章によるものではない。ただ静かに、室町が胸ポケットに入れていた携帯電話が振動を始めたのだ。
室町が気付かないことを考慮したのか、携帯電話は三コール分振動し、一度切れてから再度振動する。その音と振動は室町本人にしか聞き取れず、振動の回数を数えた室町は大きくため息を吐いてから椅子の背もたれに体を預けた。
「……賭けに負けた、か」
確かに賽は投げられた――が、出た目は最悪。元々勝ち目が薄い賭けだったが、それでも結果がわかると残念だった。
(河原崎少尉でも“奴ら”には勝てなかったか……それならば、次善を掴まねばなるまい)
体が重いが、それでもやらなければならないことがある。室町は胸ポケットの携帯電話を取り出すと、登録してある番号を呼び出して発信した。
「閣下? どうかされましたか?」
突然電話を始めた室町を見て、指揮所にいた山本の部下が問いかける。この状況でどこに電話をかけるのか、そもそも何故備え付けの電話を使わないのかと疑問に思ったのだ。
室町は何も答えず、耳元で響くコール音の回数を数える。そして五回コール音が鳴ったのを確認してから通話を切り、声をかけてきた男性に視線を向けた。
「“どうかする”のさ……今からな」
そう言いつつ、携帯電話を机に置く。そして腰のホルスターから拳銃を抜くと、男性の眉間にポイントした。
それと同時に指揮所の扉が荒々しく開かれ、武装した集団が突入してくる。
「な、なんだ!?」
「警備はどうした!?」
突入してきた集団が着ているのは、対ES戦闘部隊が着用する野戦服。手に携えるは、対人用の通常弾が装填された自動小銃だ。
彼らは室町の部下の中でも忠誠心が高く、なおかつ練度も高水準の最精鋭。指揮所に突入するなり、抵抗しようとした者や『ES能力者』の部隊に異常を知らせようとした者の手足を撃ち抜き、無力化していく。
「室町、貴様……」
拳銃を向けていた男を部下に任せ、室町は山本に銃口を移しながら歩み寄る。そんな室町の姿を見て、山本は苦々しげに呟いた。
「妙な動きはしないでいただきたい」
引き金に指をかけてはいないが、それでも山本が動けば室町は即座に引き金を引くだろう。そう確信させるほどに室町の眼差しは冷たく、覚悟が感じられた。
日本ES戦闘部隊監督部と異なり、防衛省の指揮所に『ES能力者』はいない。そのため『ES寄生体』を相手に実戦を積んだ対ES戦闘部隊に抵抗できる戦力は存在せず、山本は歯を噛み締める。
――室町大将によるクーデター勃発。
その情報が知れ渡るのは、まだ後のことだった。




